「ペアローンで家を買おうと計画していた矢先に、妊娠が判明! このまま審査に通るの?」「現在育休中だけど、職場復帰する前にマイホームを購入したい…」。
共働き夫婦にとって、妊娠・出産とマイホーム購入のタイミングが重なることは珍しくありません。
しかし、結論からいうと、妊娠中や産休・育休中のペアローン審査は今後の収入や復職予定などについて通常時とは異なる確認をされることがあり、金融機関によっては借入額が減額されるリスクがあります。
とはいえ、妊娠中・育休中だからといって、必ずしも住宅ローンを組めないわけではありません。
この記事では、妊娠・育休中のペアローン審査の実態や、減額を防ぐための金融機関の選び方・申し込みのタイミング、無理のない資金計画の立て方について、住宅専門のFP(ファイナンシャルプランナー)として活躍している草野芳史さんの監修のもと解説します。
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妊娠中や産休・育休中のペアローン審査はなぜ厳しい?

産休・育休中は収入状況や復職後の働き方が通常時と異なるため、ペアローン審査においても金融機関によっては追加の確認が必要になることがあります。
また、妊娠中に治療や経過観察を受けている場合は、その内容によって団体信用生命保険(以下、団信)の審査に影響することがあります。
特に押さえておきたいポイントは、次の2つです。
銀行がチェックする「収入減少」と「復職」のリスク
妊娠中や産休・育休中のペアローン審査が厳しくなる主な理由は、将来の返済能力を慎重に判断するためです。
銀行は、一時的な収入減だけでなく、「予定どおりに職場復帰できるか」「復職後も安定した収入を維持できるか」といった点も重視しています。
たとえば、保育園に入園できず復職が遅れたり、時短勤務によって年収が下がったりする可能性もあります。
このような将来の不確定要素があることから、妊娠中や産休・育休中は通常時よりも慎重に審査が行われる傾向があります。
妊娠中の「健康状態」が団信審査に影響することも
妊娠中は、健康状態によって団信の審査に影響する場合があるため注意が必要です。
たとえば、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などで通院・治療を受けている場合は、告知内容をもとに加入可否が判断されます。
団信への加入を住宅ローンの条件としている金融機関も多いため、健康状態によっては住宅ローン審査に影響を与える可能性があります。
【FPからのアドバイス】
育休中は収入の扱いや団信審査に注意
妊娠中や産休・育休中に住宅ローンを検討する際によくある誤算は、産休前の年収をそのまま審査に使ってもらえるとは限らないことです。
金融機関によっては育休中の収入を審査上、算入しなかったり、復職後でなければペアローンや収入合算を利用できなかったりする場合があります。
実際のご相談事例では、夫が個人事業主で、自身の単独の収入では希望する借入額に届かず、会社員である妻の収入を合算する必要があるご夫婦がいらっしゃいました。
しかし、妻が育休中だったため、申し込みを検討していた金融機関から「復職後でなければ、2人分の収入での審査はできません」と案内され、住宅購入の計画を見直すことになったケースがありました。
また、妊娠中に治療や経過観察を受けている場合は、その内容が団信の告知対象となり、審査に影響する可能性があります。
妊娠していること自体が問題になるのではなく、診断内容や治療・投薬の有無などをもとに判断される点も、事前に知っておきたいポイントです。
金融機関によって「収入の扱い(計算方法)」が大きく異なる

産休・育休中の住宅ローン審査では、金融機関によって収入の計算方法が異なります。おおむね下記のような取扱いがあるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
対応パターン1:産休前の年収を「そのまま」評価してくれる銀行
産休前の年収を基準に返済能力を判断します。復職予定が確認できれば、通常時と同様に審査を受けられるケースがあります。
対応パターン2:年収を「減額(割り引いて)」計算する銀行
育休中の収入や復職後の見込み年収を考慮し、産休前より少ない年収で返済能力を算出します。そのため、借入可能額が希望より少なくなる場合があります。
対応パターン3:「復職後」でなければ審査自体ができない銀行
育休中は収入合算やペアローンを認めず、復職後に実際の収入が確認できてから審査を行います。そのため、住宅購入の時期を見直す必要が生じるケースもあります。
「フラット35」も選択肢のひとつ
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」では、資金実行時に育児休業中で復職していない場合でも、原則として休業前の給与収入をもとに年収を算出する取扱いとなっています。
ただし、取扱金融機関によって必要書類や運用が異なる場合があるため、事前の確認が必要です。
【FPからのアドバイス】
復職を証明する書類で育休中でも審査できたケースも
産休・育休中の住宅ローン審査は、金融機関によって対応が大きく異なります。
たとえば、復職後でなければペアローンや収入合算の審査を受け付けない金融機関もあれば、育休中でも審査は可能で、復職後に融資を実行する金融機関、復職予定を証明する書類を提出することで、育休中でも審査から融資実行まで対応する金融機関もあります。
また、同じ金融機関でも、夫婦の雇用形態や年収、復職時期、復職後の勤務条件などによって審査結果は異なります。
実際の相談では、妻が大手企業勤務で、産休・育休制度が整っていて復職予定が明確だったケースで、勤務先が発行した復職予定を確認できる書類を提出したことで、育休中でも住宅ローン審査を進められたケースがありました。
銀行選びでは、「育休中でも利用できるか」だけで判断するのではなく、育休中の収入の評価方法や復職予定証明書の要否、復職が必要となるタイミング、時短勤務予定の場合の年収の扱いなどを事前に確認しておくことが大切です。
後悔しない! 妊娠・育休中のマイホーム購入3つの対策

妊娠・育休中のマイホーム購入では、将来の収入や家計の変化を見据えた資金計画が大切です。後悔しないために、押さえておきたい3つの対策を紹介します。
対策1:あえてペアローンにこだわらず「借入額」と「ローンの組み方」を見直す
産休・育休中で妻の収入減少により希望どおりの借入額にならない場合は、ペアローンにこだわらず、夫の単独ローンで購入できる価格帯へ予算を見直したり、収入合算(連帯保証型)や連帯債務なども含め、それぞれの特徴を比較して借り方を検討しましょう。
ただし、収入合算などほかの借り方に変更すれば返済負担が軽くなるわけではありません。大切なのは、産休・育休後の実際の世帯収入で無理なく返せる借入総額に抑えることです。
【FPからのアドバイス】
ペアローン、収入合算、連帯債務の違い
夫婦で住宅ローンを利用する方法には、大きく分けて「ペアローン」「収入合算(連帯保証型)」「連帯債務型」があります。
ペアローンは、夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約し、それぞれが債務者になります。
夫婦とも要件を満たせば住宅ローン控除や団信を利用できますが、契約が2本になるため諸費用も増えます。
収入合算(連帯保証型)は、一方が住宅ローンの債務者となり、もう一方の収入を合算して審査する方法です。
収入合算者は連帯保証人となり、住宅ローン控除や団信の対象は主債務者のみとなるのが一般的です。
連帯債務型は、1本の住宅ローンについて夫婦2人がともに債務者となる方法です。
条件を満たせば夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できる場合があります。団信の取扱いは商品によって異なります。
どの方法が適しているかは、借入額だけでなく、団信や住宅ローン控除、諸費用、将来の働き方まで含めて比較することが大切です。
対策2:ペアローンを組む「タイミング」をずらす
産休・育休中は借入額が制限されたり、申し込み自体が難しかったりするケースもあるため、急ぎで購入する必要がなければ、復職後までタイミングを待つのもひとつの方法です。
復職後は給与実績や勤務状況を確認できるため、金融機関によっては復職後の給与実績をもとに審査を受けられるようになります。
対策3:教育費と住宅ローンのバランスを見直す
住宅ローンは産休前の世帯年収だけを基準に借入額を決めるのではなく、将来のライフプランも見据えて無理のない返済計画を立てることが大切です。
子どもが生まれると教育費などの支出が増えるため、教育費と住宅ローンの両方を考慮し、家計に余裕を持たせた資金計画を心がけましょう。
【FPからのアドバイス】
「借りられる金額」ではなく収入が減っても「返せる金額」を考える
出産後に子育てが始まると、保育園に入れず復職が遅れたり、家事や育児の負担が想像以上に大きく、時短勤務や退職を選ばざるを得なくなったりすることがあります。その結果、世帯収入が当初の想定を下回る可能性も少なくありません。
そのため、ご相談を受ける際は収入をひとつの前提で決めず、複数のライフプランを作成します。
1.予定どおりフルタイムで復職する場合
2.時短勤務で収入が減る場合
3.復職が半年〜1年遅れる場合
4.片働きになる場合 など
それぞれのケースについて、家計の収支や貯蓄の取り崩し額、住宅ローンを無理なく返済できる収入水準を確認します。
あわせて、保育料や教育費、住宅の維持費など、出産後に増える支出も反映したうえでシミュレーションを行います。
さらに、子どもの進路や教育費が増える時期も見据え、勤務時間を戻す時期によって家計がどう変わるかも確認します。
審査に通る借入額ではなく、収入が想定より下回っても家計を維持できる範囲で借入額を設定することが重要です。
妊娠中や産休・育休中のローン審査は「プロ」に相談しながら進めよう

妊娠中や産休・育休中に住宅ローンを検討するなら、まずはプロへ相談するのがおすすめです。
金融機関によって審査基準や必要書類は異なるため、「どの銀行を選べばよいのか」「復職証明書は必要なのか」といった内容を一人で調べながら申し込むのは、時間や手間がかかります。
また、自分の状況に合わない金融機関へ申し込んでしまう可能性もあります。
LIFULL HOME’Sの「住まいの窓口」では、中立な立場で資金計画の立て方から家づくりの進め方、建築会社の選び方まで、一人ひとりの状況に合ったアドバイスを提案してもらえます。
さらに、購入後の無理のない返済シミュレーションなど、より専門的な資金計画が必要な場合は、FPを紹介してもらうことも可能です。
妊娠中・育休中でも安心して住宅購入を進めたい方は、ぜひ活用してみてください。
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【FPからのアドバイス】
「借りられる銀行」を探すだけではない住宅購入の考え方
実際のご相談では、住宅ローンの借入額だけでなく、ご家族の働き方や将来の暮らしを踏まえて住宅購入の方針を見直したケースがあります。
1つ目は、夫婦の収入を前提に育休中のペアローンを希望していたものの、ライフプランを作成した結果、妻の復職が遅れたり時短勤務が長引いたりすると、家計に余裕がなくなることが分かったケースです。
そこで、育休中でも審査に対応する金融機関を探すだけでなく、住宅予算そのものを見直し、収入が想定より下がっても無理なく返済できる借入額に変更しました。
その結果、希望する時期に住宅を購入しながら、出産後も家計に余裕を持って生活できる計画を立てることができました。
また、単純に住宅予算を下げるのではなく、共働きを続けやすい住まいを重視したケースもあります。ライフプランを作成したところ、夫婦で働き続けることで家計に余力が生まれることが分かったため、多少住宅予算が上がっても、通勤などの利便性が高い立地や、家事・育児の負担を軽減できる設備を優先しました。
共働きをしやすい立地や住環境、設備を整えることで働き続けやすくなり、世帯収入の安定につながるのであれば、そのために増える住宅費を「先行投資」と考えることもできます。
このように、住宅購入では「借入額」だけでなく、出産後の働き方や暮らし方まで含めて資金計画を考えることが大切です。将来のライフプランを踏まえて住宅予算や住まいの条件を見直すことで、安心して返済を続けられる住まい選びにつながります。
まとめ
妊娠中や産休・育休中であっても、ペアローンでマイホームを購入することは可能です。ただし、金融機関によって審査基準や必要書類が異なるため、自分たちの状況に合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
また、住宅ローンは「借りられる金額」ではなく、出産後の働き方や教育費なども見据えた「無理なく返済できる金額」で計画することが重要です。
住宅ローン選びや資金計画に不安がある場合は、まずは「住まいの窓口」を活用してみましょう。必要に応じてFPの相談も活用し、将来を見据えた無理のないマイホーム計画を立てましょう。
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