家族で住む賃貸物件を探すとき、まずマンションから見ていく人は少なくないと思います。特に東京では、家族向けの住まいといえばマンションを思い浮かべる人は多いかもしれません。

間取りは2LDKか3LDK。広さは60平米以上。駅からは徒歩10分以内…住まい探しの際は、そんなふうに条件を入れて、出てきた物件を見比べていく人が多いでしょう。

ところが、条件を絞るほど物件は減っていきます。60平米、70平米と広さを上げていくと、候補はみるみる少なくなる。家賃を上げるか、駅から離れるか、どこかで折り合いをつけることになります。

そこで、見落とされがちな選択肢があります。賃貸の一戸建てです。

LIFULL HOME'Sにて2025年の1年間に掲載された東京都内の60平米以上の賃貸物件について、建物の種類ごとの内訳を調べてみました。

この記事では、賃貸の一戸建てがどのくらいあるのか、マンションと比べて広さや家賃はどう違うのか、そしてどの街に多いのかを紹介します。

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まず、東京都内で60平米以上の賃貸物件が、どのような建物なのかを見てみます。2025年に掲載された物件の内訳と、実際に問合せがあった物件の内訳を並べます。

 

▼ 【東京都内】60平米以上の賃貸物件|建物の種類ごとの内訳

建物の種類

掲載物件に占める割合

問合せに占める割合

家賃の目安

広さの目安

築年数

マンション

74.7%

67.1%

19.0万円

67平米

23年

一戸建て

10.7%

11.2%

18.8万円

80平米

15年

アパート

9.6%

13.9%

14.0万円

66平米

9年

テラスハウス

4.6%

7.0%

13.8万円

70平米

18年

※ 掲載物件に占める割合は、2025年の各月に掲載されていた物件の年間平均。問合せに占める割合は、問合せをした人(ユニークユーザー)の数に基づく。家賃・広さ・築年数は、実際に問合せがあった物件の中央値。

 

マンションがもっとも多くの割合を占めるのは、想像どおりかもしれません。

 

注目したいのは一戸建てです。掲載物件の10.7%、10件に1件が一戸建てでした。2024年のデータでも13.2%と、おおむね1割前後で推移しています。

 

問合せの割合も11.2%とほぼ同じ。つまり一戸建ては、避けられているわけでも、特別に人気があるわけでもなく、掲載されている分だけ検討されている、ということになります。

 

そして広さです。一戸建ての広さの目安は80平米。マンションの67平米より、13平米広い。それでいて家賃の目安は18.8万円と、マンションの19.0万円とほぼ変わりません。

 

なお表にあるテラスハウスは、隣の家と壁を共有する低層の住宅のことです。一戸建てに近い形ですが、広さや家賃の水準が異なるため、この記事では分けて扱います。

 

この関係は、面積を細かく分けて見るとはっきりします。

 

▼ 【東京都内】広さ別|問合せがあった物件の建物の種類

広さ

マンション

アパート

一戸建て

テラスハウス

60〜70平米

72.3%

16.8%

4.6%

5.7%

70〜80平米

67.7%

10.4%

12.9%

8.4%

80〜90平米

54.6%

8.0%

26.6%

9.9%

90平米以上

59.1%

4.6%

30.9%

4.6%

実際に問合せがあった物件を見てみると、60〜70平米では一戸建ては4.6%。ところが80〜90平米では26.6%、90平米以上では30.9%まで上がります。3人に1人が一戸建てを選んでいることになります。

 

理由のひとつは、建て方の違いにあります。マンションはワンフロアで部屋をつくるため、広さに限界があります。80平米を超える住戸はどうしても数が限られ、あれば家賃も高くなる。

 

一方、一戸建ては複数の階に部屋を分けられるので、狭い敷地でも床面積を確保しやすくなります。

 

実際、今回のデータでは東京都内の一戸建ての76.6%が2階建て、20.2%が3階建てでした。ただしこの内訳は、エリアによってかなり違います。

 

▼ 【東京都内】一戸建ての階数|23区と市部の違い

エリア

2階建て

3階建て

23区

68.5%

29.6%

市部

92.3%

1.9%

東京都の市部ではほぼ2階建てなのに対し、23区では約3割が3階建てでした。土地が限られる分、上に伸ばしているということのようです。

 

ちなみに40〜60平米の物件では、一戸建ての比率はわずか2.3%でした。60平米という線を超えたところから、一戸建てが選択肢として立ち上がってくる、という構図です。

ポイント

70平米、80平米と条件を上げていくと、マンションだけでは物件が見つかりにくくなります。検索条件から建物の種類の指定を外してみると、それまで出てこなかった物件が並ぶことがあります。

 

ここまでは、東京全体の数字を見てきました。ただ、家賃も広さも街によって大きく違うため、全体の平均だけでは実感がつかみにくいところがあります。

 

そこで、同じ駅のなかでマンションと一戸建てを並べてみます。街の条件をそろえて比べれば、建物の種類による違いがはっきりします。ここでは、掲載されている物件の中央値で比べます。

 

▼ 【東京都内】同じ駅でのマンションと一戸建ての比較

駅

マンションの家賃

一戸建ての家賃

マンションの広さ

一戸建ての広さ

マンションの築年数

一戸建ての築年数

八王子(八王子市)

22.1万円

15.3万円

67平米

95平米

0.5年

1.8年

成増(板橋区)

12.8万円

22.0万円

67平米

87平米

28.4年

0.8年

中河原(府中市)

11.2万円

21.1万円

66平米

83平米

22.0年

1.4年

大泉学園(練馬区)

16.7万円

21.9万円

67平米

85平米

26.9年

1.3年

国立(国立市)

18.8万円

23.0万円

68平米

91平米

23.0年

1.4年

荻窪(杉並区)

24.4万円

29.0万円

69平米

81平米

12.3年

8.8年

用賀(世田谷区)

23.5万円

32.0万円

69平米

79平米

26.8年

13.8年

※ 2025年に掲載されていた物件(専有面積60平米以上)の中央値。一戸建ての掲載が多い駅から抜粋

 

まず目につくのが広さです。マンションが66〜69平米に収まるのに対し、一戸建ては79〜95平米。その差は駅によって10平米から30平米近くまで幅がありました。

 

一方、家賃は駅によって高くも安くもなります。成増や中河原では一戸建てのほうが9万円以上高く、逆に八王子では6.8万円安い。一戸建てだから高い、あるいは安いとはいえないようです。

 

そして、もっとも差が出ているのが築年数です。マンションが築20年を超える駅が多いのに対し、一戸建ては八王子1.8年、成増0.8年、大泉学園1.3年と、築2年に満たない駅が並びます。

 

ただし、すべての駅がそうではありません。荻窪は8.8年、用賀は13.8年と、一戸建ての築年数が上がります。

 

都心に近い成熟した住宅地では、以前から貸し出されている一戸建ても一定数あるということのようです。

 

▼ 【東京都内】一戸建ての築年数|掲載されている物件と、問い合わせられた物件

築年数

掲載されている一戸建て

問い合わせられた一戸建て

築0〜2年

41.4%

20.0%

築3〜5年

16.4%

9.6%

築6〜10年

10.5%

11.7%

築11〜20年

12.1%

14.9%

築21〜30年

8.1%

16.8%

築31年以上

11.5%

26.9%

賃貸で募集される一戸建ては、4割が築2年以内の新しい物件でした。マンションの27%を上回ります。相続対策や土地活用として建てられた賃貸用の住宅が多いためと考えられます。

 

ところが、実際に問い合わせられているのは新しい物件ばかりではありません。築2年以内は2割に下がり、逆に築年数が上がるほど問合せの割合は増えていきます。

 

もっとも多いのは築31年以上で、3割近くを占めました。借り手は築年数より広さを優先しているのかもしれません。

 

成増や中河原で一戸建ての方が家賃が高いのは、この築年数の差によるところが大きいと考えられます。逆に八王子で一戸建ての方が安いのは、マンション側も築0.5年と新しく、家賃が高めに出ているためでしょう。

ポイント

一戸建てを探すときは、築年数の条件を広めに取ってみてください。募集されているのは新しい物件が多いものの、実際に選ばれているのは築30年を超える物件も含めて幅があります。むしろ効くのは広さの条件です。70平米、80平米と上げていくと、マンションでは出てこなかった物件が並びます。

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最後に、どんな街に一戸建ての賃貸があるのかを見てみます。60平米以上の一戸建てが多く掲載されている駅を、1位の駅を100とした指数で並べます。

 

▼ 【東京都内】60平米以上の一戸建ての物件が多い駅ランキングTOP10(全12駅)

順位

駅

区市町村

代表的な沿線

物件の多さ

1位

大泉学園

練馬区

西武池袋線

100

2位

八王子

八王子市

JR中央線ほか

66

3位

下北沢

世田谷区

京王井の頭線ほか

64

4位

荻窪

杉並区

JR中央線ほか

63

5位

昭島

昭島市

JR青梅線ほか

58

6位

立川

立川市

JR中央線ほか

55

7位

代々木上原

渋谷区

小田急小田原線ほか

53

〃

成城学園前

世田谷区

小田急小田原線

53

8位

用賀

世田谷区

東急田園都市線

52

9位

都立大学

目黒区

東急東横線

47

10位

武蔵境

武蔵野市

JR中央線ほか

46

〃

西八王子

八王子市

JR中央線

46

意外に思われるかもしれませんが、12駅のうち7駅が23区内でした。「賃貸の一戸建ては郊外にあるもの」というイメージとは、少し違う結果です。

 

特に目立つのが世田谷区。下北沢、成城学園前、用賀と3駅が入っています。住宅地として開発されてきた歴史のあるエリアで、一戸建てのストックが厚いということのようです。

 

1位の大泉学園は、2位の八王子を5割ほど上回ります。練馬区のなかでも住宅地が広がるエリアで、一戸建てに限らず、マンションなども含めた60平米以上の物件数でも都内27位。マンションも一戸建ても選べる街ということになります。

 

市部では、八王子市の八王子と西八王子、昭島市の昭島、立川市の立川、武蔵野市の武蔵境が入りました。多摩地域のなかでも、JR中央線とその周辺に集まっています。

 

ただし、23区と市部では一戸建ての条件が違います。広さをそろえて比べてみます。

 

▼ 【東京都内】一戸建ての家賃と築年数|23区と市部の比較

広さ

23区の家賃

市部の家賃

23区の築年数

市部の築年数

60〜80平米

18.5万円

14.8万円

22年

11年

80〜100平米

25.0万円

16.0万円

13年

8年

※ 問合せがあった一戸建ての中央値

 

60〜80平米なら、その差は3.7万円。しかも市部のほうが築年数は11年新しくなります。

 

80平米を超えると差は9.0万円まで広がりますが、こちらでも市部のほうが新しい。広さを求めるほど、23区との差は大きくなるようです。

 

もっとも、23区のなかにも幅があります。1平米あたりの家賃で並べてみると、区によってかなり違うことが分かります。

 

渋谷区が1平米あたり4,180円なのに対し、板橋区は1,990円。同じ23区でも2倍以上の開きがあります。80平米の物件にあてはめると、月33.4万円と15.9万円の差になります。

 

そして注目したいのが、23区のなかでも金額が低いほうに並ぶ区です。足立区、江戸川区、葛飾区、北区、板橋区。

 

いずれも三鷹市や調布市といった市部と変わらない水準で、北区と板橋区にいたっては立川市や八王子市より低くなっています。

 

「一戸建てに住むなら市部まで出るしかない」とは限らない、ということになります。

ポイント

一戸建てを候補に入れるなら、市部まで出るという発想の前に、足立区や江戸川区、葛飾区、北区、板橋区といった区も見てみてください。1平米あたりの家賃で見れば、市部と変わらない、あるいはそれより低い水準のケースもあります。同じ予算でも、都心へのアクセスを保ったまま広さを取れる可能性があります。

 

LIFULL HOME’Sにて、東京の賃貸で60平米以上の物件を探すと、10件に1件は一戸建て。90平米を超える物件に限れば、問合せの3割が一戸建てでした。

 

そして、それは郊外にある特別な選択肢ではありませんでした。

 

一戸建ての物件が多いのは世田谷区や練馬区、杉並区といった23区の住宅地。1平米あたりの家賃で見れば、足立区や板橋区は市部より低い水準のケースもあります。

 

そしてもうひとつ。賃貸で募集される一戸建ては、約4割が築2年以内の築浅でした。

 

ただし実際に選ばれているのは築浅物件だけではなく、築30年を超える物件にも問合せが集まっています。広さを優先するなら、築年数の条件は広めに取った方が候補は増えそうです。

 

マンションだけを見ていると、この1割は最初から候補に入りません。60平米以上の部屋を探すなら、一戸建ても選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

 

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項目

内容

調査対象

LIFULL HOME’Sを利用し、対象期間中に東京都内の賃貸物件へ問合せ(反響)を行ったユーザー。専有面積60平米以上の物件に問い合わせた人

対象物件

東京都内の賃貸物件のうち、専有面積60平米以上。マンション・アパート・一戸建て・テラスハウスを含む

データ抽出期間

2025年1月1日〜2025年12月31日

建物の種類

物件テーブルに登録された建物種別による区分。マンション/アパート/一戸建て/テラスハウスの4区分で集計している

集計対象

建物の種類・築年数・徒歩分数は、問合せデータと物件テーブルを照合できたサンプルで集計している。照合できるのは問合せ全体の約45%。照合できたサンプルとできなかったサンプルで、家賃・専有面積・築年数・間取り構成に大きな差がないことは確認済み

集計方法

問合せはユニークユーザー単位で集計(同一ユーザーが同じ駅に複数回問い合わせた場合は1人として数える)。家賃・専有面積・築年数・徒歩分数は、実際に問合せのあった物件の中央値

駅別集計の対象

掲載物件数が都内で上位約3割にあたる183駅。さらに問合せ者数30人未満の駅は除外している

沿線の表記

駅ごとに、問合せ件数が最多の路線1つを「代表的な沿線」としている。複数路線が乗り入れる駅は「JR中央線ほか」のように表記

再現性の確認

掲載物件に占める一戸建ての割合は、2024年の同一集計でも13.2%と、おおむね1割前後で推移している

1平米あたりの家賃

物件ごとに家賃を専有面積で割り、その値の中央値を取ったもの。家賃の中央値を面積の中央値で割ったものではない

集計範囲について

掲載件数は、市場にある部屋の数そのものではない。物件を取り扱う不動産会社の増減や、成約の早さによっても動く

築年数について

掲載物件では一戸建ての約4割が築2年以内(マンションは約27%)。一方、問合せでは築2年以内が20%、築31年以上が27%で、実際に選ばれている物件の築年数には幅がある。築年月の欠損はほぼなく、新しい物件が繰り返し掲載されることによる偏りも確認されなかった(新しい物件の平均掲載月数2.7ヶ月に対し、築31年以上は3.2ヶ月)

物件数の数え方

同じ部屋を複数の不動産会社が掲載しているケースがあるため、建物名・専有面積・賃料の組み合わせで名寄せし、実際に借りられる住戸の数として集計している。名寄せ前の掲載件数では、駅によって重複の程度が大きく異なり、順位が実態とずれるため

 

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