
不動産の売却において、登記簿謄本を取得することは避けて通れない重要なステップの一つです。現在では、重要な書類である登記簿謄本をオンラインで手軽に取得する方法があります。
この記事では、オンラインで登記簿謄本を取得する際の具体的な申請の流れや、その他の取得方法についても解説します。
この記事で分かること
- 登記簿謄本とは
- 登記簿謄本をオンラインで申請・取得する流れ4ステップ
- 登記簿謄本のオンライン以外での取得方法
- 登記簿謄本をオンラインで取得するメリット
- 登記簿謄本をオンラインで取得する際の注意点
もくじ
そもそも登記簿謄本とは

登記簿謄本(とうきぼとうほん)とは、不動産の権利関係を第三者に公示するための公的な文書です。
登記簿謄本には、主に以下の情報が記載されています。
- 所有者の情報(氏名・住所など)
- 土地に関する情報(所在地・地番・地目・面積など)
- 建物に関する情報(所在地・構造・用途・建築年月日・床面積など)
- 権利関係に関する情報(所有権・抵当権・地上権・賃借権など)
登記簿謄本は、不動産取引において不動産を担保に融資を受ける場合や、相続や離婚の際に権利関係を明らかにする場合などに利用します。
※参考:登記簿謄本(登記簿抄本)とは?登記簿謄本(登記簿抄本)の意味を調べる|不動産用語集(LIFULL HOME'S)
【結論】登記簿謄本はオンラインで取得可能
登記簿謄本は、紙媒体の帳簿”登記簿”をコピーしたものであり、大元の謄本は管轄する法務局に保存されています。登記簿謄本は、オンラインでの取得も可能です。
登記情報をオンラインで取得するにあたって、「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律」が制定されています。同法律の第三条第一項及び第四条第一項では、以下の通り記載があります。
法務大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その者の同意を得て、全国に一を限って、次条第一項に規定する業務(以下「登記情報提供業務」という。)を行う者として指定することができる。(第3条第一項)
指定法人は、登記情報の電気通信回線による閲覧をしようとする者の委託を受けて、その者に対し、次項の規定により提供を受けた登記情報を電気通信回線を使用して送信することを業務とする。(第4条第一項)
引用:気通信回線による登記情報の提供に関する法律|e-Gov法令検索
同法律の第3条及び第4条に従い、平成12年6月1日に法務大臣より一般財団法人民事法務協会が指定されてたことから、登記簿謄本に加えて、商号登記簿、法人の登記簿、動産・債権譲渡登記事項概要ファイルなどがオンラインで取得できるようになりました。
ちなみに、登記簿謄本をオンラインで取得できるようになったのは2004年4月からであり、以前よりサービスが存在していることが分かります。
登記簿謄本をオンラインで申請・取得する流れ4ステップ

ここからは登記簿謄本を実際にオンラインで申請・取得する際の流れについて解説します。主に、以下の4つのステップに分かれています。
- STEP1.「登記・供託オンライン申請システム」で情報を登録する
- STEP2.証明書の請求作業を実施する
- STEP3.交付方法を選択する
- STEP4.手数料を電子納付する
STEP1.「登記・供託オンライン申請システム」で情報を登録する
まず最初に、「登記・供託オンライン申請システム(別名:登記ねっと/供託ねっと)」に情報登録を行います。このシステムは、法務省が提供するオンラインサービスの一つで、登記情報の取得だけでなく、金銭や振替国債供託の情報申請・取得できるサービスです。
オンライン申請のために作られたものであり、パソコンだけでなくスマートフォンでも問題なく利用できます。
情報登録には、ユーザーIDとパスワードの設定が必要で、初めて利用する場合は利用者登録を完了させる必要があります。登録時には、個人情報の入力が求められるため、正確に入力し、システムへのアクセスを確保することが重要です。
STEP2.証明書の請求作業を実施する
次に、証明書の請求作業を行っていきます。具体的にどの不動産の登記簿謄本を取得したいか明確にしたうえで、該当する不動産の所在地や登記番号など、必要な情報を入力します。
システムは入力された情報に基づき、対象物件の登記情報を検索し、該当する情報が見つかると、請求する証明書の種類(登記簿謄本や図面など)を選択する画面が表示されます。
注意点として、「登記・供託オンライン申請システム」では住居表示は使用しないことを理解しておきましょう。不動産の登記簿の申請では、土地に関しては地番、建物に関しては家屋番号で調べるので、それぞれの番号について把握する必要があります。
STEP3.交付方法を選択する
次のステップでは、取得する登記簿謄本の交付方法を選択します。
オンラインで取得する場合、通常はPDF形式でダウンロード可能ですが、紙の証明書が必要な場合は、郵送での受取りも可能です。オンラインでのダウンロードを選択した場合、手続き完了後すぐに証明書を取得することができます。
一方で、オンライン申請で取得した登記簿謄本は、正式書面として利用できない点がデメリットです。正式書面としての利用できない場面については後ほど詳しく説明していきます。
STEP4.手数料を電子納付する
最後に、手数料の電子納付を行います。登記簿謄本の取得には、一定の手数料が発生します。オンラインシステムでの支払い方法について以下の方法があります。
- クレジットカード
- インターネットバンキング
- コンビニエンスストアでの支払い
上記の支払い方法から選択し、必要な手続きを行うことで、手数料の支払いが完了します。手数料を支払うことで、登記簿謄本の取得手続きが正式に完了します。
個人の場合には個別での申請と支払いが一般的ですが、ディベロッパーなどの不動産会社は1ヶ月で数十件、多い時には数百件の申請をするので、月末に締めて翌月にまとめて支払う契約形態を取るケースもあります。
登記簿謄本のオンライン以外での取得方法

登記簿謄本は、オンライン以外で直接受取る方法もあります。具体的には、大きく以下2つのステップに分かれています。
- 法務局の窓口で直接交付してもらう
- オンラインで申請後に窓口で交付してもらう
法務局の窓口で直接交付してもらう
実際に最寄りの法務局、もしくは地方法務局の窓口で申請する方法です。この場合、請求書に取得したい登記簿謄本の詳細(所在地や地番、家屋番号など)を記載します。万が一、番号が間違っていると、そのたびに書き直す必要があるので注意が必要です。
手数料の支払い方法は現金が一般的ですが、場所によってはクレジットカードや電子マネーが使用できる場合もあります。
詳しくは、取得する予定の法務局に直接確認しておくと良いでしょう。支払いが完了すると、窓口で直接登記簿謄本が交付されて終了となります。
オンライン申請後に窓口で交付してもらう
オンラインで申請後に窓口で交付してもらう方法もあります。
まずは、登記・供託オンライン申請システムを使用して、登記簿謄本の申請を行います。その際に交付方法として「窓口での受取り」を選択します。
その後、支払いをオンライン上で行います。実際に窓口に取りに行く場合でも支払いはオンライン上で行うので覚えておくと良いでしょう。
最後に、最寄りの法務局などで登記簿謄本が交付されます。その際には申請時のIDや申請番号は必要になるので、必ずメモしておきましょう。
登記簿謄本をオンラインで取得するメリット

ここからは、登記簿謄本をオンラインで取得するメリットについて解説していきます。
- 窓口に行く必要がないので時間や手間を省ける
- 申請受付時間が長くなる
- 手数料が安くなる
- 無料で閲覧できるサービスがある
窓口に行く必要がないので時間や手間を省ける
登記簿謄本をオンラインで取得する最大のメリットは、実際に法務局の窓口を訪れる必要がなく、時間や手間を大幅に省ける点です。
自宅やオフィスからネットを通じて簡単に申請でき、移動にかかる時間や交通費を節約できます。場合によってはスマホで申請できるので、移動している最中でも申請できます。
特に、日中は仕事や他の用事で忙しい人にとって、限られた時間内に窓口を訪れる必要がない点は、大きなメリットといえるでしょう。
申請受付時間が長くなる
オンラインで登記簿謄本を取得する場合、申請受付時間が24時間365日となり、時間の制約を受けることがありません。これにより、昼間は忙しくても夜間や休日に申請することが可能です。
一方で、窓口の場合には現地に行き紙の記入や待ち時間、事務員とのやり取りなどが発生し、法務局の中だけでもおよそ30分以上は拘束されることになります。
オンライン申請では、窓口が開いている平日の日中だけでなく、自分の生活リズムや仕事のスケジュールにあわせて申請作業を行えるため、より柔軟に対応できます。
手数料が安くなる
オンライン申請は、手数料が安くなる点も大きなメリットの一つです。
具体的には、窓口で登記簿謄本を請求する場合は手数料が600円、オンライン請求にて郵送で受取る場合は500円、最寄りの法務局などで受取る場合は480円とオンラインの方が安いことが分かります。
中には、法務局が自宅や勤務先から遠い人もいるので、電車での移動も考慮すると、オンラインのほうが合理的といえるでしょう。
※参考:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です|法務局
無料で閲覧できるサービスがある
登記情報提供サービス自体を無料で利用することはできませんが、企業について以下の内容を無料で検索することは可能です。
- 会社が存在しているのか
- 設立及び申請された会社の登記が反映されているのか
ただし、不動産の登記に関しては無料で利用できるサービスはないので、無料での閲覧の対象としては限定的であると認識しておくと良いでしょう。
登記簿謄本をオンラインで取得する際の注意点

登記簿謄本をオンラインで取得する場合、以下3つの注意点があります。
- 住所は省略せずに正確な情報を記載する
- 交付までの日数を把握する
- 発行手数料を支払って正式な書類を発行してもらう
住所は省略せずに正確な情報を記載する
オンラインで登記簿謄本を取得する際、申請フォームに入力する住所は省略せずに正確な情報を記載することが重要です。不動産登記情報は、所在地に基づいて管理されており、住所の記載に誤りがあると、目的の物件の情報を正確に検索・取得できません。
特に、オンライン申請で土地は地番、建物に関しては家屋番号を用いて申請することになるため、所在地と地番と家屋番号について理解した上で申請を行いましょう。
交付までの日数を把握する
オンラインで登記簿謄本を申請する場合、申請から実際に書類を受取るまでの所要時間を事前に把握しておくことが重要です。
オンライン申請の場合、多くは迅速に処理され、PDF形式で即時ダウンロードできる場合もありますが、交付方法によっては数日かかることもあります。
例えば、紙の謄本を郵送で受取る場合、処理時間や郵送期間が加わるので、受取りまでに数日間を要することがあります。
特に、取引や手続きの締め切りが迫っている場合には、この時間を考慮して申請する必要があります。事前に法務局のウェブサイトなどで最新の情報を確認し、計画的に申請を進めるようにしましょう。
発行手数料を支払って正式な書類を発行してもらう
オンラインで登記簿謄本を取得する際には、発行手数料が必要です。
手数料は、取得する登記簿謄本の種類やページ数によって異なり、オンラインでの支払い方法にはクレジットカードや電子マネー、インターネットバンキングなどがあります。手数料を支払うことで、登記簿謄本を発行してもらえますが、手数料の未払いは申請の不備となり、書類の発行が遅れる原因にもなります。
そのため、申請時には手数料の支払いを忘れずに行うことが重要です。また、オンラインで支払いを完了した際には、支払い証明となるレシートや確認画面のスクリーンショットを保存しておくと、後々の確認や必要時に役立つことがあるでしょう。
上記の注意事項とは別で、オンラインで発行された登記簿謄本には法的拘束力がないことを知っておくと良いでしょう。
契約書などに添付する正式な書類としてはオンライン申請でも良いですが、必ず窓口で発行してもらう登記簿謄本を利用することを覚えておきましょう。
登記簿謄本に関するよくある質問

ここからは登記簿謄本に関するよくある質問を紹介します。
- 登記簿謄本は本人以外の誰でも取得できる?
- 登記簿謄本を閲覧すると第三者にばれる?
- 登記簿謄本はスマホからでも申請できる?
登記簿謄本は本人以外の誰でも取得できる?
登記簿謄本は、本人だけでなく第三者も取得可能です。不動産の公的な記録であるため、誰でも法定の手続きを経て取得できます。
登記簿謄本を閲覧すると第三者にばれる?
登記簿謄本を閲覧しても、その情報を閲覧したことが第三者に知られることはありません。閲覧履歴は公開されないため、プライバシーは守られます。
登記簿謄本はスマホからでも申請できる?
登記簿謄本は、スマートフォンからでもオンライン申請することが可能です。インターネットに接続できる環境があれば、場所を問わず申請できます。
登記簿謄本など不動産売買の相談ができる不動産会社を見つけよう

登記簿謄本は、不動産の説明書的な役割を果たすものです。保有している物件を売却するときや、気になっている物件を購入検討する際には、登記簿謄本を手に入れることが売却活動の第一歩といえるでしょう。
初めて登記簿謄本を取得することは時間と手間がかかるケースもあるので、自分に合った不動産会社を見つけて相談することをおすすめします。
不動産会社は、登記簿謄本の知識も豊富であり、権利関係の課題などをアドバイスしてもらえるでしょう。また、自分に合った不動産会社と出会うためには、複数社に査定依頼することを推奨します。
LIFULL HOME’Sでは全国4,500社以上(2024年2月時点)の提携不動産会社から査定を依頼する会社を選べます。不動産会社の特徴や強みなども細かく掲載し、詳細情報を一覧で見て確認できます。
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記事執筆・監修
大竹 涼土(おおたけ りょうと)
(株)ジェイアール東日本都市開発にて、リノベーション賃貸住宅や高級分譲住宅の開発に従事。その後、リノベる(株)にてリノベーションを中心とした法人営業を行い、グッドデザイン賞をこれまでに4件受賞。宅地建物取引士。現在は不動産売却ライターとしても活動中。