最上階マンションの空き巣被害の実態
「高層階だから狙われない」というイメージとは裏腹に、警察庁の最新統計でも共同住宅を対象とした侵入窃盗は一定数発生し続けています。件数の推移と、なぜ最上階が意外と無防備になりやすいのかを整理します。
高層階特有の"見落としがちな侵入口
一戸建てや低層階とは異なり、高層階では実は「玄関」からの侵入が多いというデータがあります。屋上やベランダばかりに気を取られがちな盲点を、最新データをもとに解説します。
内見・入居前にチェックすべき判断軸
屋上・共用部・鍵の種類など、契約前に確認しておきたいポイントを独自のチェックリストと比較表にまとめました。今住んでいる部屋、これから探す部屋のどちらにも使える実践的な内容です。

毎月の家賃を払うたびに、「この部屋、本当に安全なのかな」と、ふと不安がよぎることはないでしょうか。特に最上階の部屋は、見晴らしがよく、上階からの騒音もなく、なんとなく「空き巣とは無縁」というイメージを持たれがちです。実際、家賃や管理費が周辺の部屋より高めに設定されていることも多く、それだけ「特別な部屋」という安心感につながっているのかもしれません。

しかし、その安心感こそが、実は落とし穴になり得ます。空き巣は「入りやすそうな家」だけでなく、「油断していそうな家」も見逃しません。最上階だからといって鍵をかけ忘れたり、ベランダの防犯を後回しにしたりしていないでしょうか。この記事では、最新の公的データをもとに、高層階の部屋がどのような形で狙われているのか、そして今日から実践できる対策を、順を追って紹介します。
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警察庁の発表によると、住宅を対象とした侵入窃盗の認知件数は令和7年に1万7,152件にのぼり、前年比で7.2%増加しています。1日あたりに換算すると、全国で約47件もの住宅が被害に遭っている計算です。

 

侵入窃盗の発生場所を見ると、もっとも多いのは一戸建住宅で全体の29.1%を占めています。一戸建てに比べれば共同住宅、特に4階建以上の高層マンションの被害割合は低めであるのは事実です。しかし、割合が低いことと「被害がゼロに近い」ことはイコールではありません。侵入窃盗のうち、住人が留守にしている間を狙う「空き巣」は手口別でもっとも多く、全体の約4分の1を占めており、高層マンションもこの手口の対象から外れているわけではないのです。

(出典:警察庁「住まいる防犯110番」

最上階の部屋は、道路や隣接する建物から見上げてもベランダの様子が確認しづらく、周囲からの視線が届きにくいという特徴があります。この「見えにくさ」は住む人にとってはプライバシーの確保になりますが、裏を返せば、侵入者にとっても「目撃されにくい作業環境」になり得るということです。

 

加えて、最上階は家賃・管理費が高めに設定されていることが多く、室内にある程度の資産があると判断されやすい面もあります。「見えにくい」「お金がありそう」という2つの条件がそろうことで、最上階はむしろ一定の魅力を持つターゲットになり得ることを、まずは知っておく必要があります。

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高層階を狙う侵入手口として知られているのが、マンションの屋上からロープを垂らしてベランダに降りる「下がり蜘蛛」や、雨樋や排水管を伝ってよじ登る「雨樋登り」といった方法です。屋上への出入口に鍵がかかっていなかったり、住民以外でも簡単に立ち入れたりする物件は、こうした手口の入口を与えてしまっている状態といえます。

多くの人が「高層階の危険な場所」としてまず思い浮かべるのはベランダや窓ではないでしょうか。しかし、警察庁のデータをよく見ると、意外な事実が浮かび上がります。共同住宅(4階建以上)における侵入口を件数の多い順に並べると、1位は「表出入口」、つまり玄関で、2位が「窓」となっているのです。

 

さらに侵入の手口を見ても、共同住宅(4階建以上)では1位が「無締り」、2位が「合かぎ」、3位が「ガラス破り」の順となっており、一戸建て(1位はガラス破り)とは傾向が異なります。つまり高層階では、屋上やベランダからの派手な侵入よりも、玄関の施錠忘れや合かぎの管理不足という、日常の小さな油断が被害につながりやすい傾向があるのです。「うちは高層階だからベランダさえ気をつければ大丈夫」という考え方は、この点で見直す余地があるといえます。

(出典:警察庁「住まいる防犯110番」

立地条件も見逃せません。人通りが少なく、周囲に高い建物がない場所に建つマンションは、屋上や高層階のベランダで作業をしていても人目につきにくく、侵入者にとって行動しやすい環境になります。反対に人通りが多い立地や、周囲に同程度以上の高さの建物がある場合は、目撃されるリスクが上がるため、空き巣に敬遠されやすくなります。

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住宅の形態によって、侵入されやすい経路や手口には違いがあります。警察庁のデータをもとに、住宅形態別の傾向を比較表にまとめました。

住宅形態侵入手口(多い順)侵入口(多い順)
一戸建住宅ガラス破り/無締り/合かぎ窓/表出入口/その他出入口
共同住宅(3階建以下)無締り/ガラス破り/合かぎ表出入口/窓/その他出入口
共同住宅(4階建以上)無締り/合かぎ/ガラス破り表出入口/窓/その他出入口

(出典:警察庁「住まいる防犯110番」

 

この比較から分かるように、階数が上がるほど「窓からのガラス破り」よりも「玄関からの施錠忘れ・合かぎ」の比重が相対的に高まる傾向にあります。これを踏まえて、内見時には次の視点でチェックしておくと安心です。

  • 屋上に続く扉は施錠されているか、住民以外が立ち入れない管理になっているか
  • 玄関の鍵はディンプルキーなど、ピッキングや合かぎ複製がされにくいタイプか
  • 前の入居者の鍵が交換された記録があるか(管理会社・不動産会社に確認)
  • ベランダの囲いが高すぎて、外から死角になっていないか
  • エントランスや共用廊下に防犯カメラ・オートロックがあるか
  • 建物周辺の人通りや照明の明るさはどうか(できれば夜間にも確認する)

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ここまで見てきたとおり、高層階の被害の多くは「無締り」、つまり鍵のかけ忘れがきっかけになっています。ゴミ出しや近所への買い物など、ほんの数分の外出であっても、玄関と窓の両方をきちんと施錠する習慣をつけることが、もっともシンプルでありながら効果の高い対策です。また、在宅中であっても就寝時や来客対応時には施錠・チェーンをかける意識を持つことも大切です。

窓には、開けられた際にセンサーが反応する防犯アラームや、穴あけ不要で賃貸物件にも取り付けやすい後付けの二重鍵が市販されています。玄関側については、合かぎの管理をこまめに行うことに加え、ドアスコープにカバーを付けて外から室内の様子を推測されにくくする、宅配ボックスを活用して不在時間を悟られにくくするといった工夫も有効です。こうしたグッズは数千円程度から購入でき、退去時の原状回復を気にする場合は、工事不要のタイプを選ぶと安心です。

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最上階や高層階の部屋には、眺望のよさや上階からの生活音が少ないといった、他にはない魅力があります。その魅力を安心して享受するためにも、「高層階だから大丈夫」という思い込みを一度手放し、玄関の施錠や鍵の管理といった、つい後回しにしがちな基本を見直してみることが、結果的に一番の近道になります。

 

今の部屋のセキュリティに少しでも不安を感じている場合、いきなり引っ越しを考える必要はありません。まずは今と同じ価格帯で、セキュリティ面がどう違うのかを眺めてみるだけでも、判断の材料が増えるはずです。

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Q1. オートロック付きなら、最上階でも空き巣対策は十分ですか?

A. オートロックは不審者の侵入経路のひとつを塞ぐ有効な設備ですが、それだけで安心はできません。共連れ(住民の後についてエントランスに入る手口)などでオートロックをすり抜けられるケースもあるため、玄関の施錠や補助錠の活用など、複数の対策を組み合わせることが大切です。

 

Q2. 賃貸物件でも防犯グッズは取り付けられますか?

A. 工事や穴あけが不要なタイプの防犯グッズであれば、多くの賃貸物件で取り付け可能です。ただし退去時の原状回復トラブルを避けるため、事前に管理会社や大家さんに確認しておくと安心です。

 

Q3. 屋上に自由に出入りできるマンションは避けたほうがよいですか?

A. 屋上への出入口が施錠されておらず、誰でも立ち入れる状態になっている物件は、屋上を経由した侵入経路が生まれやすくなります。内見時に屋上や共用部の管理状況を確認しておくことをおすすめします。

 

Q4. 一人暮らしでも最上階を選んで問題ないですか?

A. 最上階自体が一律に危険というわけではありません。むしろ人通りの多い立地や、防犯カメラ・オートロックが整った物件を選べば、一戸建てなど他の住宅形態と比べて相対的に安心して暮らせる場合も多くあります。この記事で紹介したチェックポイントを内見時の判断材料にしてみてください。

 

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更新日: / 公開日:2020.06.18