免震構造は強風でゆっくり揺れることがある
地面と建物を絶縁して地震の揺れを逃がす免震構造の特性上、台風などの強風を受けるとゆっくりとした揺れ(風揺れ)を感じることがあります。
詳しくは、「免震構造が台風の強風で揺れやすい理由と安全性への影響」をご覧ください。
強風で揺れても建物の安全性には問題ない
強風によって建物がゆっくりと揺れるように動いても(風揺れ)、構造上の安全性に影響はなく、建物が損壊・倒壊する可能性は極めて低いとされています。
詳しくは、「風で揺れても建物の安全性や耐震性に影響はない」をご覧ください。
浸水を防ぐには排水口の清掃と水のうで被害を軽減
台風による主な被害は水害です。ベランダの排水口をきれいに清掃し、トイレやキッチンの排水口に水のうを設置して逆流の被害を軽減しましょう。
詳しくは、「賃貸物件で入居者がすぐに実践できる効果的な台風対策」をご覧ください。

地震大国といわれる日本では、住宅の耐震性能が向上し、免震・制震などの技術を採用した賃貸物件も増えています。しかし、台風の被害を受けやすい地域では、風雨に対する安全性や「免震構造は強風で揺れる」という噂の真偽も気になるポイントです。

 

今回は、地震に強いとされる「免震」「耐震」「制震」の特徴と違いについて触れたうえで、免震構造が台風による強風に対してどのような特徴があるのかを詳しく解説します。さらに、賃貸物件で入居者が今日からできる具体的な台風対策もあわせてご紹介します。

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「免震」「耐震」「制震」構造の違い

地震に強い建物の構造としては「免震構造」「耐震構造」「制震構造」の3種類が主流となっています。それぞれの構造が持つ特徴について詳しく見ていきましょう。

免震構造とは、地震の揺れを吸収し、建物本体へ伝わる揺れを大幅に低減するよう設計された構造です。地面(基礎)と建物の間に、ゴム製アイソレーターやダンパーと呼ばれる特殊な「免震装置」を設置するのが基本的なつくりとなっています。

 

地震が発生した際には、この免震装置が変形することで地震のエネルギーを吸収し、建物の揺れを大幅に低減します。

 

建築コストがかかりやすいため、賃貸物件の場合は周辺相場よりも家賃が少し高めになる傾向があるものの、室内の家具転倒や家電の破損を大きく防ぐことができる非常に有効な仕組みです。

耐震構造とは、柱や梁、壁などの建物を構成する部材そのものを頑丈に組み立てることで、地震による倒壊や損壊を防ぐ一般的な構造です。耐震構造の大きな特徴は、他の構造に比べて建築コストを安く抑えられる点にあります。

 

なお、1981年6月に建築基準法が大幅に改正され、いわゆる「新耐震基準」が導入されました。1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は、新耐震基準に基づいて設計されています。

 

ただし、耐震構造は「揺れをそのまま建物で受け止めて耐える」性質上、上の階に行くほど実際の揺れは大きくなりやすく、室内の家具が転倒するリスクは免震構造より高くなります。

制震構造とは、建物の内部(主に壁の中や柱の接合部など)にダンパーなどの「制震部材」を組み込み、地震のエネルギーを吸収して揺れを抑える構造です。

 

建物自体の揺れを直接抑制するという点では免震構造と似ていますが、地盤と建物を絶縁する免震構造とは異なり、制震構造は建物自体が地面とつながっています。

 

特に高層マンションやタワーマンションでは、制震構造や免震構造が採用されるケースが多く見られます。

制震構造は地震だけでなく風による揺れの低減にも効果が期待できます。一方、耐震構造は建物の強度を高めることで地震や風などの外力に耐える構造です。

その理由と安全性について解説します。

免震構造が風に対して特殊なのは、「地面から伝わる縦横の激しい揺れ」を吸収することを第一の目的としているためです。免震建物は、地面と建物が免震ゴムなどによって柔らかく支えられている状態にあります。

 

そのため、台風のような横から吹きつける持続的な強い風の力を受けると、地面からの地震が起きていなくても、建物がゆっくりと揺れる「風揺れ」を感じることがあります。

 

また、高層階や周囲に風を遮る建物が少ない立地では、風の影響を受けやすく、ゆっくりとした揺れを感じることがあります。

「台風による強風でゆっくり揺れる」と聞くと不安に思う人もいるかもしれませんが、通常想定される台風による強風では、建物の構造安全性が損なわれるものではありません。一定以上の強風時に免震層の動きを抑える「耐風装置」を備えた建物もあります。

 

また、台風では、建物の揺れそのものよりも、飛来物による窓ガラスの破損や、大雨による浸水・水害などへの備えが重要です。そのため、どのような構造の賃貸物件であっても、実情に合わせた事前の台風対策を行うことが重要になります。

賃貸物件でできる台風対策

近年の大型台風では、強風による被害だけでなく、大雨による河川氾濫や浸水害、土砂災害などが大きな被害につながっています。

 

入居者が賃貸物件で自らの身と住まいを守るために、すぐにできる実践的な対策を強風対策と浸水対策に分けて解説します。

強風時に最も被害が出やすく、かつ怪我のリスクが高いのが窓ガラスです。台風の接近が予測されたら、以下の対策を行いましょう。

  • 雨戸やシャッターを閉める:雨戸がある物件なら、必ずすべて閉めて鍵をかけましょう。飛来物から直接窓ガラスを物理的にガードしてくれます。
  • 飛散防止フィルムや養生テープを貼る:マンションの上層階など、雨戸が付いていない物件では、窓ガラスの内側に飛散防止フィルムを貼るか、養生テープを「米」の字を描くように貼って補強します。これはガラスの飛散を防いで二次被害を抑えるための処置であり、ガラス自体の破損を防ぐものではないため、台風時は窓から離れて過ごしてください。
  • ベランダの私物を室内に取り込む:ベランダに置いている物干し竿、植木鉢、ゴミ箱、サンダルなどは、強風で凶器となって隣家や自分の窓ガラスを破る危険性があります。すべて室内に取り込むか、移動が難しい大型のものはロープなどでしっかりと固定してください。

低層階のアパートやマンションの1階などでは、強風だけでなく雨水の浸水対策が極めて重要です。ベランダや共用廊下の水はけが悪くなると、一気に室内へ水が侵入してきます。

  • ベランダの排水口を掃除する:ベランダの排水口(ドレン)に枯れ葉やゴミ、泥などが詰まっていると、大雨の際に排水しきれずプール状態になり、サッシの隙間から室内に水が浸入します。事前にきれいに取り除いておきましょう。
  • 下水道からの「逆流」を防ぐ水のうを設置する:大雨によって下水道の処理能力を超えると、キッチン、浴室、トイレ、洗濯機の排水口から下水がゴボゴボと逆流して室内に溢れ出すことがあります。これを防ぐために「水のう」を設置するのが効果的です。

【効果的な水のうの作り方と設置方法】
1. 45L程度の大きめのゴミ袋を2枚重ねにして強度を高めます。
2. 袋の中に全体の半分程度まで水を入れ、中の空気をしっかり抜きながら口をきつく縛ります。
3. 完成した水のうを、トイレの便器内や、お風呂・キッチンの排水口の上に隙間を塞ぐように直接置きます。
これだけで、排水管からの嫌な臭いや下水の逆流を水の重みで軽減する効果が期待できます。

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大型の台風が接近している際は、物件の物理的な対策だけでなく、適切なタイミングで入居者自身が避難を行うことが何よりも大切です。

 

まずは国土交通省や各市区町村が提供している「ハザードマップ」を確認し、自分が住んでいる賃貸物件のエリアにどのような災害リスク(洪水・高潮・土砂災害など)があるかを事前に把握しておきましょう。

 

特にアパートやマンションの1階に住んでいる場合や、周囲に崖などがある立地の場合は、避難指示が出される前であっても、自治体からの情報を注視して早めの避難行動(水平避難、または頑丈な建物の2階以上へ移動する垂直避難)をとるようにしてください。

 

また、避難経路を事前に確認し、非常用持ち出し袋などの防災グッズも手の届く場所に準備しておきましょう。

・免震構造は免震装置を利用して、地震による激しい揺れを防ぐ有効性の高い仕組みです。

・地面からの揺れを遮断する構造上の特性から、耐震・制震に比べると強風によるゆっくりとした揺れを感じやすい傾向があります。

・免震構造では台風時にゆっくりとした揺れを感じることがありますが、通常想定される台風による強風で建物の構造安全性が損なわれるものではありません。

・台風対策の本質は、飛来物から窓ガラスを守る強風対策と、ベランダの排水口掃除や水のう設置による浸水対策です。

・事前にハザードマップを確認し、地域の災害リスクを把握したうえで、万が一の避難経路を確保しておきましょう。

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A.1 はい、本当です。免震構造は地面と建物を切り離して地震の揺れを吸収する仕組みになっているため、横から吹きつける強い風に対しても建物がゆっくりと揺れる「風揺れ」を感じることがあります。ただし、通常想定される台風による強風で建物の安全性が損なわれるものではありません。

A.2 養生テープを貼ることは、万が一窓ガラスが割れてしまった際にガラス片が室内に激しく飛び散るのを防ぐ効果(飛散防止)はありますが、飛来物が当たった際のガラス本体の破損を防ぐ効果はありません。雨戸やシャッターをしっかり閉めることが最も確実な防護策です。

A.3 ベランダの排水口に落ち葉やゴミが詰まっていると、台風による大雨の際にベランダ内に雨水が排水されず溜まってしまいます。水かさが増すと、サッシの隙間やエアコンの配管穴などから室内に一気に水が侵入し、浸水被害を引き起こす原因になるためです。

A.4 大雨によって下水道の処理能力が限界に達すると、下水管内の圧力が上昇し、空気を押し出しながら下水が逆流しようとします。これにより、家の中で最も低い位置にあるトイレや浴室、キッチンの排水口から水や悪臭がゴボゴボと溢れ出ることがあります。事前に水のうを置いて塞いでおくことで被害を軽減できます。

更新日: / 公開日:2020.06.10