入居の時もそうですが、退去の場合でも今すぐ引越したいと思っても、明日からの家賃を支払わなくていいということはありません。退去の際は、期限が決められている手続きや敷金の清算などのさまざまな手続きがあります。
退去時の流れから損をしない退去のタイミングなど、賃貸物件をスムーズに解約するポイントを解説します。
目次
賃貸物件の退去から引越しまでの流れをおさらい
(1)退去の通知
退去することを決意したらまず、入居時に取りかわした契約書に目を通し、退去通知の「時期」と「方法」について確認します。一般的に退去通知は退去の1ヶ月前までといわれていますが、契約によっては1ヶ月以上前に通知しなければならないケースもあります。通知の方法も、電話のみでいいのか書面の提出が必要なのかを確認しましょう。
(2)引越し日の連絡
引越し日が決まったら、不動産会社への連絡を忘れずに。この時、退去の立会いの日時を決めることが多いようです。
(3)引越し
退去の立会いまでに終えておきたいことは以下の通りです。
- 水道・電気・ガスの終了手続き(もしくは転居手続き)
- 電話・新聞などの清算
- 掃除をする。持ち物やゴミは全て持ち帰る(屋外の物も忘れずに)
- 住民票の転居届
- 郵便物の転送届の提出

退去の告知時期はきちんと調べましょう
(4)退去の立会い
部屋を明け渡す前に、管理会社と室内のキズや汚れ等のチェックを行うことを退去の立会いといいます。所要時間は20~40分程見ておきましょう。
(5)鍵の返却
鍵の原本と、コピーをもらっている場合は不動産会社に忘れずに返却します。もし鍵のコピーを返却していないことが発覚すると、防犯上鍵本体の交換費用を求められることがあります。
(6)敷金精算
敷金から契約書で定められている各種代金が差し引かれ、立会い時に指定した口座番号に振り込まれます。

退去には立ち会いが必要です
退去予告をするタイミングはいつまで?家賃はどうなる?
賃貸住宅から引越す際に注意したいのが、退去予告をするタイミングです。特に賃貸住宅から賃貸住宅への引越しの場合、退去告知が早すぎたり、新居の契約から入居までに時間がかかったりすると、旧居と新居の家賃を二重で支払わなければならなくなる期間が発生します。
この二重家賃を防ぐためには、住み替えを決めた時にすぐ、契約書の退去予告をするのはいつまでにするのかということを確認することが大事です。大体は「退去告知は1ヶ月前まで」あるいは「2ヶ月前まで」という条件が付いている場合が多く、当然退去までは家賃を支払うことになるので気をつけましょう。
続いては、契約書の家賃(賃料)について記載されているところを見てみましょう。契約終了月の家賃の清算方法が、日割りか月割りなのかを確認します。例えば、月割りだと4/14に解約すると4/1~4/31までの1ヶ月分の家賃がかかってしまいます。日割りの場合だと、4/14に解約したら4/1~4/14までの間の支払いだけで済むのです。月初めに引越すと丸々1ヶ月分家賃を支払わなければならなくなることもあるため、月割りの場合は月末の引越しがおすすめです。

二重で家賃が発生しないように注意を!
また、旧居の退去予告から退去までの間に、新居の契約をしなければいけません。月途中での引越しの場合、新居の家賃は日割り計算されて請求されるケースが多いようです。新居への引越しが早すぎると、旧居と新居の家賃を二重で支払う日数が多くなり、それだけ費用もかかってしまいます。
賃貸物件の新居の申込から入居日までの間には入居審査があり、1~2週間程度で審査結果が出ます。基本的にはその後すぐ契約・入居という流れになりますが、申込日から入居可能日までの期間が長い物件を探すと、二重家賃の対策に有効です。未完成の新築物件で入居予定は1~2ヶ月後になる物件や、大家さんとの交渉次第で入居日を伸ばしてくれる物件を探せば、二重家賃を払わずに済むことも可能です。
不必要な退去費用で、損をしないための心構え
本来、敷金は故意で壊してしまった箇所を除けば退去時に貸主に返還されることになっています。しかし、敷金が返ってこないどころか、追加で請求されたというケースも少なくありません。
通常は、物件の原状回復に必要なハウスクリーニング代がいくらか差し引かれる程度のはず。原状回復とは、「入居前と同じ状態に戻すこと」であり、この原状回復の範囲は国土交通省によって決められています。立会いの時、担当者が部屋の中をチェックして一方的に費用負担の線引きをつけようとすることがありますが、正確な負担割合は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を見れば明らかです。査定に不信感があるのであれば、すぐに同意書にサインする必要はありません。その場でサインをしなくても部屋の明け渡しは可能なので、原状回復に必要なリフォームなのかどうか、立会いの担当者が不動産仲介業などの場合は、大家さんの了承を得ているのかなどを確認してからの方が安心です。
出典:契約の終了に伴う原状回復義務の考え方-「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」-国土交通省 2011年8月

どこまで借り主負担なのか、原状回復の範囲確認を!
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