不動産会社の物件情報で、専有面積を確認して賃貸物件を選んでも、実際に暮らしてみると狭いと感じるケースがあります。広さを基準に選んだはずなのに、実際の広さとギャップを感じる要因はどこにあるのでしょうか。

専有面積とは何かを解説したうえで、実際の広さとギャップを感じやすいケースについて具体的にみていきます。
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賃貸物件を借りて暮らすとき、実際に住む前と後では、広さのイメージが異なることがあります。物件を検討している段階で現地を内見しますが、家具のない状態では広く感じやすく、家具を置くと狭く感じやすいことが、イメージしていた広さよりも狭く感じる要因の一つです。特に多くの家具を部屋に置く人は、家具が少ない人よりも、狭く感じやすいです。また、同じ専有面積の物件でも、実際に居住スペースとして利用できるスペースには違いがあるため、イメージしていた広さと感じ方が異なるケースもあります。

 

さらに、そもそも専有面積に含まれる部分を誤解して、イメージよりも広い、狭いと思うことも考えられます。

 

賃貸物件の広さは、「専有面積○○m2」という形で表記されていますが、そもそも専有面積とは、どの部分の広さをいうのでしょうか。

 

専有面積に含まれる部分
専有面積とは、専有部分の床面積のことをいいます。専有部分は、「○○号室」として仕切られている、借主が自由に使用してよい室内の部分です。バルコニーやテラス、玄関前のポーチは、専用使用権のある共用部分に当たるため、専有面積には含まれません。また、ロフトは建築基準法の「小屋裏物置等」に該当し、床面積には参入されないことから、専有面積の対象外です。小屋裏物置等とみなされるロフトには、階下の面積の2分の1未満で、天井高が1.4m以下など、一定の要件があります。※1
一方、クローゼットや下駄箱などの収納は、専有面積に含まれます。

 

※1 出典元:神奈川県建築基準法取扱基準|6-1-1 小屋裏物置等P84

 

専有面積の計算方法は2種類
専有面積の計算方法は、壁の厚みの中心線からの面積の「壁芯面積」と、壁の内側の面積の「内法面積」の2種類です。壁芯面積よりも内法面積の方が狭く、実際に使用できる部分の面積です。建築基準法では壁芯面積が用いられ、不動産登記法では内法面積が使われています。また、原則として、分譲マンションの広告では壁芯面積で表記することとされていますが、中古マンションの場合は内法面積で表記されることもあります。賃貸マンションやアパートの専有面積は、内法面積が用いられていることが多いです。

 

「○○m2」と「〇畳」の関係は?
専有面積は「○○m2」で表されますが、和室だけではなく、LDやDK、洋室などの部屋ごとの広さは、「〇畳」で表記されます。実際の畳の大きさは、京間や中京間、江戸間など地域による違いがあり、多くの団地では団地間と呼ばれるサイズの畳が用いられています。ただし、不動産公正取引協議会の「不動産の表示に関する公正競争規約」によって、不動産広告では、1畳は壁芯面積で1.62m2以上とルール化されています。※2
また、畳のサイズに由来した測り方であるので、1畳と表記するようになりましたが、時代の変化とともに洋室の造りが増えてきたことで「畳」から「帖」を使った表記も一般的になりました。

 

※2 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則

 

 

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専有面積から受けるイメージと実際のギャップが起こりやすいのは、どんなケースなのか主なものを挙げていきます。

 

実際よりも写真の方が広く見える
不動産広告や不動産会社で目にする物件情報などに掲載されている写真は、実際よりも広く見えるケースがあります。広角カメラを使って、正面に壁がくる角度ではなく、部屋のコーナーを撮影すると、奥行が感じられるため、広く見えることが多いです。

 

水回りや収納、廊下、メゾネットの階段が占める部分が多い
同じ専有面積の物件でも、水回りの設備や収納、廊下などの占める広さによって、リビングやダイニング、洋室や和室など、居住スペースとして使える広さは異なります。最近は、トイレと浴室、洗面所が一つになった3点式ユニットよりも、バス・トイレ別の物件の方が人気ですが、トイレと浴室を別に設けた方が面積を必要とします。そのため、同じ専有面積の場合、3点式ユニットの物件よりも、バス・トイレ別の物件の方が、居住スペースが狭いケースが多いです。同様に洗濯置き場は室内にある方が便利ですが、その分居住スペースは狭くなります。

 

また、収納が多い物件はモノが多い人には効率よく収められて便利な一方で、モノが少ない人にとっては居住スペースとして使えない無駄なスペースと感じるかもしれません。反対にロフトがある物件は、ロフトは専有面積には含まれていないため、寝るためのスペースや収納として上手く活用できると、広く感じるケースがあります。

 

あるいは、廊下がある物件よりも、廊下がない、もしくは廊下が少ない物件の方が居住スペースは広くなります。メゾネットの場合、階段スペースも専有面積に含まれるため、実際の居住スペースが狭く感じやすいです。

 


天井高が低い・部屋の中央に梁がある
居住スペースとして使える広さに関わらず、狭いと感じやすいのは、天井高が低い物件や部屋の中央に梁があるケースです。天井高が低い物件は圧迫感を感じやすく、窓も小さいと暗いため、狭く感じがちです。また、壁際にある梁は気になりにくいですが、部屋を横断する梁は圧迫感があります。特に梁を挟んで片側にしか照明が設置できないケースは、暗い空間ができてしまうため、注意が必要です。反対に、窓が大きく、明るく開放感のある空間は実際の専有面積よりも広く感じることがあります。

 

暮らし始めてから、居住スペースが狭いと感じることを避けるためには、内見の際に物件をしっかりとチェックして、必要に応じて壁の長さや天井高を測っておくことが大切です。居室の天井の高さは、一般的に2m40cmが標準的な高さですので、それよりも低いと圧迫感から狭く感じやすいです。部屋を横断する梁がないかどうかも確認しておきます。また、部屋の寸法を図り、置きたい家具が配置できるか、家具のレイアウトを検討してみると、住み始めてからギャップが生じるのを防げます。

 

さらに、収納はしまいたいモノに対して適切なスペースかどうか、チェックしましょう。

 

 

まとめ
・同じ専有面積の物件でも、居住スペースとして利用できるスペースによって、イメージしていた広さとギャップが生じることがある。
・専有面積は借主が自由に利用できる室内の部分で、玄関ポーチやバルコニー、ロフトは含まれず、収納は含まれる。
・水回りや収納、廊下などが占める部分が多いと、狭く感じやすい。

 

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更新日: / 公開日:2018.10.04