賃貸物件を借りる際に関わってくる「大家」「管理会社」「仲介会社」。それぞれの違いや役割をご存知でしょうか?
「入居してから設備が壊れてしまったが、どこに連絡すればいいの?」といった問合せが不動産会社にはよくあります。しかし、賃貸借契約を担当した不動産会社と、物件の管理会社とはまた別なのです。
今回は、「大家」「管理会社」「仲介会社」の関係性や役割について解説していきます。
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大家とは?その役割
まず、「大家」とは誰のことを指すでしょうか?
多くは物件の所有者であり、個人の場合もあれば会社の場合もあります。物件の持ち主である「大家」が、物件を誰かに貸した場合の役割についてまとめました。
建物の維持管理
共用部分の清掃やメンテナンスなど日常的な管理、室内設備の修理、退去時のルームクリーニングなど
入居者の管理
入居者の募集、家賃の回収、入居・更新・退去時の契約手続き、退去時の敷金精算など
その他
室内のリフォーム、駐輪場・駐車場使用料の回収、分譲マンションであれば管理費・修繕積立金等の回収など
大家は所有している物件を人に貸すとなると、上記のような様々な業務が生まれます。
すべて大家で対応している場合もありますが、入居者とのやり取りや、急な設備の故障などに対応をするには、「いつでも」「すぐに」は難しいという大家も少なくありません。
そこで、費用はかかりますが、上記の管理内容の一部または全部を不動産会社に委託して賃貸運営を行う方法があります。不動産会社にも種類があるので、「管理会社」「仲介会社」に分けて解説します。

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管理会社とは?その役割
管理会社は名前の通り、大家から委託された物件を管理する会社です。設備の修繕内容や入居状況など、大家に連絡を取りながら上記の1)、2)、3)の管理をしていきます。
どこまでの役割を担うかは大家との管理業務委託契約の内容によりますが、代表的なものをいくつかご紹介したいと思います。

入居者の管理
大家の視点から考えると、管理会社へ業務委託するメリットの1つは入居者の管理と言えます。
水漏れが起こった、お湯が出ないといった設備のトラブルや、隣の部屋がうるさいといったクレームなど、管理会社は入居者からの連絡窓口になってくれます。
こうした入居者からの苦情・要望は、対応が遅れると新たなクレームを生み出してしまいます。入居者の性格も人それぞれですし、クレームは一次対応が大切ですから、賃貸管理のプロである管理会社に対応してもらうと安心です。
これは、入居者に長く住んでもらう(=長く家賃収入を得る)ことにも繋がります。入居者側からしても、トラブルの対処に慣れている管理会社が連絡先になっている方が安心できるというメリットがあります。
家賃の集金代行
大家に代わって管理会社が入居者から家賃を回収し、回収した家賃を大家へ送金するサービスです。
入居している全員がきちんと毎月遅れず家賃を支払ってくれれば問題ないのですが、中には滞納するケースもあります。ひと口に「滞納する」といっても様々なパターンがあります。
例えば「うっかり支払いを忘れていた人」「連絡があれば支払うが、連絡がなければ支払わない人」「お金はあるが、更新料などに納得できず支払いたくない人」「失業などで収入がなくなり、支払えない人」などです。
そこで、委託契約の内容によるものの、管理会社が大家に代わって入居者へ督促します。また、滞納が長期化して明渡し請求訴訟を起こすとなると事態は複雑化します。
管理会社によっては、入居者が家賃を滞納しても数ヶ月分は保証したり、長期滞納者に対しては明渡し訴訟を代行したりといった委託契約を結ぶところもあります。
建物の管理
共用部分の定期清掃を入れたり、退去後の修繕を行ったり、設備の故障があれば対応したりします。
管理会社によっては、入居率向上のために新しい設備の入れ替えを提案したり、リフォームの提案をするところもあります。
その他
サブリース(転貸借)契約により、大家から不動産会社が一括借り上げを行い、貸主となって借主と契約を結ぶ形態もあります。
仲介会社とは?その役割
「住む部屋を借りたい」と思ったときや、実際に物件を内見したいときは、不動産会社を訪ねる方が多いと思います。
その不動産会社の多くは、「仲介会社」と呼ばれるものです。仲介会社というのは、賃貸物件を探している人と、借り手を見つけてほしい大家・管理会社との間に入って物件を紹介し、契約に結び付ける会社のことです。
自社管理物件を抱える仲介会社もあれば、仲介専門で運営している不動産会社もあります。仲介会社の主な役割についてご紹介します。

インターネットなどへの広告掲載
LIFULL HOME’SなどのWEBサイトであらかじめ物件を検索してから不動産会社へ問合せをしたり来店したりするケースが非常に多くなっています。
こうした物件情報には、家賃などの条件や間取り、室内写真、周辺施設などが掲載されています。こうした広告に載せるための間取り図の作成や室内の写真撮影も、仲介会社が行っています。
物件の紹介・ご案内
お客様へ物件を紹介し、現地へ行って内見の案内をします。大家や管理会社から鍵を借りるなど、諸手配も仲介会社が行います。
賃貸物件を探しているのは個人だけでなく、社宅やテナント用の物件を探す法人もいるので、そういったケースの対応もしています。
契約の手続き
賃貸物件への入居にあたって、契約手続きを行います。
契約書・重要事項説明書などの書類作成や火災保険の手続き、大家・管理会社と連絡を取って鍵の手配をするなど、引渡しまでの役割を仲介会社が担います。
重要事項説明を管理会社が行ったり、鍵の引渡しは大家が行ったりするなどの要望があれば仲介会社が間に入り、入居者へ伝達します。
その他
管理業務を外部委託していない大家の場合、入居者の更新契約や退去時の精算などを入居を仲介した会社が行う場合があります。
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大家・管理会社・仲介会社、3者の関係
3者の関係を役割・お金の流れに分けて図示しました。
役割別の関係
仲介会社と管理会社を兼ねている不動産会社もあります。
筆者は東京と北陸地方で不動産会社の就業経験がありますが、北陸地方では仲介会社と管理会社を兼ねた不動産会社がほとんどでした。
首都圏では仲介業を専門とする不動産会社があるので、首都圏と地方とではこうした事情も変わってくるようです。
お金の流れ
賃貸管理契約自体は貸主と借主で結ぶものですが、間に仲介会社と管理会社が入っています。敷金・礼金・家賃(初回分)については、いったん仲介会社に支払うパターンもあります。
入居者からすると、仲介会社へ仲介手数料を支払い、管理会社や大家へ敷金などを支払うとなると振込手数料が2回かかってしまうので、そういった方法をとることがあります。
この場合は、仲介会社が預かった敷金・礼金・家賃(初回分)を、管理会社や大家に送金する手続きをとります。
賃貸借契約までは仲介会社、入居後は管理会社か大家さんが基本
入居者側から見ると、賃貸借契約までは仲介会社に、入居後については管理会社か大家さんのお世話になるイメージです。
例えば、室内設備の故障を見つけたら、入居直後だったとしても仲介会社ではなく管理会社に連絡します。
契約時に宅地建物取引士より重要事項説明を受けて書類を渡されているので、これを開いてみてください。「管理の委託先」という項目に記載されている管理会社に連絡しましょう。
・大家から委託された物件を管理しているのが「管理会社」
・入居者と大家の間に入って入居者の募集・案内・契約を結ぶのが「仲介会社」
・これらを委託せず、すべての業務を1人で行う大家もいる
・管理会社が管理に関わる範囲は大家との契約内容による
更新日: / 公開日:2018.09.07











