通常損耗や経年変化なら原状回復費用はかからない
通常損耗や経年変化による損傷は、借主に原状回復義務がないことが民法で明文化されています。画鋲の穴や家具の設置による床のへこみなどは通常損耗の範囲内です。
詳しくは、「通常損耗や経年変化は「貸主負担」(民法での明文化)」をご覧ください。
壁紙の張り替えなど本格的なDIYは原状回復義務が生じる
壁紙の張り替えや壁にネジ穴を開けるような本格的なDIYは、通常の使用を超えるとみなされ、退去時に借主の負担で原状回復を行う必要があります。
詳しくは、「借主に原状回復義務が発生するDIYの範囲」をご覧ください。
「借主負担DIY型」なら原状回復なしで自由にDIYできる
「借主負担DIY型(DIY可物件)」は、借主が費用を負担して自由にリフォームできる代わりに、退去時の原状回復義務が免除される新しい契約形態です。
詳しくは、「「借主負担DIY型」の仕組みとメリット」をご覧ください。

カスタマイズ可の物件

賃貸物件の契約条件では、退去時の原状回復(原状復帰)を行うのが一般的です。

 

そのため、長い間「賃貸住宅に住む以上、インテリアの自由度は我慢するしかない」という風潮が広く浸透していました。

 

しかし近年は、貼って剥がせる壁紙や、接着剤で固定する必要のない床材など、原状回復が可能なプチDIY用品が人気を集めています。

 

さらに、本格的なDIYを楽しみたい方に向けて、退去時の原状回復義務がない「入居者負担DIY型」の賃貸物件(DIY可物件)も登場しています。

 

本記事では、賃貸における原状回復の基本ルールから、入居者負担DIY型の仕組み、物件の探し方や内見のコツ、リフォーム時の注意点まで詳しく解説します。

 

賃貸でも自分らしいこだわりの空間をつくりたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

賃貸物件でDIYを検討する際、まず理解しておくべきなのが「どこまでの作業なら退去時に問題にならないか」という原状回復の基本ルールです。

 

結論からいうと、普通に生活していてつく傷や汚れ(通常損耗)は大家さんの負担となりますが、入居者の故意や過失、DIYによる壁の穴や塗装などは入居者の負担で原状回復を行う必要があります。

 

原状回復とは、退去時に借りた部屋を元の状態に戻すことです。しかし、毎日生活していれば、部屋は自然に汚れたり傷ついたりします。

 

このような「通常の使用による損耗(通常損耗)」や「経年変化」については、入居者に修繕費用を負担する義務はありません。

 

これは、2020年4月1日に施行された改正民法(第621条)によって明文化されました。

 

以前から国土交通省のガイドラインで示されていましたが、法律上も「通常損耗・経年変化による損傷については、入居者は原状回復義務を負わない」と明確に定められています。

 

たとえば、家具の設置による床のへこみ、日照による壁紙の色あせ、カレンダーやポスターを留めるための画鋲の穴などは、一般的に通常損耗の範囲内とされ、原状回復の対象外です。

 

一方で、日常的な使用の範囲を超える傷や、入居者の都合で行った造作については、退去時に入居者の費用負担で元の状態に戻す(原状回復する)義務が生じます。

 

たとえば、壁紙を自分の好みのものに張り替える、棚を設置するために壁や柱にネジや釘を打ち込む、ペンキで壁を塗るなどの本格的なDIYは、通常の使用を超えると判断されます。

 

退去時に元の状態に戻せない、あるいは戻すために高額な修繕費用がかかる場合、敷金から差し引かれたり、追加で費用を請求されたりする可能性があります。

 

そのため、一般的な賃貸物件でDIYを楽しむ場合は、「突っ張り棒を使って棚をつくる」「貼ってはがせるシールタイプの壁紙を使う」など、退去時に簡単に跡形もなく撤去できる範囲に留めることが大切です。

 

「退去時の費用請求を気にせず、思い切り自分好みの部屋につくり変えたい」という方におすすめなのが、「入居者負担DIY型(DIY可物件)」と呼ばれる新しい賃貸の契約形態です。

 

この物件の最大の特徴は、入居中の自由なリフォームが認められており、退去時の原状回復義務が免除される点にあります。

 

国土交通省は2016年に「DIY型賃貸借に関する契約書式例及びガイドブック」を改訂・策定し、入居者負担DIY型の普及を後押ししています。

 

この仕組みでは、入居者が自らの費用で自由にリフォームを行うことができる代わりに、大家さんに退去時の原状回復を求められません。

 

入居者にとってのメリットは、持ち家のように間取りの変更や壁の塗装、本格的な棚の造作などが自由にできることです。

 

自分のライフスタイルや好みに合わせて、唯一無二の空間をつくり上げることができます。また、DIYにかけた費用や手間から愛着が湧き、長く住み続けたいと感じやすいのも特徴です。

 

一般的な賃貸物件では、大家さんが入居前にハウスクリーニングや修繕を行い、きれいな状態で部屋を引き渡します。

 

しかし、入居者負担DIY型物件の場合、大家さんはあえてリフォームや修繕を行わず、「現状のまま」貸し出すことが少なくありません。

 

これにより、大家さん側は修繕費用を負担せずに済むため、相場よりも安い家賃が設定されているケースが多い傾向にあります。

 

また、入居前のクリーニング費用がかからないなど、初期費用を抑えて入居できるのも魅力です。

 

「初期費用や毎月の家賃を抑えつつ、浮いたお金をDIY費用に回して理想の部屋をつくる」といった、合理的な住まい方が可能になります。

 

原状回復を気にせず、自分らしいお部屋づくりを一から楽しみたい方は、まずはどのような物件があるのかチェックしてみましょう。

 

カスタマイズ可の物件

 

いざDIYを始めようと思っても、「何から手を付ければいいのか」「費用はどれくらいかかるのか」と悩むかもしれません。

 

実は、賃貸DIYの多くは、比較的手頃な予算で、面積の狭い部分から少しずつ挑戦できます。

 

水回りなどの難しい作業はプロに頼むという選択肢も含め、計画的に進めることが成功のポイントです。

 

DIYというと大がかりで高額なイメージを持つ方もいますが、実際には少額から手軽に楽しむ人も多くいます。

 

ホームセンターや100円ショップ、ネット通販などで手頃な材料を揃えれば、数千円から数万円程度で部屋の印象を大きく変えることが可能です。

 

まずは手の届きやすい範囲で予算を立て、小さなスペースから工夫してみましょう。

 

賃貸DIYで特に人気を集めているのが「壁・壁紙」のカスタマイズです。

 

壁紙は部屋の大部分を占めるため、色や柄を変えるだけで空間の雰囲気を一新できます。

 

DIY初心者の方は、トイレや洗面所、クローゼットの中など、面積の狭い壁から挑戦するのがおすすめです。

 

狭い空間であれば、多少シワができたり貼り合わせがずれたりしても目立ちにくく、失敗してもやり直しが簡単です。

 

まずは「貼ってはがせる壁紙」や「リメイクシート」を用いた部分的なアクセントクロス(一面だけ違う色の壁紙を貼ること)から始め、慣れてきたらリビングや寝室などの広い空間にステップアップしていくといいでしょう。

 

DIY可物件だからといって、必ずしもすべての作業を自分一人でこなす必要はありません。

 

壁紙の張り替えや簡単な棚の設置はDIYで楽しみ、キッチン、お風呂、トイレといった水回りの設備交換など、専門的な技術が必要な部分はプロ(工務店やリフォーム会社)に依頼するのも賢い方法です。

 

最近では、設備の交換や難しい下地処理をプロが行い、壁の塗装などの仕上げ作業だけを借主が楽しむ「DIY支援」を行っている工務店も増えています。

 

プロの力と自分のDIYを組み合わせることで、仕上がりの質を高めつつ、リフォームの楽しさを味わうことができます。

 

カスタマイズ可の物件 賃貸一戸建てを探す 庭付き・庭のある物件

 

原状回復を気にせずDIYを楽しめる物件に住みたい場合、どのように探し、内見時に何をチェックすべきなのでしょうか。

 

通常の賃貸探しとは異なる、DIY可物件ならではのポイントを押さえておくことが重要です。

 

DIY可物件は、一般的な賃貸物件に比べて数が限られているため、不動産情報ポータルサイトの検索条件をうまく活用して絞り込みましょう。

 

「カスタマイズ可」「DIY可」などのこだわり条件にチェックを入れて検索するのが基本です。

 

また、築年数が古い物件や、和室のある物件、駅から少し離れた物件などは、大家さんが空室対策としてDIYを許可しているケースが見られます。

 

検索条件を少し広げて探してみると、思わぬ掘り出し物に出会える可能性があります。

 

自分好みに自由にアレンジできる物件は、以下のリンクから効率よく探すことができます。理想のDIYプランを実現できる物件をぜひ見つけてみてください。

 

カスタマイズ可の物件

 

DIY可物件を内見する際は、部屋の広さや日当たりだけでなく、以下の3点を確認してください。

1. 現状の正確な把握と寸法計測

 

どこが傷んでいるか、設備は正常に動くかを確認します。DIYを計画している場所(壁の面積、柱の間隔、ドアの開口幅など)は、メジャーで正確に計測しておきましょう。

2. 事前の写真撮影

 

入居前の状態を写真に収めておくことは、退去時の不要なトラブルを防ぐために非常に重要です。DIYの計画を立てる際にも役立ちます。

3. 搬入経路の確認

 

大きな木材や家具を搬入できるか、玄関の幅や廊下、エレベーターのサイズを確認します。部屋は広くても、材料が搬入できなければDIYの幅が狭まってしまいます。

 

入居者負担DIY型で自由度が高い物件であっても、共同住宅である以上、守るべきルールがあります。

 

安全に、そしてトラブルなくDIYリフォームを楽しむために、契約時や施工時に注意すべき3つのポイントを解説します。

 

「DIY可」と謳われている物件でも、無断でどんな工事でもしていいわけではありません。

 

多くの場合、工事を開始する前に「どこを・どのように・どのような材料で」リフォームするのかを大家さんや管理会社に申請し、承諾を得る必要があります。

 

特に重要なのは、「DIYで行った箇所について、退去時の原状回復義務が本当に免除されるか」、そして「退去時に造作物(設置した棚など)を買い取ってもらう請求(造作買取請求)ができるか、あるいは無償で残置してよいか」を明確にすることです。

 

口約束ではなく、契約書や合意書などの書面でしっかりと残しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

 

釘を打つ音、電動ノコギリで木材をカットする音、電動ドライバーの振動音などは、想像以上に周囲へ響きます。

 

集合住宅の場合は、隣の部屋だけでなく、上下階にも騒音や振動が伝わります。

 

トラブルを防止するため、深夜や早朝の作業は避け、日中の常識的な時間帯(午前中〜夕方)に行うよう心がけましょう。

 

また、大がかりな作業や音が出る工事を行う予定がある場合は、事前に両隣や上下階の住人に次のような挨拶やメモを残しておくと、トラブル防止につながります。

 

「○月○日の日中にDIY作業をします。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

 

部屋を広く見せたいからといって、間仕切り壁や柱を勝手に撤去するのは大変危険です。

 

建物を支える構造躯体(骨組み)に影響を与える工事をしてしまうと、建物の強度が低下し、地震などで倒壊する恐れがあります。

 

壁を抜けるかどうかは素人では判断できないため、必ず管理会社など専門家に確認してください。

 

また、コンセントの増設や配線の分岐など、電気配線に関わる作業は「電気工事士」の国家資格を持つ人しか行うことが法律で禁じられています。

 

素人が見よう見まねで施工すると、漏電による火災や感電事故を引き起こす危険性があります。

 

照明器具のシーリングカバー(カチッと回して取り付けるタイプ)の交換程度であれば問題ありませんが、壁の中の配線を触るような電気工事は必ずプロの業者に依頼してください。

 

賃貸物件を探す カスタマイズ可の物件 賃貸一戸建てを探す 庭付き・庭のある物件

Q.1 賃貸物件で画鋲を使っても原状回復費用はかかりませんか?

A.1 カレンダーやポスターを留めるための画鋲の穴程度であれば、一般的に「通常損耗」とみなされるため、入居者が原状回復費用を負担する必要はありません。これは民法でも明文化されています。ただし、ネジや釘による深い穴は入居者負担となる可能性が高いため注意が必要です。

Q.2 賃貸物件で壁紙を張り替えるDIYはできますか?

A.2 一般的な賃貸物件で壁紙を張り替える場合、退去時に元の状態に戻す(原状回復する)義務が生じます。費用請求を避けたい場合は、貼ってはがせるシールタイプの壁紙を使用するか、原状回復義務が免除される「入居者負担DIY型(DIY可物件)」を選ぶことをおすすめします。

Q.3 「入居者負担DIY型(DIY可物件)」とは何ですか?

A.3 入居者が自らの費用で自由にリフォームできる代わりに、退去時の原状回復義務が大家さんから免除される契約形態のことです。壁の塗装や棚の造作など、持ち家のように自分好みの空間作りを自由に楽しむことができます。

Q.4 賃貸DIYは初心者でも手軽に始められますか?

A.4 はい、ホームセンターや100円ショップで材料をそろえれば、数千円から数万円程度の少額で手軽に始めることができます。初心者には、失敗してもやり直しがきく「貼ってはがせる壁紙」や「リメイクシート」を使った小規模なDIYが人気です。

Q.5 DIY可物件でリフォームする際の注意点は何ですか?

A.5 施工前に貸主へ申請して承諾を得ること、騒音トラブルに配慮して日中の常識的な時間帯に作業すること、建物の構造躯体(壁や柱)を勝手に撤去しないことが重要です。また、配線を触る電気工事は有資格者に依頼する必要があります。

更新日: / 公開日:2016.10.20