マンションやアパートなどの集合住宅では、騒音問題が近隣トラブルの主な原因として挙げられます。
トラブルを防ぐには、日常生活で十分に注意することももちろん大切ですが、部屋探しの段階で、防音性に優れた物件を選ぶことも重要なポイントです。
今回は防音性の高い賃貸物件を見極めるポイントと、入居後にできる騒音対策をセットで紹介します。
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賃貸物件の防音性を左右する2つの基本要素

賃貸物件の防音性を左右するポイントには、さまざまなものがありますが、まず押さえておきたいのは「建物の構造」と「間取り」の2つの要素です。
建物の構造
建物の防音性はある程度、構造によって判断することができます。基本的には「木造<鉄骨造(S造)<鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」の順に防音性が向上していきます。
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、建材に遮音性の高いコンクリートを使うため、高い防音性を発揮するのが特徴です。
一方、木材にはコンクリートのような遮音性はないため、つくりによっては隣に生活音が聞こえてしまうケースもあります。
なお、鉄骨造は木造と比べてつくりは頑丈な面があるものの、防音性はそれほど変わりません。そのため、防音性を意識するのであれば、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションが基本の選択肢といえます。
鉄骨造の物件 鉄筋コンクリート造の物件 ブロック造・その他の物件
間取り
間取りについては、隣接した部屋との位置関係が重要なポイントとなります。
たとえば、自室のリビングと隣室のベッドルームが隣り合っている場合、隣に住んでいる人の就寝時にこちらの生活音が聞こえてしまい、トラブルになってしまう可能性があります。
反対に、居室と隣接しているのが隣室の水回りや収納スペースであれば、生活音によるトラブルは避けられます。そのため、物件選びをするときには、なるべく自室だけでなく隣室の間取りもチェックしておくことが大切です。
なお、一人暮らし向けのワンルームや1Kであっても、居室同士の間に収納スペースや廊下、パイプスペースなどが設けられているつくりなら、通常よりも生活音が聞こえるリスクが小さくなります。
防音の高い物件の特徴

構造・間取り以外にも、防音性を左右するポイントがいくつかあります。ここでは、防音性の高い物件の特徴を具体的に見ていきましょう。
壁や床に厚みがある
前述のように、構造から見れば、木造や鉄骨造の物件は防音性が低いといえます。ただ、物件によっては、壁や床に遮音性の高い素材を用いて防音性を高めているケースもあります。
こうした物件では、通常より壁や床に厚みがあり、上下階や左右の部屋の音が遮断されやすいのが特徴です。
窓が二重サッシになっている
室内の防音性は壁や床だけでなく、窓のつくりにも左右されます。壁や床は防音性が高くても、窓から音が抜けていったり、外部から音が入ってきたりすれば、騒音対策はあまり意味を持たなくなってしまいます。
防音性を意識した物件では、窓が二重サッシになっていることもあります。二重サッシとは、外窓と内窓の二層構造になっている窓のことであり、防音性に優れるのはもちろん、断熱性が高いのも特徴です。
角部屋、最上階、1階の部屋
騒音が気になりにくいという点では、上下左右のいずれかが開放されている部屋も有力な選択肢です。
たとえば、角部屋は少なくとも左右のどちらかが開放されているため、騒音トラブルのリスクが小さくなります。また、最上階の部屋であれば、階上からの足音が気にならずに済みます。
一方、自室の足音を気にせずに済むという観点から考えると、小さな子どものいる世帯などでは、あえて1階を選ぶのもひとつの方法です。同じ理由で、階下が店舗や共用部分になっている2階の部屋なども有力といえます。
角部屋の物件 最上階の物件 マンション1階の物件
内見が重要! 騒音に悩まされないためのチェックポイント

これまで紹介したように、防音性の高い物件かどうかは、ある程度構造や間取りといった情報から判断することができます。
しかし、周辺環境や細かなつくりによっても状況は異なるので、内見の機会に防音性についても確かめておきましょう。
ここでは、主なチェックポイントを「室内」と「周辺環境」の2つの視点から紹介します。
室内のチェックポイント
内見のタイミングでは、自分でも手軽に防音性を確かめられる方法があります。案内をしてくれる不動産会社の担当者に相談して、実際に確認させてもらいましょう。
■部屋の真ん中で手をたたいてみる
拍手した音の響きがきちんと返ってくる場合は、壁で音が反射されており、隣室まで抜けていないと判断できます。
一方、壁に吸音加工がされていないにもかかわらず、音の響きが返ってこない場合は、そのまま外部に抜けてしまっていると考えられるため、防音性が低いという判断材料になります。
■四方の壁を軽くたたいてみる
防音性の高いコンクリート壁の場合、硬くて詰まった感じの音がするため、音が逃げていかないと判断できます。反対に、裏側に響くような高い音が鳴る場合は、石こうボードなどの防音性が低い壁であると判断できます。
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションであっても、すべての壁にコンクリートが使われているとは限りません。重量の問題から、一部には石こうボードが用いられるケースもあるので、注意が必要です。
周辺環境のチェックポイント
内見時には部屋の中だけでなく、周辺環境にも目を向けてみましょう。主なチェックポイントとしては、以下の項目が挙げられます。
チェックポイント
- 幹線道路や駅、学校などの人が集まりやすい施設がないか
- 過去に騒音トラブルが起きていないか
- 共用部分の使われ方や居住者のマナーはどうか
さまざまな曜日や時間帯でチェックしてみることも大切です。
意外に見落としてしまいがちなのが、共用部分の様子です。物件内で騒音トラブルが起こっている場合は、エントランスの掲示板やエレベーター内に張り紙がしてあるケースもめずらしくありません。
また、廊下や階段に本来禁止されているはずの私物が置かれているなど、共用部分の使われ方から入居者のマナーを推測することもできます。このように、共用部分は騒音トラブルのリスクを判断する意外な手がかりとなるのです。
入居後にできる騒音対策

騒音トラブルは、入居後の工夫によってもある程度防ぐことができます。ここでは、代表的な3つのアイデアを見ていきましょう。
窓の防音:防音カーテンをつける
窓の防音性に不安がある場合は、厚手の防音カーテンを導入するという方法があります。
防音カーテンは外からの騒音を遮る効果と、室内からの音漏れを防ぐ効果の両面を備えているため、手軽に部屋の防音性を高める方法とされています。
また、防音性とともに断熱効果も期待できるのもメリットです。きちんと効果を発揮させるためにも、購入する際には、隙間が生まれないように高さや幅の寸法を測っておきましょう。
床の防音:防音マットや防音カーペットを導入する
自室の足音が気になってしまう場合は、防音マットや防音カーペットが効果的です。専用の防音マットを敷き、そのうえに防音カーペットや厚手のカーペットを重ねると、より高い防音効果を発揮してくれます。
また、転倒してしまったときのクッションにもなるので、小さな子どもがいる世帯でフローリングの物件を借りるなら、積極的に導入したい方法といえます。
壁の防音:家具配置を工夫する
壁の防音には、市販の吸音ボードを貼るなどの方法もありますが、より手軽なのは家具の配置を工夫する方法です。
具体的には、隣室と接する面に背の高い本棚を設置したり、テレビを設置したりするなどの方法が挙げられます。
背の高い家具は室内の音を吸収してくれるので、自室からの騒音をある程度防ぐ効果があります。また、テレビの音は正面に飛ぶように設計されているので、隣室に背を向ける形で配置すれば、騒音が伝わるのを防ぎやすいでしょう。
賃貸物件を探す
防音性の高い物件を見つける方法

防音性を優先して部屋探しをするなら、防音に関する特徴を踏まえて、はじめに適切な条件を設定するのが近道です。ここでは、いくつかのパターンから実際の探し方を見ていきましょう。
構造から探す
防音性の高い物件を探すなら、「鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造」の部屋を探すのが近道です。
LIFULL HOME’Sでは、防音性に優れた「鉄筋コンクリート造の物件」に絞り込め、そこからエリアを指定するだけで簡単に該当する物件を見つけることができます。
条件から探す
防音を意識する理由は人それぞれですが、特に「楽器を演奏したい」「ペットを飼いたい」といった目的がある場合は、はじめから許可を得た物件を選ばなければなりません。
「楽器可(相談)の物件」や「ペット可(相談)の物件」から、希望に合った部屋を探してみましょう。
分譲賃貸を探す
分譲賃貸とは、もともとは分譲用に建てられたマンションなどの一室を賃貸として貸し出している形態を指します。一般的な賃貸物件と比べて、設備のグレードが高いのが特徴であり、防音性にも優れた物件が多いです。
管理形態もきちんと整っているため、トラブルなどがあってもすぐに対処してもらいやすいのも魅力といえます。ただ、一般的な賃貸物件と比べて賃料は高めなので、予算の面にも目を向けておきましょう。
分譲賃貸もLIFULL HOME’Sの「分譲賃貸」から簡単に探すことができます。
まとめ

- 物件の防音性は「構造」と「間取り」の2つの要素に左右される
- そのほかのポイントとしては、壁や床、窓のつくりと部屋の位置なども挙げられる
- 騒音トラブルを避けるためには、内見時に室内と周辺環境の両方を確かめることが大切
- 入居後に実践できる騒音対策も把握しておこう
- 防音性の高い物件選びは、はじめの条件設定がカギ
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更新日: / 公開日:2017.08.16










