気に入った物件をようやく見つけて、敷金・礼金・前家賃など契約時に必要なお金を支払い、あとは入居日を待つだけ。そんな矢先に、金銭面や親の事情などでやむを得ずキャンセルしなければならなくなった場合、気になるのが支払ったお金がどの程度手元に戻ってくるのかではないでしょうか。

結論から言うと、賃貸物件契約後の契約終結日以降は、たとえ入居前であってもキャンセルは「解約」とみなされるため、契約時に支払ったお金のすべてが返金されることはまずありません。

まずは契約書に書かれた「契約終結日」を確認します。契約終結日が過ぎていれば、入居前で鍵が渡されていない状態であっても契約は開始していることになります。入居後の解約は、通常では退去予定日の1~2ヶ月前に退去する旨を告知することがほとんどです。

しかし、入居前のキャンセルについては契約書に明記されていない場合が多いため、たとえ入居前でも解約として扱われることが多いようです。では、どの時点までなら契約キャンセル時にお金が戻ってくるのか、賃貸物件契約の際にかかる費用の目安と合わせて見ていきましょう。

賃貸物件を探す敷金礼金0(ゼロ・なし)物件フリーレント物件引越し料金の見積もりをするあなた専用!引越しまでのやることリスト

 

まず、正式契約の前に、住みたい物件が決まったら「入居申込書」の記入をして、その個人情報を基に貸主は入居審査を行います。

 

入居審査結果は早くて2~3日、遅くとも1週間までには判明します。入居審査の結果が出るまでの間に、敷金や礼金の一部となる申込金を預けますが、あくまでも契約前の物件の仮押さえという意味合いでの預かり金です。

 

この時点で契約前にキャンセルすることになっても、返還することが法律によって定められています。しかし、不動産会社によっては物件による独自の取り決めにより、一度もらった申込金は返せないと主張するケースもあります。そういったトラブルを避けるためにも「預かり証」を保管しておくと安心です。

 

入居審査が通れば、いよいよ正式契約です。重要事項説明と契約内容を確認したら初期費用を支払います。契約終結後にはキャンセルすることは原則不可となり、支払った費用の返金要求も難しくなるため、重要事項説明で不明な点があれば、必ずその場で確認して慎重に契約しましょう。

重要事項説明をきちんと確認してから契約しましょう

重要事項説明をきちんと確認してから契約しましょう

 

物件を借りるのに必要な初期費用は、地域ごとの慣習によって多少差が生まれるものの、一般的な内訳と相場は以下のようになります。

 

  • 敷金・保証金・・・賃料のおよそ1~2ヶ月分を敷金(関西の場合は保証金)として支払います。大家さんは借主が退去する際の修繕やクリーニングにかかるお金を敷金から捻出し、残金を借主に返還します。保証金からは、修繕費用と敷引き(契約時に保証金から差し引かれるお金)が差し引かれます。

 

  • 礼金・・・大家さんに対しての「お礼」の意味合いで慣習化したのが礼金で、賃料のおよそ1ヶ月分が相場です。

 

  • 仲介手数料・・・不動産会社を通して物件を契約する場合に発生する費用。宅建業法により、「賃料の1ヶ月分+消費税」が上限と決められています。ただ、下限についての取り決めはないため、借主の負担を減らすために仲介手数料0円にする不動産会社も増えてきています。

 

  • 前家賃・・・入居月にかかる家賃と管理費の1ヶ月分を、あらかじめ契約時に払うことが求められます。月途中の入居だと日割り計算で支払うケースが多いです。

 

  • 保険料(火災保険、損害保険など)・・・ほとんどの賃貸物件では、住宅保険の加入が義務づけられています。おおむね2年契約で約1~2万円、月払いや1年ごとに支払います。

 

LIFULL HOME’Sが首都圏を対象に行った調査(※)によると、「敷金ゼロ物件」の割合は全賃料帯において増加傾向にあり、なかでも賃料10万円未満の物件においては2023年時点で53.2%にも上ります。一方、「礼金ゼロ物件」は減少傾向が見られます。とはいえ、賃料10万円未満の物件に限れば2023年時点で45.7%の割合で存在することから、礼金ゼロ物件を見つけるのはそう難しいことではありません。

 

もし契約後、物件キャンセルの可能性があるなら、仲介手数料や敷金・礼金がかからない物件を重点的に探してみてもいいかもしれません。

 

※参照:『敷金・礼金』の動向をLIFULL HOME’Sが調査【首都圏版】

 

空き家が増え仲介手数料・礼金がかからない物件も増えています

空き家が増え仲介手数料・礼金がかからない物件も増えています

 

賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件 引越し料金の見積もりをする

 

重要事項説明後の記名押印が終了しているとなると、通常の解約手続きと同様に扱われると考えておいた方がいいでしょう。当然入居前だとしても、礼金・仲介手数料・1ヶ月分の家賃は戻らない可能性は高いといえます。

 

しかし、敷金は主に部屋を汚したときの修繕費用に充てられるお金なので、一度も入居していないなら返還交渉してみるといいかもしれません。支払った保険料に関しては、保険契約の約款に従うことになりますが、保険料の大部分が戻ってくる可能性があります。

 

また、大家さんを納得させることができるような、特別な物件キャンセルの理由があるかどうかも重要なポイントでもあります。「他の物件に変えたいから」という理由なんてもってのほか。お互いの信頼関係を築くことが契約をする上でも大切です。

 

家庭の事情などどうすることもできない理由であれば、ある程度事情を汲んでもらえるかもしれません。キャンセルをしてお金が戻ってこないと大変な状況に陥ってしまう場合は、各自治体の不動産相談窓口や法律相談窓口に相談してみましょう。

 

記名押印が終了していると、お金は戻らない可能性が

記名押印が終了していると、お金は戻らない可能性が

 

賃貸物件を探す 敷金礼金0(ゼロ・なし)物件 フリーレント物件 引越し料金の見積もりをする

更新日: / 公開日:2016.08.02