「定期借家制度」聞いたことはあっても…

賃貸物件をポータルサイトなどで検索していて、契約形態に「定期借家」と記載されている物件を見かけたことがある人もいると思う。ただ、名前は聞いたことがあっても、詳しい内容まで把握していない人が多いのではないだろうか?

2015年3月26日に国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」によると、定期借家について「知っている」と回答した人が11.2%、「名前だけは知っている」は30.7%だった。「名前だけは知っている」人はそもそもの契約内容を把握していない状況であるため、9割の人は知らないと言える。
借りたい物件が定期借家だった…という場合、あらかじめどんな契約内容なのか把握しておけば判断もつきやすい。今回は定期借家の特徴、メリットデメリットについてご紹介する。

そもそも、定期借家はどれくらい利用されているのだろうか?賃貸契約の種類については、「普通借家」が95.8%、「定期借家」が3.2%となっている。平成22年から26年までの定期借家の利用割合平均は3.6%で、5年間の間でも特に普及率は上昇していないようである。

定期借家制度は不動産会社や貸主側からすると知らない人はいない制度であるが、まだまだ借主には認知度が低く、あまり利用もされていない状況であるようだ。

国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成<br>定期借家制度の認知度国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成
定期借家制度の認知度

定期借家制度とは?なぜはじまったのか?

定期借家制度は、2000年3月1日に施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」に基づき改正された制度だ。従来は普通借家契約しかなかったが、制度改正により定期借家契約も選択できるようになった。
普通借家契約は借主保護の観点から、一般的な契約期間である2年が終了した後も、再度契約をしなおす必要がなく自動更新され、貸主が賃貸物件の提供を終了したいと思ったとしても正当事由がなければ解約が出来ない。
不動産の持ち主である側からすれば、一時的に賃貸契約を借主と契約したとしても、ゆくゆくは建物の売却や取り壊しなどをしたいという意向もあるだろう。普通借契約の場合、契約終了の目途が立たず、結果、物件を進んで賃貸に出せない貸主もいた。
このような背景から、契約期間満了に伴い更新がなく契約期間が終了する「定期借家制度」がスタートした。

では、その定期借家の特徴とは、どのようなものなのだろうか?
普通借契約とは大きく異なる点もあるので、物件を探す際には留意して検討してほしい。

定期借家の特徴

□更新の有無がない
契約期間が終了すれば契約は終了し、更新がない。
ただし、自動更新はないものの、契約の終了後に貸主・借主が合意すれば再契約が可能。再契約が可能な物件も多いが、契約期間終了後に取り壊し予定があるなど、一切再契約が出来ないケースもある。

□契約方法について
必ず書面による契約をしなくてはいけない。貸主には、「この賃貸借契約は更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別の書面で作成し交付、説明する義務がある。これを怠った場合、通常の普通借契約となる。

□契約期間
1年未満の契約も可能

□中途解約について
居住用の建物で床面積が200m2未満のものについては、転勤、療養、親族の介護などその他やむを得ない事情により、借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から中途解約の申し入れが可能。
上記以外の場合は、中途解約に関する特約があればそれに従う。

□契約終了時
契約期間が1年以上の場合、貸主が契約期間満了の1年前から6か月前までの間に、貸主に対し「期間満了によって賃貸借が終了する旨」を通知する必要がある。

定期借家のメリットデメリット

定期借家のメリットデメリット

いくらその物件が気に入ったとしても、契約で決まった期間しか住めない…この前提条件が許容できるなら、定期借家物件は下記のようなメリットがある。

定期借家のメリット

□家賃が安く設定されている場合がある
期間限定の契約であるため、家賃が比較的安く設定されている物件がある

□期間限定で借りられる
1年以下の短い期間での契約が可能なので、シェアハウスで短い期間だけ借りたい、単身赴任の期間が1年で決まっている、建て替えのため半年だけ住みたい、などの場合にも利用がしやすい。

□迷惑行為をする入居者が長く居住するリスクが低くなる
騒音を出したり、周りの居住者に対して迷惑行為をしたりなど、賃貸契約で取り決めたルールが守られていない入居者がいた場合、定期借家の場合は契約期間満了により契約が終了し、また、再契約の申し出が入居者よりあった場合にも、再契約は両者の合意が必要であるため長期間にわたり迷惑行為をする人が居住するリスクが低くなる。


定期借家のデメリットは、

□途中解約の申し出が出来るケースが限定されている
※居住用の建物で床面積が200m2未満のものについては、転勤、療養、親族の介護などその他やむを得ない事情により、借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から中途解約の申し入れが可能。

□原則、再契約ができない



なお、定期借家について契約書とは別に書面の交付があったかのかが焦点となった最高裁の判例がある。
借り手は書面交付と説明がなく、定期借家契約ではないと主張し、貸し手側は契約は定期借家契約で、期間満了により終了したと主張する、もとの契約がどういったものだったのかについて争う内容であった。契約書には定期借家であり、契約更新がない旨が明記されていたが、借地借家法に基づき、契約書と別個独立で契約更新がなく、期間満了により当該建物の賃貸借が終了することについて書面を交付しなければ定期借家にあたらない(普通借家となる)とした事例がある。(最高裁2012年年9月13日判決)

定期借家の物件を借りる際は、契約期間、途中解約に関する取り決めがあるのか、条件によっては再契約が可能なのか、また後々のトラブルを避けるため、定期借家についての説明と書面の別途交付があるかについて確認をしてほしい。

調査概要

調査実施:国土交通省
調査対象:平成25年4月~平成26年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、訪問留め置き調査により実施

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2015年 12月29日 11時05分