コロナ感染症が広まって以来、あなたの気持ちや行動に変化はあったかを調査

株式会社カルチャースタディーズ研究所では、三菱総合研究所が毎年行っている3万人調査への追加調査として、「コロナ後の意識と行動の変化」調査を2022年1月に行った(調査主体:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム。1都3県18〜54歳男女2,000人対象)。

この調査はごく単純に「コロナ感染症が広まって以来、現段階までで、あなたの気持ちや行動に変化はあったでしょうか。 以下の中で、あてはまるものをいくつでもチェックしてください。」という質問を複数回答で聞いたものである。選択肢は110個である。

リモートワークが増えるなどコロナ後変化した意識と行動とは?リモートワークが増えるなどコロナ後変化した意識と行動とは?

のんびりマイペースで生きることが大事だという気持ちが増した

まず簡単な調査の結果。回答が多かった順では

・無駄な物を買わないようにしたいという気持ちが増した 20.7%
・のんびりマイペースで生きることが大事だという気持ちが増した 20.5%
・お金をあまり使わない暮らしをしたいという気持ちが増した 18.7%
・スーパーでの買い物や買いだめが増えた 18.6%
・自分の好きなことをたくさんして人生を楽しむことが大事だという気持ちが増した 18.4%
・毎日通勤するのは嫌だという気持ちが増した 18.1%


となる。無駄な物を買わないとか、お金をあまり使わないという変化があるのが明らかだ。
また、のんびりマイペースで生きるとか、自分の好きなことをたくさんして人生を楽しむといった価値観の変化があるのが面白い。毎日通勤するのは嫌だという気持ちが増したという回答も多かった。

次に多いのは
・テレビゲームをしたり映画・アニメを見たりマンガを読む時間が増えた 17.3%
・人と会うことは楽しいことだという気持ちが増した 15.3%
・仕事と生活のバランスをうまく取りたいという気持ちが増した 14.9%
・ウォーキングをすることが増えた 14.8%
・家族関係・夫婦関係が大事だという気持ちが増した 14.1%
・料理をする時間や料理の種類が増えた 13.4%
・断捨離をすることが増えた  13.2%


であり、家や地域での娯楽と食事が増え、仕事と生活のバランスや家族関係・人間関係を重視する人が増えたことがわかる。同時に人と会うことの楽しさを感じる人も増えたようだ。

リモートワークは、女性のほうが進んだ

肝心のリモートワークの実態だが「職場に行かず自宅などでリモートワークをすることが勤務日のだいたい半分以上あるようになった」という人は全体で7.1%、「職場に行かず自宅などでリモートワークをすることが週1,2回あるようになった」という人は5.1%だった。

また「だいたい半分以上あるようになった」人は、正規雇用者では11.1%、うち女性では13.1%であり、全体よりも多い。
さらに自由業男性では17.9%もあり、派遣の女性でも17.5%と多い。
全体に女性のほうがリモートワークが進んだのは子育て期の場合、どうしても女性が在宅することが多いからであろう。

資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022

正規雇用の女性は単身者が多く、都心志向が強い

居住地に関する回答を、従来は電車通勤が多かったと思われる正規雇用者(公務員を除く)について、みてみる。
すると、最も多いのは「毎日通勤するのは嫌だという気持ちが増した」(24.8%)であり、特に女性では36.9%もある。「23区内より郊外がいいなという気持ちが増した」は5.5%だが女性は6.9%だった。
また「毎日通勤しないなら、特急が停まるなど便利な駅に高い家賃で「住まなくてもよい」と思うようになった」は女性では4.1%。他方「職場の近くの家に住みたいと思うようになった」も女性で6.9%いた。
このように女性のほうがコロナを契機として意識や行動が男性より大きく変わっている。

また「コロナを理由に23区内都心部から23区内周辺部(大田区・世田谷区・杉並区・練馬区・板橋区・北区・足立区・葛飾区・江戸川区)へ引っ越した」人は0.8%。「コロナを理由に23区内から23区外へ引っ越した」人は0.7%に過ぎない。

コロナ感染拡大後の2020年7月以降12月までの6ヶ月間に23区から東京都以外に転出した人は、年間22,559人弱であり、23区の人口の0.2%強である。これが2021年12月まで続いたとすれば0.7%ほどになるので、回答結果と実態はほぼ一致している。

また、男女別では男性のほうが引っ越した人が多い。この理由ははっきりわからないが、既婚の男性で妻が主に家事・育児をする場合、男性は遠方からの通勤が可能だからではないかと思われる。
対して正規雇用の女性は単身者が多く、都心志向が強いのであろう。

コロナ後の移動(正規雇用)<br>資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022コロナ後の移動(正規雇用)
資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022

家の近くに欲しいものと地域への意識

またコロナ後にどういう家に住みたい気持ちが増したか、家の近所にどういうものが欲しいという気持ちが増したかを、女性で多い順に見ると、「今より1部屋以上多い家」「ひとりになれる静かな喫茶店・カフェ・ブックカフェ」「静かな環境」が10%前後で多い。静かでゆとりのある環境を求めていることがわかる。

次いで「かかりつけ医」「惣菜店・デリカフェ」「ユニクロ・無印」「ベランダ・バルコニー・縁側などがあって新鮮な空気が入ったり、窓からの眺めが良い家」「床面積が広い家」「気軽に健康や体調の悩みを相談できる場所」「品揃えの良い書店」「マッサージ・整体・ヨガ・ピラティスの店・教室」「銭湯やスーパー銭湯」「庭の広い家」「ペットが飼える家」「気分転換ができたり、子どもがのびのび遊べる公園」など、「健康で文化的な」暮らしを求める意識が高まったといえる。

「住んでいる地域に知人・友人をつくったり、お互いに助け合ったり、地域を良くしたりすることが大事だ」という気持ちが増した人は、女性では5.8%いたが、男性では3.4%だった。
やはりどうしても地域での活動や、子どもを介した活動は女性が主体となることが多いので、地域の中での助け合いなどには女性の関心のほうが高まるのであろう。

資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022資料:カルチャースタディーズ研究所コンソーシアム「コロナ後の意識と行動の変化調査」2022

これからのまちづくりに必要な視点

似たような回答として「自分の住んでいる地域への関心や愛着が増えた」という回答は男女とも4%弱あった。ただし「自分の住んでいる地域やマンションの問題に気づくようになった」は女性のほうが多かった。

他方、「大型商業施設の近くの家」「インテリア・雑貨店が家の近所に欲しい」「家の近所に夜になってから楽しめる場所、店が欲しい」「家の近所で、マルシェのような個性のあるイベント」といった都会的なライフスタイルを可能にする商業などへの期待もある。

だが「家の近所にシェアオフィスなど仕事ができる場所が欲しいと思うことが増えた」という回答は男性でも1.8%にすぎず、コロナという特殊状況下でなければ、家の近くのシェアオフィスという選択肢ももっと多かったかもしれないが。今回の調査では意外に少なかった。仕事は家でするのが良いようである。

なお「パソコン・パソコン備品関連の店が家の近所に欲しいと思うようになった」は女性では1.2%だけだが男性では4.3%であり、男女差が大きかった。

この調査については、これからのまちづくりに必要な視点は何かを考える上で参考にしてほしい。
さらに細分化の内容については、この後の「コロナ後の意識と行動の変化」調査 ②の記事に続ける。

シェアオフィスが欲しいというデータは意外と今回の調査では少なかったシェアオフィスが欲しいというデータは意外と今回の調査では少なかった

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