帰ってくるのが楽しみになる賃貸住宅

皆さんにとって“楽しい時間”とはどんな時だろうか。キャンプをしている時、体を鍛えている時、料理をしている時など例を挙げればきりがないが、誰にとっても好きなことをしている時間は至福の時だろう。

そんな“好き”を暮らしの中に取り入れ、”ただ住むだけでなく何かが楽しめる部屋”というコンセプトでつくられた「&room(アンドルーム)」が非常に面白い。まず言っておく。「&room」は刺さる人にはグイグイ刺さるが、刺さらない人にはまったく刺さらないだろう。それがこの部屋の面白いところなのだ。

今回お話をうかがったニッショーの服部さん。同社のブランドコンセプトは「たのしーをつくろー」。社員一同、真剣に“たのしー”に向き合っているそうだ今回お話をうかがったニッショーの服部さん。同社のブランドコンセプトは「たのしーをつくろー」。社員一同、真剣に“たのしー”に向き合っているそうだ

「&room」を企画したのは、東海三県の賃貸住宅大手「株式会社ニッショー」。

今年創業50周年を迎える同社は、これまでにもユニークな企画を行っている。例えばヴィレッジヴァンガードとのコラボルームや、女性にうれしい“なごや女子部屋”など、オシャレでデザイン性の高いコンセプトルームを多数手がけてきたのだが、今回の「&room」は今までにない大胆な発想の部屋だ。

「帰ってくるのが楽しみになるような、家で過ごす時間がワクワクするような、そんな賃貸住宅をつくりたいと誕生したのが&roomです」と話すのは、株式会社ニッショー広報企画部広告宣伝課の服部光一朗さん。

さて気になる「&room」とはどんな部屋なのだろうか。ここからはいくつか物件を紹介する。

真ん中にアイランドキッチンを配置したワンルーム

最初に紹介する「&room」は、なんとワンルームでありながら、料理好き憧れの“アイランドキッチン”が大胆に配置されている、まるでキッチンスタジオのような物件だ。

パン作りや蕎麦打ちなどもできる広い調理スペースがワンルームで実現するのはすごい。自宅で料理教室などもできそうだパン作りや蕎麦打ちなどもできる広い調理スペースがワンルームで実現するのはすごい。自宅で料理教室などもできそうだ
1K10畳の部屋のほとんどをアイランドキッチンが占めている。こんな間取りはなかなか見たことがない1K10畳の部屋のほとんどをアイランドキッチンが占めている。こんな間取りはなかなか見たことがない

筆者も学生時代ワンルームに住んでいたのだが、とにかくキッチンが狭かった。コンロは一口しかなく調理スペースも小さかったため、料理をしても、なかなかはかどらなかったことを覚えている。

「当社にお部屋探しにいらっしゃる単身の方のなかにも『自宅でしっかり料理をしたい』という方は非常に多いです。なかなか気軽に外食ができない今は、『料理が趣味になった』という方も増えましたよね。しかし既存のワンルームはキッチンが小さいお部屋がほとんどで、なかなかご提案できるお部屋がありませんでした。ならばつくってしまおう!と誕生したのがこの&roomです」と服部さん。

「当社は企画・リフォーム・管理・募集をオールニッショーで行っております。まずは完成後モデルルームとしてオーナーさまに向けて展示期間を設けています。かなりチャレンジな間取りではありますが、オーナーさまからの評判はよく、また仲介や管理のスタッフからも『この部屋、面白い!』とお墨付きをもらっています。そういった意味では手応えを感じているお部屋です」

今まであまり見たことのない前衛的な間取りだが、家にいる時間の多くがキッチンだという人も少なくない。また料理をしている時間が楽しいという人も多い。そんな人たちが待ち望んだワンルームなのではないか。

パン作りや蕎麦打ちなどもできる広い調理スペースがワンルームで実現するのはすごい。自宅で料理教室などもできそうだロフトや寛ぎスペースもしっかり確保。また階段が引き出し収納になっているなど、快適に生活できるよう考えられている

好きなギアに囲まれて暮らす、キャンプ好きのための部屋

キャンプルームの床は土間になっているので、外で使用したキャンプ道具も気兼ねなく室内で使える。たまにはテントを張るのも楽しそうだキャンプルームの床は土間になっているので、外で使用したキャンプ道具も気兼ねなく室内で使える。たまにはテントを張るのも楽しそうだ

コロナ禍でのアウトドア需要は追い風になっている。何を隠そう、筆者もキャンプ好きなのだが、空前のキャンプブームで思うようにキャンプ場の予約が取れない。キャンプに行ったら行ったで、その後何日も余韻を楽しみ、次のキャンプに思いを馳せる。

キャンプ好きに向け、毎日自宅でキャンプ気分を味わえるようつくられたのが「おうちでキャンプROOM」だ。同物件の間取りは3LDK。1室をキャンプルームにし、ほかの部屋は通常の賃貸物件のようなつくりなので、キャンプルームだけ“いい意味で”異空間なのだ。帰宅後のリラックスタイムが、より充実した時間になりそうだ。

キャンプルームの床は土間になっているので、外で使用したキャンプ道具も気兼ねなく室内で使える。たまにはテントを張るのも楽しそうだ部屋の雰囲気を森の中へ誘う壁紙。よく見ると壁紙だけでなく、なんと本物の白樺の木が3本セットされている。ランタンなどを引っかけるのもいいだろう。自宅でありながら、非日常の空気を感じられそうだ
室内では焚き火などは当然できない。しかしキャンプ気分を味わえるよう、天井に換気扇が付けられているので、ホットプレートなどで焼き肉を楽しむことも可能。ますますおうち時間が楽しくなりそうだ室内では焚き火などは当然できない。しかしキャンプ気分を味わえるよう、天井に換気扇が付けられているので、ホットプレートなどで焼き肉を楽しむことも可能。ますますおうち時間が楽しくなりそうだ

部屋に備え付けられた道具は、キャンプ通に人気のアウトドアショップ「mountain mountain factory(マウンテンマウンテンファクトリー)」が監修したもの。オシャレでありながら家でも使いやすいものがそろえられているのもうれしい。

賃貸住宅なのでいずれ転居することになるかもしれないが、「あの頃住んでいたあの家、とっても楽しかったね」と、家族みんなの思い出に残る家となりそうだ。

自宅がスポーツジムに! いつでも筋トレできる部屋

以前は和室だった部屋をリフォームし、筋トレルームへ。押し入れ(上)は大きな鏡に姿を変えた(下)以前は和室だった部屋をリフォームし、筋トレルームへ。押し入れ(上)は大きな鏡に姿を変えた(下)

体を鍛えることが好きな人は、朝起きたら、帰宅したら、お風呂に入る前、寝る前など、いつでも筋トレをしたいのではないか。そんな発想のもと誕生したのがこの筋トレルームのある部屋だ。

この部屋はスポーツクラブ「AXTOS(アクトス)」が監修。マシーンなども本格的なものがそろっている。ここまでのものを個人で用意するのは難しいが、備え付けなのは筋トレ好きにはうれしいのではないだろうか。

そして賃貸住宅で筋トレする場合の課題は「音」だ。この部屋の床には吸音材が敷かれており、また1階の角部屋。音問題も考えられてつくられている。

この物件は3LDKの間取りなのだが、ほかの部屋もコンクリートの壁紙やダクトを見せるデザインなど無骨な雰囲気がかっこいい。

以前は和室だった部屋をリフォームし、筋トレルームへ。押し入れ(上)は大きな鏡に姿を変えた(下)コロナ禍で思うようにスポーツジムに通えないという人も多いが、自宅なら安心してトレーニングができる

オンラインにも対応したフィットネスルーム

壁は一面鏡になっているので、しっかり自分の姿を確認しながら運動できる壁は一面鏡になっているので、しっかり自分の姿を確認しながら運動できる

体を動かすことが好きな方、そして体を動かしたいけれど続かないという方に向けてつくられたフィットネスルームのある部屋。エアロバイクやダンベル、バランスボールなど、こちらも筋トレルーム同様、スポーツクラブアクトスが監修し本格的なものがそろえられているそうだ。

さらにうれしいのが、大型のモニターが備え付けられていること。ヨガやピラティスなどのオンラインフィットネスを申し込めば、リモート受講も可能。テレビや映画を見ながらエアロバイクなどの運動をすることもできる。メイクやウエアに気を使わなくていいのもうれしいポイントではないだろうか。これなら自宅で気軽にフィットネスを始められ、無理なく長く続けられそうだ。

ニッショーが提案する新しい賃貸住宅の選び方

さまざまなコンセプトの「&room」を紹介したが、募集が始まったばかりのアイランドキッチンの部屋以外はすでに入居済みだ(2022年1月現在)。

「インパクトだけを狙っているわけではないですが、かなり振り切った部分もありますよね(笑)。興味のあるお客さまからはかなりいい評価をいただいております。逆に言うと興味のないお客さまからはまったく見向きもされませんが、それでいいと思っています。これまでは賃貸物件を探す際、エリアや間取り、家賃などの条件で検索することが多かったですよね。でもこの&roomによって、これからは『この物件に住みたい』という、もうひとつの検索軸を提供できるのではないかと思っています」と服部さん。

そしてこう続ける。「今後も新しいコンセプトの&roomをつくっていく予定です。そして既存のコンセプトルームの横展開もしていきたいと考えています。こういった物件を気に入ってくださるお客さまが増えれば、リフォームをお考えのオーナーさまの選択肢にコンセプトルームも加わると思うのです。お客さまやオーナーさまの“たのしー”を私たちニッショーがいかに提供できるかを考え、『&room』を発展させていきたいですね」

コロナ禍の今、おうち時間が増え家で過ごす時間をいかに有意義にできるかと考えている人も多いだろう。今までの賃貸住宅では実現できなかったことを可能にした「&room」は、既存物件の活用、賃貸物件の差別化という観点からも、注目すべき取組みではないか。

次はどんなコンセプトルームが誕生するのか、楽しみにしたい。


取材協力、写真提供
株式会社ニッショー:https://www.nissho-apn.co.jp/
&room:https://www.nissho-apn.co.jp/androom/

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