コンセプト住宅を浸透させたニッショー×ヴィレッジヴァンガードのコラボルーム

こちらがコラボルーム第一弾「巨大壁画の部屋」。こちらがコラボルーム第一弾「巨大壁画の部屋」。

ファッションにも流行があるように、賃貸にもその時どきのトレンドがあると思う。
2013年の賃貸トレンドはカスタマイズ賃貸。壁紙を自分好みに選べるなど、いわゆる着せ替え感覚で手軽に個性をプラスできる賃貸がウケていた。
2014年に入りリノベーションが注目されるようになると、ユーザーの趣味嗜好など、ひとつのコンセプトに基づいてリノベーションされたコンセプト賃貸がトレンドとなってきたように思う。
例をあげるなら、当サイトでも取り上げた猫付きマンションやライダーズマンション、ワインアパートメントなどがそうだ。そして、コンセプト賃貸が一般ユーザーに浸透するきっかけを作ったのが、東海三県の賃貸を手掛けるニッショーと“遊べる本屋”ヴィレッジヴァンガードのコラボによるコラボルームだろう。
きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースなどを手掛けるアートディレクター・増田セバスチャンによる、ポップでカラフルでキュートな部屋“HARAJUKU KAWAii!!”は内覧だけで100組を超える人気だったという。この“HARAJUKU KAWAii!!”は、コラボルームの第9弾として2013年9月に完成。第一弾は同年2月、人気イラストレーター・YOICHIRO氏が部屋の壁に大胆な絵を描くという「巨大壁画の部屋」を完成させていた。
スタートから2年を経た今でも新しく斬新なアイデアのコラボルームを展開。現在のところ33の個性的な部屋が完成し絶えず入居者がいる状態で、人気の部屋ともなると予約待ちなのだという。
そもそもこの人気のコラボルーム、どういった経緯で誕生したのか、二ッショーの担当者に話を伺った。

“面白い部屋”作りませんか?でスタート

コラボルームの発案者、ニッショーの鈴木氏。コラボルームの発案者、ニッショーの鈴木氏。

「とある賃貸住宅の講演会でヴィレヴァンの平野社長が登壇されていて、名刺交換させていただいたのが最初の出会いです」と、株式会社ヴィレッジヴァンガードwebbedの代表取締役・平野貴和氏との出会いを話すのは、コラボルームを担当する株式会社ニッショー・営業企画課係長鈴木伸哉氏。
「ヴィレッジさんには当時から「ヴィレッジ不動産」というコンテンツがあり、ちょっと変わった面白い物件を紹介されていたのですが、実際はなかなかそう面白い物件は見つからなくてねというお話を聞いて、だったら一緒に作りませんかとお声かけさせていただいたんです」と続ける。
エッヂの効いたコンセプト作りが得意なヴィレッジヴァンガード(以下略称:ヴィレヴァン)がアイデアを出し、地元で多くの物件を取り扱うニッショーがそれを膨らませて部屋を作るというコラボレーションで“面白い部屋”作りへの挑戦が始まった。

とはいえ、最初から順調だったわけではなく「やはり、アートすぎてしまうと一般の賃貸ユーザーの方にはハードルが高くなってしまうようで、最初のころは試行錯誤が続きましたね」と鈴木氏。「平野社長の言葉を借りるなら、“部屋作りは凝らないとダメだが凝りすぎてもダメ”。そのさじ加減が難しかったです」と、当時を振り返る。

映画に登場する部屋を忠実に再現するシネマ・ライン

しかし、挑戦を続けていくうちに新たな流れができたという。そのきっかけとなったのがコラボルーム第五弾として発表された「スオミ・ダイニング」だ。
映画をコンセプトにしたこれまでにない賃貸物件の誕生。残念ながら、映画のタイトルはここでは書けないのだが、北欧・ヘルシンキを舞台にした映画に出てくる“あの食堂”といえば、わかってもらえるだろうか。
3LDKの部屋を2LDKにリノベーションし、メインとなるダイニングルームは、水色の腰パネルを張り、映画に登場するカウンターを忠実に再現するため同じ材質で製作。映画の登場人物が使っていたという洋室まで作るというこだわりよう。完成した部屋は内覧にも多くの人が訪れ、入居希望者多数のため抽選で決めるというほどの人気だったそう。
この「スオミ・ダイニング」から、コラボルームのシネマ・ラインがスタートし、直近だと能年玲奈主演の「海月姫」の部屋や、大人気海外ドラマの主人公が住むニューヨークのセレブな部屋を再現した「NYセレブ・プレミアム」などが作られてきた。
こうして、ニッショー×ヴィレッジヴァンガードのコラボルームは、“面白い部屋”というひとつのカテゴリーを確立した。

シネマ・ライン第一弾となった「スオミ・ダイニング」。映画を何度も観て、その世界観を再現したという。「インテリアなどはあえて置かないようにしました。この部屋を完成させるのは入居者の方のお楽しみというわけです」と鈴木氏。シネマ・ライン第一弾となった「スオミ・ダイニング」。映画を何度も観て、その世界観を再現したという。「インテリアなどはあえて置かないようにしました。この部屋を完成させるのは入居者の方のお楽しみというわけです」と鈴木氏。

“面白い”だけでなく空室対策でも結果を出す。

「ヴィレッジさんとのコラボは“面白い”ことがしたいというところが出発点でしたが、もちろんその先には空室対策という目的もありました。そういう意味では目的は達成されて、オーナーさんにもご満足いただける結果が出せたと思っています」と鈴木氏。

カスタマイズとは違い、リノベーションにより大きく間取りを変更することが多いため、オーナーにとってはその改装費用の負担という大きなリスクを背負うことになる。しかも、オーナー世代はヴィレヴァンがどういう会社であるか知らない人が多かったため、説明するのには時間も労力もかかったという。
「うちが面白いだけで、オーナーさんの資産をいじっていいのかと悩みました。オーナーさんにも納得のいくまで説明をして理解してもらったうえで始めるというのが大変でしたね。最初は「なにそれ?こんなのにお金払えない」といわれることがほとんどで。そんななかで一部の方が賛同してくれて、スタートさせることができたので本当にうれしかったですね」(鈴木氏)
今では、自分のアパートを全室コラボルームにしたいと申し出てくるオーナーや、空室対策のためにコラボルームを作ったが、その出来栄えに感動し「周りの人に自慢したいからしばらく入居の募集はしないで」という要望まであるという。
ユーザーだけでなく、オーナーにとっても“面白い部屋”というのは魅力的だったようだ。

写真上部:「NYセレブ・プレミアム」真っ青に塗られた壁にアートなフォトフレーム、セレブ感あふれるスタイリッシュな空間だ。あの映画のあの部屋にあった大きなウォークインクローゼットもあるという。
写真下部:バリのリゾートを表現した「バリアンスペース」。こういう部屋が欲しいというユーザーの声もあり、現在はバリアンシリーズとして量産されている。写真上部:「NYセレブ・プレミアム」真っ青に塗られた壁にアートなフォトフレーム、セレブ感あふれるスタイリッシュな空間だ。あの映画のあの部屋にあった大きなウォークインクローゼットもあるという。 写真下部:バリのリゾートを表現した「バリアンスペース」。こういう部屋が欲しいというユーザーの声もあり、現在はバリアンシリーズとして量産されている。

モデルプロデュースの部屋など、新しい取り組みも始動。

ヴィレヴァンとのコラボルームのほかにも、ニッショーでは「なごや女子部屋」や「漢の部屋探し」、「ツボにハマる~む」といったユニークなネーミングで、さまざまなターゲット層に訴求できる部屋選びのコンテンツを展開している。

引き続き、次回の記事にて人気モデルがプロデュースを手掛けた部屋や、視点を変えて好物件を見つけられるコツのほか、高齢者の賃貸住まいをサポートする「シニアライフサポート」サービスについても紐解いてみようと思う。


取材協力、写真提供/株式会社ニッショー
http://www.nissho-apn.co.jp/

2015年 08月06日 11時14分