人生100年時代を見据えた、新しい住まいの形
厚生労働省の発表によれば、2019年の日本人の平均寿命は女性が87.45歳、男性が81.41歳となり、ともに過去最高を更新。人生100年時代を見据えて、我々は今まで経験したことがない、「高齢化と住まい」について考える必要性に迫られている。特に、気になるのが健康面。一般的には、介護が必要になったときになって初めて、入居可能な施設を探すということが多く、これは本人や家族にとって、とても負担が大きくなる。
そこで、いわゆるアクティブシニアのような、支援が少なくてよいうちは普通の生活をしながら、必要に合わせて近くの介護サービスやデイサービスが自由に利用できるという、今までにない形の住宅が誕生した。それが、関西初のシニア向け一戸建て賃貸住宅「彩りの郷 リベルテ東山」だ。
施設ではない一戸建て住宅なので、プライバシーが確保されやすく、夫婦や親子での入居や、ペットと一緒に暮らすこともできる。そして、健康なときから、身体の状況に合わせてさまざまな介護サービスが利用できるので、自分で最期までライフデザインしたい人向きの住宅だといえるだろう。今回、社会福祉法人 池田さつき会 広報戦略室 課長 青山健司氏と、株式会社ポプラコーポレーション お客様相談室 課長 百田真也氏に建物を案内していただき、お話を伺ってきた。
ポプラグループが16年の歳月で築き上げたシニアタウン「彩りの郷」
「リベルテ東山」は、大阪府池田市にあるポプラグループが推進するシニアタウン、「彩りの郷 ポプラ東山」の一角に誕生する10区画の一戸建て。阪神高速を利用すれば大阪市内から車で約30分という、都心近接エリアといえる立地でありながら、豊かな自然環境に恵まれている。
ポプラグループは大阪府下に38の高齢者介護施設を運営する企業で、2005年3月にグループ最初の施設となる特別養護老人ホームをこの場所に開設。その後、デイサービス、グループホーム、介護付有料老人ホーム、クリニック、サービス付き高齢者向け住宅など、「高齢者の増加と必要な支援の多様化」という時代の流れに合わせて、次々と施設を開設していったのである。今回の「高齢者向け賃貸住宅」も、このポプラグループの充実した介護施設があるからこそ実現できたのだ。時代の流れから新しく生まれた「介護施設ではないシニア向け戸建て賃貸住宅」。大きな特徴は、将来介護が必要になったときでも困らないような体制の中、健康なときから安心して暮らせる住まいだということである。
ここで提供される大きな価値は、「介護が必要になったときでも、自分がよく知っている地域で、よく知っている人に介護してもらえる安心感と、自分に最適なサービスを自分で選択でき、行動が自由でプライバシーが確保された暮らし」だと百田氏。
青山氏はその背景を、「施設に入るとき、知らない場所で知らない人たちに介護される急激な環境変化の苦労や、個室でも行動や時間に一定の制約があり、プライバシーが確保しにくいという課題に対応するため」だと説明。早い段階からお手伝いをしたいという思いがあるという。
そして、この価値を支える重要な役割を担うのが、人である。
「彩りの郷」で働くスタッフは、トータル200人以上。常に100人ぐらいが、さまざまな施設の中で働いている。認知症の研修を受けていたり、介護福祉士の資格を持っているなど、すべての人がシニアに対する理解度が高く、対応が細かく的確。挨拶や声掛けなど、日頃からコミュニケーションをとる一方、そっと見守るというような配慮ができるので、とても快適で安心して暮らすことができるのだ。介護が必要のない健康な状態でも、わからないことや不安なことをいつでも相談することができるので心強い。
この人たちがいつも温かく見守ってくれているということが、この賃貸住宅の最大の特徴といえるだろう。これが、関西初のシニア向け一戸建て賃貸住宅といわれる所以である。
シニアが暮らしやすい、ユニバーサルデザインの木造平屋の一戸建て
「リベルテ東山」は木造平屋の一戸建てで、総戸数は10戸。間取りは、1LDK~2LDK、専有面積は 52m2~78.12m2となっている。それぞれ独立した一戸建てだが、各邸宅へは小道でつながり、建物のデザインやテイストも統一されており、おしゃれな街並みを形成している。また、緑の植栽や季節ごとに咲く花がとても綺麗で、玄関の門柱にあるイタリア製のタイルもおしゃれなのだ。
室内はすべて引き戸で、玄関からフラットになっており、車椅子になっても不自由なく生活できる広さを確保。リビングの窓は大きいので明るく、外の緑の景色を楽しむことができる。ビルトインの食器洗い乾燥機や、3つ口のIHコンロをもつシステムキッチンなどの設備も充実。浴室は1618サイズの浴室なので、ゆったりと手足を伸ばすことができるのが嬉しい。
また、手すり付きトイレには温水洗浄便座も完備されていて、ALSOK(アルソック)の緊急通報装置や人感センサーがあるので安心して暮らすことができる。この住宅には、「日頃の介護の経験から生まれたアイデアが生かされている」(百田氏)というのも納得である。
そして、何より一戸建てなので独立性が高く、プライバシーが守られやすいのが魅力。子どもや孫が遊びに来てそのまま泊まることができるのも大きなメリットである。ゆったりとした平屋の一戸建ては、シニアにとってとても暮らしやすいだろうと感じた。
快適な暮らしを支えるコンシェルジュサービスや施設
日常の暮らしは専属のコンシェルジュがサポートしてくれる。ここで働く人たちは、シニアに対する理解度が高いだけでなく、コミュニケーション能力がとても高い。私が取材に行ったときも、家の前で清掃をしていたコンシェルジュの人にとても丁寧に対応していただいた。また、街を歩いているシニアの方に気軽に挨拶をしたり、談笑したりと、このエリアに住む人や利用する人たちとの間で、とてもいいコミュニティができているのを感じた。この人たちの存在は、この街で暮らす安心感につながっているのだ。
この街では、カラオケやシアタールーム、談話室など、彩りの郷内の共用施設が利用でき、散歩道が整備されているので、豊かな自然の中を散策することもできる。入居者専用の畑が用意されているので、家庭菜園を楽しむことができ、疲れたら隣接する特別養護老人ホームの1階にある喫茶で一休みすることも可能。陶芸や手芸、座ったままでできるヨガといったレクリエーションなど、楽しいイベントに参加することもできるなど、シニアにとって楽しく暮らせる環境が整っているのだ。
「彩りの郷 リベルテ東山」の入居費とサービス利用費
「リベルテ東山」に入居し、さまざまなサービスを利用するにあたっては、入居時前払い金と月額費用が必要になる。
・入居時前払い金は1,160万円~2,160万円(10年間の賃料の半分を前払い)
・月額費用(家賃・基本サービス費・管理費)は206,800円~290,600円
基本サービス費には、緊急時の対応や生活相談などに対応してくれるコンシェルジュサービス、安心見守りサービス、緊急通報システム(ALSOK)、ポプラ内イベント参加、農園、駐車場利用が含まれている。
また、管理費には、共用部(庭園)の清掃、水やり、剪定、植え替え作業などが含まれている。他にも、家事サービスなどの有料サービスも用意されている。
入居するためにはまとまったお金が必要だが、これらのサービスが受けられ、安全安心に暮らせることを考えるとその価値はあるだろう。また、この費用は住戸に対して設定されているので、二人で住んでも料金が同じなのは魅力的だ。
老後の大掛かりなリフォームや、新しく家を購入するときにも大きなお金は必要になるので、「リベルテ東山」は将来の暮らしや相続などを考えた場合のひとつの選択肢になるだろう。
「彩りの郷 リベルテ東山」の、健康なときから少しずつ準備をしていく住宅コンセプトはとても斬新で面白く、新しいシニア住宅の可能性を示してくれている。16年間でポプラグループが積み上げてきた施設やノウハウ、特に、シニアの気持ちを理解した多くの人が働いている環境はとても安心感があり、まさに人の部分がとても大きいと感じた。これから高齢者の数はさらに増えていく。ポプラグループの今後の取組みが楽しみである。
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