アジアを中心に海外現地法人数は増加傾向

SGムービング株式会社 本社営業部 営業開発課 海外・美術担当の藤本雅紀さん。海外引越しに関する業務全般を担当しているSGムービング株式会社 本社営業部 営業開発課 海外・美術担当の藤本雅紀さん。海外引越しに関する業務全般を担当している

人・モノ・経済など様々な分野でグローバル化が進む昨今。これを表す一例として、経済産業省「海外事業活動基本調査」によると日本企業の海外現地法人数は下記のようにアジアを中心に増加している。

アジア:11,217社→15,964社
北米:2,872社→3,180社
欧州:2,522社→2,767社
(2009年→2014年)

読者のなかにも海外赴任や留学を目指す、または決まった人もいるのではないだろうか。しかし、実際に海外への引越しを考えた場合、どのタイミングでなにをすればいいのか、費用、荷物が到着するまでの日数など分からないことだらけという人も多いはずだ。なぜなら、これらは国内の引越しと大きく異なるからだ。

そこで海外引越しのノウハウや注意点などをSGムービング株式会社 本社営業部 営業開発課 海外・美術担当の藤本雅紀さんに聞いた。

まずは引越し会社の選定とビザの申請を

―海外への引越しが決まったらまずはなにをするべきでしょうか。
「最初にすることは引越し会社を探すことだと思います。日本国内の引越しの場合は、一括見積サービスなどを行っているサイトが複数ありますが、海外の場合はほとんど見当たらないはずです。そのため、『引越し 海外』といったキーワードで検索して、出てきた会社に見積もり依頼をすればいいでしょう。
それから、引越し先の国のビザ(入国査証)を取得する手続きをしなければなりません。ビザは留学や就労など目的に応じたものを取得する必要があります。申請方法は各国大使館のホームページで確認できますし、直接電話して聞いてもいいと思います」

―引越し会社を選ぶ際の判断基準にはどのようなことがありますか。
「お客様の多くは、大手の方が安心できるとおっしゃっています。なぜなら、ほとんどの大手は現地に日本人スタッフがおり、引越し先へ荷物を搬入する際に立ち会うのでトラブルになりにくいからです。ただし、国や地域によって日本人スタッフがいない場合もあるので、見積もり依頼をする前に確認した方がいいでしょう。
見積もりに関しては、海外引越しの場合、国内のように“単身パック”といったパッケージ商品を用意している会社はほとんどありません。一般的にはお客様の家に営業担当者が出向いて荷物の量などを確認してから見積書を作成するようになります。忙しいお客様などには電話で済ませることもできますが、金額に誤差が生じ、後から追加料金が発生する可能性が高まるのでお勧めしません」

費用は航空便の方が船便よりも1.5倍から2倍高くなる

―費用の相場を教えてください。
「海外引越しの場合は、日本からの距離だけでなく、荷物のkg単位でも価格が大きく変わります。また、行先のテロや戦争の危険度が増すと荷物の破損や紛失などに掛ける保険料も増額となります。そのため、相場を一言でお伝えすることはできません。大手ならばだいたい同じような金額になるはずです。ただし、会社によって得意な地域もあるので、若干の差はあり得ます。とにかく複数の会社へ見積もり依頼をして比較すればいいでしょう」

―輸送方法によって到着までの期間や費用に違いはあるのでしょうか。
「おもな輸送方法は航空便と船便の2種類になります。到着までの期間は、最近ニーズの高い東南アジア(ASEAN)、中国、アメリカの場合、航空便は1~2週間といったところです。船便は1~1.5カ月かかります。これらの国よりも遠いヨーロッパ諸国の場合は、これよりも若干長くなります。
費用に関しては船便よりも航空便の方が早く到着するため、1.5倍から2倍高くなります。保険料はどちらも同じです」

おもな輸送方法は航空便と船便の2種類。航空便の方が船便よりも早く到着するため費用は1.5倍から2倍高くなるおもな輸送方法は航空便と船便の2種類。航空便の方が船便よりも早く到着するため費用は1.5倍から2倍高くなる

海外の賃貸住宅は家具付きが一般的

海外の賃貸住宅の多くには家具が付いている。無理をして日本から運ぶ必要はない場合もある海外の賃貸住宅の多くには家具が付いている。無理をして日本から運ぶ必要はない場合もある

―最後に海外への引越しに対する注意点を教えてください。
「まず、無理をしてソファーやベッドなどの大型家具を持っていくことはないということですね。海外の賃貸住宅の多くには家具が付いています。大型家具を海外へ運ぶ場合は、費用が購入価格を上回ることもあり得ます。そこまでするなら、引越し先に備え付けの家具を利用する方が賢いのではないでしょうか。それに海外の部屋の多くは日本よりも広いので、自分の家具を持って行ったらバランスが悪いというケースが多々あります。部屋が決まったら広さを確認して、違和感がないか検討した方がいいと思います。とはいえ、日本で使用している家具がお気に入りで手放したくない、というお客様もいらっしゃいます。そういった方には帰国するまでトランクルームや実家などに預けておくことをお勧めしています。
それから気をつけたいのは、日本ならではの家電は持って行くべき、ということです。たとえば、炊飯器や空気清浄機、ホームベーカリーなどです。日本メーカーのこれらの家電は非常に高性能で海外だと購入できなかったり、できたとしても非常に高価です。そのことをご存じのお客様のなかには、わざわざ引越し前に日本で購入して持って行く方もいらっしゃいます。
また、昆布や粉末のだしといったいわゆる『日本の味』を持って行く方も多いですね。これらも現地では入手困難だったり、高価だったりするからです。ただし、東南アジア(ASEAN)の国々なら比較的安価で入手できるようです」

はじめての海外への引越しは分らないことだらけだろう。たしかに上記のような独特のノウハウがあることは間違いない。トラブルや後悔を減らすには、とにかく積極的に藤本さんのような専門家に相談するべきではないだろうか。

取材協力
SGムービング株式会社
https://www.sagawa-mov.co.jp/

2017年 01月28日 11時00分