今後もますます増加する在留外国人

訪日外国人観光客数が急増している。2015年は前年比47.1%増の1,973万7400人となり、3年連続で過去最高を更新した。今年は2020年までを目標としていた2,000万人を4年前倒しで達成する見込みだ。

これにともない、3カ月以上日本に滞在する在留外国人の数も年々増えている。東日本大震災があった2011年から2012年にかけて一時減ったものの、その後は増加を続け、2014年末時点で212万1,831人となっている。

外国人が日本で暮らすには、当然住まいが必要となる。そのほとんどが賃貸住宅となるだろう。しかし、一部の民間賃貸住宅においては、トラブルを避けるために外国人の入居を制限する傾向が見られる。たしかに次のようなトラブルはよく耳にする。

・母国語で大声で騒ぐ
・ゴミ出しのルールを守ってくれない
・契約は単身入居だったが、すぐに複数人で同居

政府は今後も訪日観光客拡大を推進する方針だ。そのうえ、少子高齢化や国際化によって労働力、留学などのニーズは今後も増え、日本に住む外国人は増加を続けるだろう。上記のようなトラブルへの対策は急務だ。そこで国土交通省では、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居を目的として「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を作成している。

賃貸物件のオーナーや管理会社には非常に参考になるはずだ。その内容を紹介しよう。

在留外国人の数は、東日本大震災が発生した2011年(平成23年)以降、年々増加している(出典:法務省)在留外国人の数は、東日本大震災が発生した2011年(平成23年)以降、年々増加している(出典:法務省)

応対方法は受付から解約・退去まで5段階で解説

同ガイドラインは、日本で賃貸住宅を探す外国人への応対方法や留意事項に加え、6カ国語で作成した、「入居申込書」、「重要事項説明書」、「賃貸住宅標準契約書」、「定期賃貸住宅標準契約書」等の見本を掲載している。

応対方法は受付、意思確認と契約準備、契約、入居、解約・退去の5段階で解説。「家賃、敷金の金額など数字は筆談を用いる」、「日本の賃貸借契約における連帯保証人や敷金または一部地域では慣習に基づく金銭の授受が必要な場合があることから、入居希望者が契約時に必要な書類や金銭の準備などをあらかじめ心づもりしてもらう」など、かなり具体的なことにまで触れている。

入居審査における身元確認書類例は次の7つとなっている。

1.パスポート
2.住民票の写し(外国人登録原票記載事項証明書に代わるもの)
3.勤務証明書
4.在学証明書
5.収入証明書
6.就労資格証明書
7.資格外活動許可書

なお、民間の賃貸住宅は、通常、連帯保証人を必要とするが、適切な連帯保証人が見つからない場合は、民間の家賃債務保証サービスを利用することを勧めている。

また、留意事項は10個のQ&A方式となっている。「押印は?⇒サインでOK」、「良好な近隣関係を築いてもらうには?⇒日本には引っ越し後に挨拶回りをする習慣があることを伝える」といったように、言われてみればなるほど、ということばかりだ。

「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」。全130ページ。カラーで読みやすい「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」。全130ページ。カラーで読みやすい

「入居申込書」、「重要事項説明書」など必要書類の6か国語の見本

巻末の「入居申込書」、「重要事項説明書」、「賃貸住宅標準契約書」、「定期賃貸住宅標準契約書」等の見本は、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の6か国語だ。1か国語につき18ページの説明が掲載されている。

たとえば、外国では馴染みのない敷金に関して、賃貸住宅標準契約書では、以下ように記載している(一部抜粋)。

日本語
(敷金)
第6条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)
に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共
益費その他の債務と相殺をすることができない。

英語
(Security Deposit)
Article 6. The Tenant shall pay a security deposit
specified in (3) above to the Landlord to cover
any liabilities arising from the Contract.
2 The Tenant cannot use the security deposit to
offset any liabilities, including rent and common
service fees, before moving out.

賃貸物件のオーナーや管理会社は入居を制限する、入居者はトラブルを起こしてしまう、といったように、お互いに悪気が無くても言葉の問題での意思の疎通ができないゆえにビジネスが成立しないのは非効率だ。
このようなガイドラインを参考に、外国人の受け入れを考えてはいかがだろうか。

英語版の「入居申込書」、「重要事項説明書」、「賃貸住宅標準契約書」、「定期賃貸住宅標準契約書」等。どの言語版も日本語版と同じ構成なので、照らし合わせれば分からない言語でも理解できる英語版の「入居申込書」、「重要事項説明書」、「賃貸住宅標準契約書」、「定期賃貸住宅標準契約書」等。どの言語版も日本語版と同じ構成なので、照らし合わせれば分からない言語でも理解できる

2016年 02月13日 11時00分