音楽好きが集うコミュニティを育てたい
音楽を聴くだけでなく、音楽を奏でる生活に憧れる人は多いだろう。
楽器を演奏する人なら、「周りを気にせず、思いっきり練習したい」「昼夜問わず好きな時に演奏ができれば、楽しいだろうな」と思ったことがあるかもしれない。音楽を聴きながら一人の時間をゆっくり過ごしたり、音楽を介して新しい世界が広がったりとさまざまな楽しみ方がある。
今秋、兵庫県神戸市・元町に『音楽好きな人のためのコミュニティ』をコンセプトに掲げた賃貸マンションが誕生する。通常のワンルームマンションの住戸部分に加えて、入居者が自由に使える「音楽スタジオ」「シアタールーム」「ラウンジ」などの共用施設を備える。
現在進行中の音楽スタジオ付きコミュニティ賃貸マンション「神戸元町プロジェクト(仮称)」について、お話をうかがってきた。
“神戸の音楽熱”に応えるマンションを
神戸元町プロジェクト(仮称)は、事業者である安田不動産が所有する築32年のオフィスビル「中山手安田ビル」を地上14階建ての賃貸マンションに建て替えるものである。
そもそも、なぜオフィスビルから音楽スタジオ付きのコンセプトマンションにするのか?
「計画地は、神戸の元町駅から山側へ歩いて7分と好立地にあります。兵庫県庁などの官庁関係施設があり、これまでオフィスビルとしての需要がありましたが、最近は住宅街としてとても人気の高いエリアであるため、オフィスビルをマンションに建て替えることにしました」と、同事業担当の安田不動産株式会社 関西支店の福原裕介氏。
「神戸は日本の“ジャズ発祥の地”と言われ、音楽熱の高い地域です。当マンションプロジェクトは、音楽好きな方へ“新しい生活スタイル”を提案したいという社内プレゼンから生まれました。音楽好きとは、プロをめざす人だけでなく、ライブに行ったり、日頃から音楽を聴いたりする人まで音楽に関心のある幅広い層を想定しており、いろいろな方にご利用いただきたいと思っています」。
総務省統計局 家計調査年報 家計支出編(平成22年)によると、近畿圏の政令指定都市で「CDなどの音楽・映像収録済みメディア」の1世帯あたりの購入額が1番高いのが神戸市だという。その額は、2位の大阪市4,246円を大きく上回る5,838円で全国でも8位にランクインしている。
音楽が根付くまち神戸に、音楽好きをターゲットにしたマンションが生まれるのもうなずける。
「コミュニティ賃貸マンション」のメリットとは?
多様化する居住形態のなかで、入居者同士の交流機能のある「コミュニティ賃貸マンション」が注目されつつある。
シェアハウスは生活費が抑えられ、楽しそうだけど、自分の空間は通常のマンションと同じように確保したい。プライバシーを守りながら、「入居者同士の交流も楽しみたい」と思う人におすすめなのがコミュニティ型の居住スタイルである。
今回の物件で説明すると、14階建ての2階全体に入居者が自由に使える音楽スタジオ(2室)、大画面テレビ・高性能スピーカーを設置したシアタールーム(1室)、高機能オーディオ、レコードプレーヤーなどのAV機器や簡易キッチンなどを設置したイベント・パーティ向きのラウンジなど、通常のワンルームには無いプラスαの空間が備わる。
音楽スタジオは株式会社ヤマハミュージックリテイリングの協力のもと、ギター・ベース・電子ドラム・電子ピアノなどの楽器にアンプ・スピーカー・マイクセットを加えたバンドセットを備えた防音室で、楽器の個人練習やバンド演奏、デモテープなどの録音ができる。これらの設備を個人で揃えようとすれば相当の出費になるが、共用設備のため無料で自由に使うことができる。これは、音楽好きな人にとって大きなメリットだといえよう。
一般的な賃貸マンションと同様、各住戸にバス・トイレ・キッチンを完備し、プライベートな空間は守られている。部屋数は84室で、標準サイズの1Kタイプ(約25㎡)が60室、収納をたっぷり備えた1Kタイプ(約30㎡)が12室、2人暮らしも可能な1LDK(約36㎡)12室がある。プライベートとコミュニケーションを両立できるので、それぞれの生活リズムに合わせて一人の時間も、入居者同士で過ごす時間も楽しむことができる。
住人同士のセッションを日常に
「音楽という共通の話題があることで、親近感が増し、垣根が低くなると考えています。ゆくゆくは入居者同士でバンドが組めたらおもしろいのでは」と、福原氏。
コミュニティの促進として、ラウンジでの「演奏会」やおすすめのCD貸し借り、ウェルカムパーティなども検討中だという。管理会社はコミュニティ型賃貸住宅の先駆けとして実績を重ねる株式会社グローバルエージェンツが担当する。
今回の物件は現在建築中で、2015年10月の竣工予定である。賃貸物件だから、「ちょっと住んでみたい」という気持ちが行動に移しやすいという利点もありそうだ。
音楽を介して集う場があれば、新たなつながりや交流、夢も広がっていくことだろう。
■取材協力
神戸元町プロジェクト(仮称):http://kobe-project.social-apartment.com/
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