相続税対策により増え続けている都心の『虫食い状住宅地』

2015年1月から相続税が改正されると、課税対象となる被相続人が現状の約4%から約6%へと増加する見込みだと報じられている。特に首都圏・都心部に一戸建て住宅をはじめとした不動産物件を所有する人たちにとっては、今後の『相続税対策』は大きな課題となることだろう。

「相続税が支払えないから」という理由で、長年暮らした都心の住まいを売却して地方へと移り住む方も多いと聞くが、昔ながらの住宅地に建つ一戸建て住宅の場合は、交通環境に恵まれた利便性の高い場所にあっても、四方を一方通行の狭い道路に囲まれた狭小地(きょうしょうち)や、重機搬入が難しい旗竿地(はたざおち)などの“虫食い状態の土地”であることが多く、新たな住宅地開発が難しいため、売却が進まないまま長年空き家として放置されてしまうケースもあるという。


そんな『虫食い状の旗竿地』を有効活用したモダンデザインのテラスハウスが、このたび東京都中野区東中野に完成したと聞いて現地を訪れてみた。はたして、『都心の空き家問題』『虫食い状の狭小地・旗竿地』の救世主となりうるだろうか?

▲2014年10月末に竣工した【Conoie(コノイエ)東中野】(外観パース)。<br />株式会社コプラスが提案する、都心の旗竿地・狭小地の活用をテーマにした集合住宅シリーズで<br />2013年グッドデザイン賞を受賞した【Conoie目白台】に続くシリーズ2棟目となる。<br />もともと【Conoie(コノイエ)東中野】は分譲住宅として企画がスタートしたのだが、<br />現オーナーが相続時の優位性などを評価して1棟購入を希望したため<br />5世帯のテラスハウス型賃貸住宅として運用されることになった▲2014年10月末に竣工した【Conoie(コノイエ)東中野】(外観パース)。
株式会社コプラスが提案する、都心の旗竿地・狭小地の活用をテーマにした集合住宅シリーズで
2013年グッドデザイン賞を受賞した【Conoie目白台】に続くシリーズ2棟目となる。
もともと【Conoie(コノイエ)東中野】は分譲住宅として企画がスタートしたのだが、
現オーナーが相続時の優位性などを評価して1棟購入を希望したため
5世帯のテラスハウス型賃貸住宅として運用されることになった

節税効果、投資用物件としても期待できる旗竿地の集合住宅活用

▲まるで“竿のついた旗”のように見えることから『旗竿地』と呼ばれる延長敷地。こうした形状の土地の場合は、接道面が少なく変形地とみなされるため、一般の整形地に比べて『節税効果』が期待できる。つまり、土地を上手に活用して一定のクオリティをクリアした集合住宅を建設することができれば、オーナーにとっては『効率の良い投資物件』となる▲まるで“竿のついた旗”のように見えることから『旗竿地』と呼ばれる延長敷地。こうした形状の土地の場合は、接道面が少なく変形地とみなされるため、一般の整形地に比べて『節税効果』が期待できる。つまり、土地を上手に活用して一定のクオリティをクリアした集合住宅を建設することができれば、オーナーにとっては『効率の良い投資物件』となる

この【Conoie(コノイエ)東中野】を手がけたのは、自由設計ができる新築マンション、コーポラティブハウスを基幹事業としている株式会社コプラス(本社:東京都渋谷区)だ。

「相続税対策によって手放された都心の住宅地は、集合住宅に建て替えたり、分筆して宅地分譲をおこなうケースが多いのですが、虫食い状の旗竿地・狭小地の場合はそれが難しいため、活用法に苦慮していました。

そこで、自由設計や複雑なスキームの不動産事業構築を得意とする弊社だからこそ、旗竿地・狭小地に特化した土地活用がおこなえるのではないか?とプロジェクトを立ち上げたことが『Conoie(コノイエ)シリーズ』誕生のきっかけとなりました」(株式会社コプラス/広報:野村郁さん談)。

実際に現地を訪れてみると、一戸建て住宅がかなり近接して建ち並ぶ第一種中高層住居専用地域。JR中央・総武線『東中野』駅から徒歩5分、東京メトロ東西線『落合』駅から徒歩3分という便利な立地にありながら静かで魅力的な環境なのだが、近接する道路幅が狭く、“ここは重機搬入が難しそうな場所だなぁ”と素人目に見てもわかる『旗竿地』の形状だ。

「たしかに、虫食い状の土地の場合は、重機搬入の難解さが一番大きな課題となるのですが、【Conoie(コノイエ)】シリーズでは、『スチールハウス工法』を用いることによって、搬入性の効率化と建設コストの軽減を実現し、同時にデザイン性・耐震性・耐火性も兼ね備えています」(野村さん談)。

スチールハウス工法に加え、必要不可欠なのは“近隣住民との調和”

▲2階バルコニーから眺めた新宿方面の眺望。お隣の住戸とは近接しているが、眺望に圧迫感はない。「本来ここには、3階建ての集合住宅を建てることもできたのですが、2階建て住宅が建ち並ぶ近隣との調和をはかり、2階建てテラスハウスを設計しました。近隣住戸の窓面と重ならないように窓を配置することで、双方のプライバシーに配慮しつつ、大きな開口部も実現しています」と野村さん▲2階バルコニーから眺めた新宿方面の眺望。お隣の住戸とは近接しているが、眺望に圧迫感はない。「本来ここには、3階建ての集合住宅を建てることもできたのですが、2階建て住宅が建ち並ぶ近隣との調和をはかり、2階建てテラスハウスを設計しました。近隣住戸の窓面と重ならないように窓を配置することで、双方のプライバシーに配慮しつつ、大きな開口部も実現しています」と野村さん

最近よく耳にする『スチールハウス工法』というのは、簡単に説明すると木造ツーバイフォーの枠材をスチールに置き換え、外張り断熱を施したもの。

もともと欧米発祥の工法だが、日本では『短工期・耐震性』等のメリットが注目され、阪神淡路大震災をきっかけにして広められた。建築費の急激な上昇が起きている一般的な分譲仕様のRC工法と比較すると、建設コストが坪単価にして約60%に抑えられることから、低コスト・高効率の新工法としても期待を集めている。

しかし、【Conoie(コノイエ)】シリーズが、都心の旗竿地・狭小地の有効活用を実現することができたのは、先進の『スチールハウス工法』の導入だけが理由ではない。

「工事の際に様々な制約をきたす都心の旗竿地・狭小地の活用において、一番大切なことは、『近隣の皆様のご理解を得ること』です。今回の【Conoie(コノイエ)東中野】の場合も、企画担当者が自ら「どのような建物が建つのか、どのようなスケジュールで工事を進めるのか、どのような重機が搬入されるのか…」などなどを、ご近所の皆様のお宅を一軒一軒まわって丁寧に説明し、工事の進捗にもご理解をいただきました。もともとのオーナー様のご人徳や友好的な土地柄もあって、近隣の皆様が空地を駐車場として利用させてくださったりと、とても好意的に受け止めて下さったことで工事がスムーズに進んだといっても過言ではありません。

こうした『近隣の皆様のご理解と調和をはかること』は、今後も【Conoie(コノイエ)】シリーズを展開していく上で、スタッフのコミュニケーション能力も含め、最も重要で不可欠なものであると考えています」と野村さん。

都心の土地の“虫食い”を食い止める!今後は年間2~3棟の展開を予定

▲もともと分譲住宅として企画されたため、設備・仕様もハイグレードなアイテムを導入。戸建て感覚の専用庭を全邸に設置するなど、子育てファミリーをターゲットに設計されている。近隣住民は「新たに若い世代のファミリー世帯がここに暮らすことで、地域全体の若返りにもつながることが期待できる」と好意的に受け止めているという▲もともと分譲住宅として企画されたため、設備・仕様もハイグレードなアイテムを導入。戸建て感覚の専用庭を全邸に設置するなど、子育てファミリーをターゲットに設計されている。近隣住民は「新たに若い世代のファミリー世帯がここに暮らすことで、地域全体の若返りにもつながることが期待できる」と好意的に受け止めているという

株式会社コプラスでは今後年間2~3棟を目指し、分譲および賃貸物件としての【Conoie(コノイエ)】シリーズを展開する予定だという。


「今回の【Conoie(コノイエ)東中野】の場合も、前オーナー様が“376.96m2(114坪)の土地の対処に困って”、税理士さんと仲介会社を通じて弊社へ相談を持ちかけてくださったのがきっかけでした。今までは活用が難しいと言われてきた『旗竿地』や『狭小地』ですが、そのまま放置してしまうと都心の住宅地の“虫食い”がどんどん広がっていき、空き家問題とともに地域の防犯面での課題が生じることも考えられます。そうした課題をひとつでもクリアできるように、今後も困難とされる土地にチャレンジしていきたいですね」(野村さん談)。


■取材協力/株式会社コプラス
http://www.co-plus.co.jp/conoie_higashinakano

■Conoie東中野 物件概要
東京都中野区東中野4-21-3
専有面積:76.86m2~80.93m2(全5戸)
予定賃料:22万円~24.5万円
入居予定時期:2014年12月初旬予定

2014年 11月25日 11時06分