再建築不可の土地とはどのようなものか

一般的に土地の利用は自由である。都市計画による用途制限や建物規模の限度などは定められているものの、それらを守るかぎりは利用の権利を妨げられることはない。しかし、一定の土地については建築そのものが認められないことがあり、「再建築不可の土地」などといわれる。これはいったいどのような土地なのだろうか。

住宅をはじめとして建物を建築することが認められないのは、市街化調整区域に立地する土地の場合(一定の要件を満たすケースを除く)、17万ボルト以上の高圧線の下にある土地の場合(17万ボルト未満で電力会社との契約により建築が制限された土地を含む)、そして建築基準法に定められた「接道義務」を満たさない土地の場合などである。

都市計画区域および準都市計画区域内の土地は、建築基準法による道路に2メートル以上が接していなければ建築確認を受けることができない。この「接道義務」を満たさない、いわゆる「不適合接道」の土地は、不動産公正取引協議会連合会が定めた「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」で、「再建築不可」または「建築不可」と明示することが義務づけられている。そのため、「再建築不可の土地」といえば、たいていはこの不適合接道によるものを指す。ここでは不適合接道を原因とする「再建築不可の土地」に絞って話を進めることにしよう。

不適合接道による再建築不可の土地にもいろいろある

不適合接道といってもその実態はさまざまであるが、まず、道路にまったく接していない土地が挙げられる。たとえば、もともと広かった敷地に複数の建物(母屋と離れなど)があり、そのどちらか一方を第三者へ売却するときに奥の敷地の専用通路を設けなかったようなケースで、道路にまったく接しない土地が生じる。建築基準法によって接道義務が定められたのは1950年(昭和25年)であり、それ以前にはこのような分筆がされたことも多かっただろう。

次に、敷地は道路に接しているものの、その道路が建築基準法で認められていない場合だ。このような道路は一般的に「通路」と呼ばれることが多い。法による道路幅の基準は4メートルであり、それに満たない幅員の道路はセットバックによる拡幅を条件として建築が認められる。これが「法42条2項道路」または「みなし道路」と呼ばれるものだが、原則として「建築基準法が施行された時点ですでに建築物が立ち並んでいた、幅員1.8メートル(1間)以上の道路」でなければ、法42条2項道路としての認定を受けることも難しい。その基準を満たさない細街路に面した再建築不可の土地も都市部には多いのだ。

そして、前面道路は建築基準法で認められたものでありながら、敷地延長(旗ざお状敷地)などの形状で接道部分の幅が2メートルに満たないものも再建築不可の土地である。土地を分けるときに、人が通れるくらいの最低限の幅しか取らなかったものであり、その実態は明らかでないが都市部にはかなりの数が存在するものと考えられる。

なお、建築基準法上の道路に接していなくても、敷地の周囲に公園など広い空地や水路、遊歩道があるなど、安全上(および防火上、衛生上)の支障がないと認められるときには、建築基準法第43条の「ただし書き」によって建築が認められる。この適用が明らかな場合には、不適合接道であっても再建築不可の土地とはならない。

再建築が認められない要因にはいくつかのパターンがある再建築が認められない要因にはいくつかのパターンがある

再建築不可の土地はいったいどれくらいあるのだろうか

再建築不可の土地はどれくらいあるのだろうか。残念ながらその調査データは存在しない。しかし、総務省による「住宅・土地統計調査」でその一端を垣間見ることができる。これは、おおむね5年ごとに実施されている全国調査だが、先ごろ発表された2013年調査分の速報集計では接道幅に関する部分がまとめられていないため、2008年調査によるデータを見てみよう。

「敷地が道路に接していない」住宅は全国で117万1,800戸、「幅員2メートル未満の道路に接している」住宅は230万4,700戸にのぼる。ただし、都市計画区域外の建築敷地には接道義務がないため、これらがすべて再建築不可の土地というわけではない。

一方で、東京都区部は全体が都市計画区域だが、集計対象となっている専用住宅および併用住宅417万7,700戸のうち、「敷地が道路に接していない」住宅は7万6,300戸(約1.8%)であり、これらはほぼすべてが再建築不可の土地だろう。さらに区部では「幅員2メートル未満の道路に接している」住宅が17万9,800戸(約4.3%)である。幅員2メートル未満でも、その一部は法42条2項道路として建築が認められているだろうが、大半は再建築不可の土地だと考えられる。

その他、全国の主要都市において「敷地が道路に接していない」住宅は、横浜市3万5,100戸、大阪市1万7,600戸、川崎市1万6,400戸、福岡市1万4,600戸、北九州市1万2,500戸、名古屋市1万2,100戸、神戸市1万1,800戸、広島市1万1,000戸、京都市1万600戸などとなっている。同様に「幅員2メートル未満の道路に接している」住宅も東京都区部が最も多く、次いで横浜市6万6,900戸、大阪市4万5,600戸、京都市3万3,900戸、川崎市2万8,000戸などが続く。

しかし、前面道路の幅は広くても接道間口が2メートル未満のために再建築不可となる敷地延長の土地などについては調査されておらず、その実態が分からない。あくまでも実務上の経験からみれば、無接道の土地よりも、敷地延長の幅が2mに足りない土地のほうがはるかに多いような印象を受ける。さらに、上記の「住宅・土地統計調査」による数値には、建築確認が受けられずに更地のままとなっている土地、あるいは住宅敷地以外の用途で使われている土地は含まれていないことにも留意しなければならない。

古い住宅地には、再建築が認められない通路に接するだけの敷地も多い古い住宅地には、再建築が認められない通路に接するだけの敷地も多い

不動産の流通を阻害する再建築不可の土地、解決策はあるのか

再建築不可の土地は大都市の中でも古くから形成された住宅地に多く、同時に「木造住宅密集地域」であることも少なくない。狭い通路を挟んで軒を寄せ合うように建っていたり、適切な避難路がなかったりして、火災や大規模災害のときに大きな危険性を伴うこともあるだろう。ところが「再建築不可」の言葉が示すとおり、これを建て直すことはできず、建築確認を伴うようなリフォームやリノベーションも難しい。耐震補強もできないまま老朽化していくばかりの住宅も多いのだ。

かつてのバブル期には、東京都区部の再建築不可の住宅が3千万円あるいは4千万円といった価格で売買されることもあり、金融機関もためらわずに融資をした。しかし、現在では区部の山手線内でも、数百万円で売り出された再建築不可の住宅に買い手が付かないケースもある。当然のことではあるが、その流通性は極めて低いと言わざるを得ないだろう。

さらに再建築不可の物件そのものの問題に留まらない。再建築不可の住宅は老朽化が進みやすいだけでなく、空き家になってそのまま放置されるケースも多いのだが、このような住宅が隣にあることで、本来は問題のない周囲の住宅が売りづらくなることもある。道路に接していない住宅に対する「囲繞地通行権」も、隣の住宅にとっては厄介な問題である。再建築不可の住宅が、まわりの住宅の適正価格による流通を阻害しているケースも多いのだ。

再建築不可の問題は、隣地と一体化することによって解消できるケースも多い。隣地所有者による買収、あるいは再建築不可の土地と隣地を一緒に買い取ることに対して、優遇措置や支援措置を設けるなど、その動きを促進するための取り組みも必要だろう。戦後一貫して続いてきた土地の細分化の流れを大きく転換させるものだが、人口減少が見込まれるこれからの時代はその好機なのかもしれない。

2014年 10月21日 11時06分