首都圏でその存在感を発揮するシェアハウス、関西での動向を探る

個人の個室を持ちながらリビングやキッチン、浴室、洗面所などを複数の入居者と共有するシェアハウス。近年、にわかに注目を集めはじめている住まいの新たな形だ。一緒に住む人を自分で探すルームシェアとは違い、今まで全く知らなかった住人同士が、共有スペースを通じてバラエティに富んだコミュニティを形成しているという。住居にはマンション、戸建て両方の形態があり、オーナーや管理会社は住まいのテーマや趣向をこらした居住空間を提供している。

首都圏では、多種多様なシェアハウスが登場しているが関西ではどうなのだろうか。大阪でシェアハウスをメインに取り扱う株式会社ALL不動産の吉澤さんに、関西と首都圏でのシェアハウスの市場の違いや関西の特徴などについて聞いてみた。

リアリティ番組「テラスハウス」の影響は?

みんなが集まる共用スペースで、ワイワイ賑やか!みんなが集まる共用スペースで、ワイワイ賑やか!

夢を目指す数人の男女がシェアハウスでの暮らしを通じ、お互いの世界観を分かち合う「テラスハウス」。住人の人生模様やその行方に多くの若者が注目し、人気を集めているリアリティ番組だ。首都圏では、その反響も大きくシェアハウスへの関心が高まっているというが、関西ではどうなのだろうか。そのままズバリ「テラスハウスによる反響はありました?」と吉澤さんに聞いてみた。すると「テラスハウスの放送で、興味や関心を持ってくれたお客様はいらっしゃいましたが正直、契約までに至った方は少ないですね。どちらかというとシェアハウスってどんな感じなのか見たいといった感覚で、番組を知らずに来られた方の方が契約率は高いですね。東京に比べると関西での認知度は、まだまだ低いと思います」とおしゃっていた。

そもそも市場にでているシェアハウスの数が少なく、根付いていないことを憂いていた。その理由のひとつに、オーナーさん自体がシェアハウスという住居形態をご存じないので、賃貸運営(不動産運用)の選択肢に入っていないことが大きいという。「関西にはシェアハウスにすれば、利益を上げられる物件がたくさんあるのに、もったいないことだと思います」と吉澤さんは言う。「もちろん、シェアハウスとして向き不向きな物件はありますが、こういった住居形態を知っていたら、オーナーさんは売却の検討や空室の目立つ物件の運営プランとしても有効に活用出来ると思う」と付け加えた。

シェアハウスの普及率には、関西人の気質が関係する?

関西で、どこまで広がる?シェアハウスという住居形態。関西で、どこまで広がる?シェアハウスという住居形態。

ALL不動産では、シェアハウスの入居希望者の方はもちろん、シェアハウス物件を増やすべく不動産をもつオーナーさんなどに、収益や運営方法などについても営業を行っている。そこで、見えてきたのはシェアハウスというものを周囲で見聞きしていないことで、しっかりとした賃貸運営のイメージができないことだという。「本当にその収益予想が実現するの?シェアハウスを希望する入居者はどれだけいるの?シェアハウスをはじめるのに、初期投資はどれぐらい?」という質問が出てくる。シェアハウスに限らず不動産運営となると、このような質問が出てくるのは当然だが、やはり慎重なオーナーさんが多く、半信半疑な心境や市場の様子をみて判断したいとの思いから、話しの進み方はかなり緩やかだという。

関西で生まれ育った筆者の個人的感想でいえば、関西人というのはノリや調子はいいが、いざとなると及び腰になる。いくら東京で流行っていても関西人に認知されていないものには、おいそれと手をださないものだ。しかも、現実主義でお金についてもかなりシビアだ。関西人にしてみれば、海の物とも山のものとも分からないシェアハウスに対し、予想される初期投資額を聞くだけで、眉間にシワを寄せるのではないだろうか。だが、周囲に認知され人気がでてきたころ、運営に乗り出しても遅いということは、容易に想像できる。

立ちはだかる銀行の壁

過ごしやすい空間に配慮して、家具も選ばれる過ごしやすい空間に配慮して、家具も選ばれる

ALL不動産では、シェアハウスの運営を前向きに検討してくださるオーナーさんに営業をしていることは先に述べた。オーナーの方にシェアハウスとなる物件を購入してもらい、内装工事などを行い運営するパターンをメインとしている。もちろん現在、所有している物件をシェアハウスにしたいというオーナーの方にも快く相談に応じている。

シェアハウスが関西で伸び悩む理由には、もうひとつ大きな理由があると吉澤さんは言う。所有している不動産をシェアハウスにしたい場合は、内装の改装費などで済むので銀行からの融資額が少ないため借入しやすいが、物件を購入して運営を始める場合においては、この融資がネックになることがあるという。オーナーさんとの話しがまとまり、シェアハウスにするための不動産の購入費や改装費、家電用品の準備などにかかる初期投資額が当然必要になる。キャッシュで用意できればいいが、それだけの金額を用意するのはなかなか難しい、そこで銀行からの融資を考えるのだが、その融資が通りにくいというのだ。そのわけは、関西でのシェアハウスの実績が市場に現れていないことで銀行も、すんなりと頷いてくれないのだとか。ALL不動産の実績で、満室で収益を上げているシェアハウスが多くあるにもかかわらず、銀行との交渉に時間がかかるのだ。そのため、資金的に体力のあるオーナーさん以外は検討しても話しが進みにくいという。普及していないから融資が通りにくい、融資が通りにくいから普及が進まない、というジレンマに、もどかしさを感じる現状が垣間見える。

シェアハウスをメインにした起業のキッカケとは

そもそも、ALL不動産がシェアハウスを始めるようになったキッカケは何だったのか。7年程前に東京で不動産の仕事をしていたというALL不動産代表の小手さん。その不動産会社では、通常の賃貸などを含めシェアハウスも扱っていたという。小手さん自身、オーストラリアへ留学していた経験があり、その当時留学先でもシェアハウスは主流だったことから、これからこの住居形態は伸びると確信。まだ大阪にシェアハウスがなかったこともあり、出身地の大阪に帰ってシェアハウスをやろう!と起業したのだそうだ。日本人はもちろん外国人も対象にした第1号シェアハウスは鶴橋だったという。現在はシェアハウスの棟数も増え、全16棟を管理している。そのほとんどは、外国人も対象だ。シェアハウスに加えソーシャルアパートメントも扱い、個性的でユニークな住居形態の幅を広げようと、個人事業主を対象としたシェアハウスも検討しているという。

国際色豊かなシェアハウスには、外国人とのコミュニケーションを目的とした日本人も多いようだが、実際の住み心地はどのようなものなのか。【国際色豊かなシェアハウス②】では、入居者同士の交流に焦点をおき、シェアハウスに入居する日本人と外国人の方へのインタビュー内容を紹介したい。

取材協力:株式会社ALL不動産
http://www.all-fudousan.com/

2014年 06月28日 12時55分