2014年2月末時点で765件の違法貸しルームが見つかる

国土交通省は2014年2月末時点で、10都府県にて765件の違法貸しルームが見つかったと発表した。前回調査の1月末時点より94件増えた結果だ。都府県別では東京都が638件で最多だった。
違法貸しルームとは、オフィスや倉庫として届出されているものの、実際は1~2畳程度の小スペースに仕切られ、居住用として貸し出されているシェアハウスのことだ。以前は脱法ハウスといわれていたが、国土交通省は違法貸しルームという名称で呼ぶことにしている。

同ルームは、建築基準法で定められている採光や換気のための窓がなく、消防法上などに必要な火災報知器や避難経路の確保などもされておらず、違法性が高い。さらに自治体によっては別の制限を設けている場合もあり、たとえば東京都では共同住宅の居室の面積は7m2以上と定められ、これに違反する物件も違法貸しルームと見なされる。

国土交通省はこのような区画された各部分を「居室」と見なし、建築基準法の規定を満たす必要があるとしている</br>(出典:国土交通省「違法貸しルーム対策に関する通知について」)国土交通省はこのような区画された各部分を「居室」と見なし、建築基準法の規定を満たす必要があるとしている
(出典:国土交通省「違法貸しルーム対策に関する通知について」)

借主の中心は20代・30代を中心とする低所得者層

なぜ、このような違法性の高い部屋が増加しているのか。それは貸す側としては、たとえば3LDKを丸ごと20万円で貸すより、10部屋に仕切って一部屋3万円、合計30万円とした方が利益が出るからだ。また、借りる方も礼金・敷金や保証人が不要であるうえに、都心に近い割に家賃が格安といったメリットがある。いくら貸す方も借りる側もメリットがあるとはいえ、違法が見逃される訳ではない。国土交通省は取り締まりを強化し、悪質な物件は閉鎖させる方向で動いている。

しかし、そこで締め出されるのは、借主となる20代・30代を中心とする低所得者層だ。彼らの多くは非正規雇用で収入が少ない上に、通常の賃貸物件を借りたくても保証人になってくれる人がいない。さらに、勤務先では交通費が支給されないので、都心部に住むしかない。まさに悪循環の中で生活をしているのだ。

このような現状では、ただ違法貸しルームの取り締まりを強化する対処療法だけでは問題の根本は解決しないはずだ。

空き家対策や公的支援策が解決の糸口では?

日本の空き家は年々増加傾向で、すでに700万戸を超えている(出典:総務省「平成20年度住宅・土地統計調査」)日本の空き家は年々増加傾向で、すでに700万戸を超えている(出典:総務省「平成20年度住宅・土地統計調査」)

上記のように住む場所を締め出される人がいる一方で、日本の住戸は余っている。総務省が5年ごとに行う住宅・土地統計調査によると、2008年の空き家数は757万戸で空き家率は13.1%と過去最高になっている。ちなみに1988年の空き家数は394万戸。20年で約2倍も増えているのだ。
このような使用されていない資産をなんとか利用できないものだろうか。
また、公的な低所得者層向けの支援策も必要だろう。たとえば東京都では「TOKYOチャレンジネット」という事業を行っている。これは直近6カ月以上都内で生活をし、現時点で住居がない人を対象に、就職と同時に住居の確保も支援するものだ。
具体的な支援の流れは以下のようになる。
1.寮付きの仕事などを紹介する
2.しばらく様子を見て仕事が続きそうなら、民間から借り上げた賃貸物件を3カ月間、1日500円で提供する(その間当事者は礼金・敷金を貯める)
3.3カ月間、貯めたお金が礼金・敷金に足りないなら都が無利子でお金を貸す

違法貸しルーム問題の解決は、このような資産の有効活用と、公的支援策を駆使することなども必要だろう。

2014年 03月29日 09時30分