「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025」は、家づくりの楽しさを改めて実感する内容

価格の高騰、人手不足、開発の行き詰まりなど、不動産、建築を巡ってはこのところ、あまり前向きではない話題が多かった2025年。だが、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2025の総合グランプリとなった「人間は、つくることをやめない」(合同会社つみき設計施工社)はその鬱屈した思いを吹き飛ばすような明るい作品だった。

材料となったのは1971年に生産が開始された日本初期の量産型鉄骨ユニット住宅セキスイハイムM1。それまでの大工、職人によって1棟ずつ造られていた住宅が工場で大量生産されるようになった先駆的な住宅である。2.4m×5.6mの箱型ユニットを工場で製造し、現場でクレーンで設置・連結して作る家はその後、日本全国で1万8000棟以上建設された。

施主は20年前に洗練された造形に一目惚れして中古で購入。以降、自宅でアート教室を主宰、多世代の人たちが集まる場となってきたが、LDKが手狭、客人に背を見せざるを得ないキッチンその他使いにくさも。加えて雨漏りや水回り設備の老朽化、断熱不足などもあり、そうした点の改善のためにリノベーションに踏み切ったのだが、注目されたのはその手法。

外観までかわいくなっており、見た途端、内部はどうなっているだろうと思ってしまう外観までかわいくなっており、見た途端、内部はどうなっているだろうと思ってしまう
外観までかわいくなっており、見た途端、内部はどうなっているだろうと思ってしまう久しぶりにここまでカラフルな室内を見た気がする。合同会社つみき設計施工社は初参加で総合グランプリを受賞
住んできた歴史があちこちに残された室内住んできた歴史があちこちに残された室内

雨漏りを直す、断熱を付加するなど住居の性能を整える部分や⼿狭な間取りを、壁を抜きユニットを繋ぐことで大空間に変えるなどといったところまでは職⼈の⼿で改修。以降の内装解体や研磨、塗装や造作、塀や樹⽊の撤去までの膨⼤な⼯程は施主の家族と100⼈以上の仲間が担ったというのだ。

その結果、できあがった家は快適で使いやすくなっただけでなく、住み続けてきた記憶と新しく加えられたカラフルな彩りが見る人を思わず笑顔にするような楽しいもの。人の手をできるだけ介さないように省力化して開発された住宅が多くの人の手と時間によってそれまでとは全く違う空間に蘇ったのである。

工業化住宅の誕生は不足していた住宅を供給、住宅の品質の底上げに繋がったものの、一方で住宅を家電同様に工業製品と見なす考えを広めたように思う。住宅が手を入れにくい、手を入れてはいけないものにされがちな今、工業生産住宅を自らの手で作り替えた作品はモノだけでなく、人の考えもリノベーションしたのではないかと思う。私たちは自分たちの手で変えたいものを変えられるのだと。

選考委員長の島原万丈さんは講評で2013~2016年頃に盛り上がり、現時点ではいささか低迷にしている感のあるDIYがこの作品をきっかけに復権することを期待すると述べていたが、そこにも深く同意。手を動かすことで見えてくるものは多い。

外観までかわいくなっており、見た途端、内部はどうなっているだろうと思ってしまう工場で作られた住宅が多くの人達の手によって再生された

オンリーワンの空間、好きな空間、今を楽しむ空間の事例

続いてもワクワクする受賞作品を紹介していこう。
まずはタイトそのものが独自性を感じさせるオンリーワンクリエイティブ・リノベーション賞を受賞した「異彩と異才」(株式会社grooveagent)。部屋は四角いもの、家具は直線で構成されているものという考えを写真一枚で打ち砕くような事例で、四角い部屋を斜めの線で空間を分けるやり方には「その手があったか!」と感心させられた。

従前の部屋は写真で見ると押入れに畳という典型的な昔のマンション。そこにビフォーとアフターの大きな落差を生んだのは漫画家である施主の「インテリアを楽しむための空間」というオーダー。作品紹介文では「挑戦状」と評されていたが、こうした挑戦を楽しむ施主が続々登場してくることを期待したいものである。

間取り図を見ると改装の大胆さが分かる。斜めに線を引いて部屋を仕切っているのである間取り図を見ると改装の大胆さが分かる。斜めに線を引いて部屋を仕切っているのである
間取り図を見ると改装の大胆さが分かる。斜めに線を引いて部屋を仕切っているのである大胆な間取りにカラフルな家具が配され、他にない世界に

タイトルに「?」、写真に「?」、間取り図と写真に「?」と改修内容を理解するまでに時間がかかったのが弓の協奏リノベーション賞を受賞した「となりあう囲い」(株式会社シンプルハウス)。そもそも、弓の協奏という言葉自体が謎だったのだが、これは夫婦の趣味である弓道(!)とバイオリン演奏をもじったもの。

マンションの1室に弓道、バイオリン演奏の練習ができる空間をつくり、さらに寝室は夫婦で別々、ワークスペースに和室、もちろん、DKや水回りもあるというのだが、どうやったらそれだけの機能を79m2に入れ込めるのか。しかも、かかった費用は960万円(税込)。

何度も読み直し、図面と写真を突き合わせて室内の状況はようやく理解したものの、これを実現した設計者の頭の中はいまだに理解できない。よくここまで入れ込んで、かつ狭さを感じず、動きやすくできるものである。好きなものを追求し続けた施主もすごいが、それを形にした設計者はその上を行っている。

リノベーション・オブ・ザ・イヤーの投票者にはあまり子どもはいないと思うが、子どもだったら絶対に投票していただろうと思うのが、今を遊ぶリノベーション賞を受賞した「心、躍るいえ。~退屈を、リノベーションする~」(株式会社sumarch)。

リビングに雲梯があり、はしごがあり、隠れ家っぽいロフトがあり、覗き窓がありと子どもがわくわくするアイテムが満載で、これなら家が一番の遊び場になる。そしてこの家がさらにすごいのはそうした子どもの空間の奥に大人の空間も作られていること。こんなに快適だったら外に出なくなってしまうのではないか、変な心配をしてしまう。

間取り図を見ると改装の大胆さが分かる。斜めに線を引いて部屋を仕切っているのである「となりあう囲い」の間取り図と室内写真。複雑に空間を仕切っているようにみえるが全部が仕切られているわけではない
間取り図を見ると改装の大胆さが分かる。斜めに線を引いて部屋を仕切っているのである「心、躍るいえ。~退屈を、リノベーションする~」のリビング。子どもにとってはリビングは楽しい遊び場に

既存住宅の可能性や団地の可能性を大きく広げる作品も

グランプリ作品が工業化住宅のリノベーションだったのは冒頭に紹介した通りだったが、今回はもう一事例、工業化住宅を改修した作品があった。1500万円以上部門で最優秀賞を受賞した「ガリバーを解き放て!」(リノクラフト株式会社)である。

大手ハウスメーカーによる「型式適合認定」の住宅は、構造計算に必要な資料が非公開とされており、それがリノベーションを阻む障壁とされてきた。しかも、こうした住宅は全国におおよそ250万戸もあるのだとか。それらが改修できるようになれば既存住宅の可能性は大きく広がる。

この作品では既存の外壁を新たな外装材で覆うカバー工法などを使って、大手住宅会社が建てた築40年近い住宅を再生させた。断熱性能もプラス、快適な現代の家となった。全国にある同種の工業化住宅のこれからにとっては希望となる事例といえるだろう。

「ガリバーを解き放て!」のエントリー写真。非常に可能性を感じる面白い事例なのだが、写真で表現しようと考えるとなかなかに難しい「ガリバーを解き放て!」のエントリー写真。非常に可能性を感じる面白い事例なのだが、写真で表現しようと考えるとなかなかに難しい

過去に多く作られ、今では微妙に現代に合わない、取り残された存在となっているという意味では団地も工業化住宅に近いところがある。それをどう今の暮らしに合わせて使いこなしていくかは当該団地だけでなく、広く社会の課題のひとつだろうと思うが、それにひとつの解を与えたのが800万円未満部門で最優秀賞を受賞した「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」(株式会社フロッグハウス)。

500万円という限定的な予算をどう使って空室の目立つ賃貸市営住宅を変えていくかがこの作品のミッション。快適な暮らしを実現するためには見た目だけではない手の入れ方が必要だが、それだけでは選んでもらいにくい。それを予算内でどう塩梅するか。そこに団地リノベーションの経験豊富な事業者の力が生きた。対面キッチンの新設と窓断熱、換気計画に注力してのリノベーションは人気を呼んでおり、問合せも多いのだとか。世には空室が続く、増加する団地もある。そこにこうした知恵が伝わることを祈りたい。

断熱性能がこれからの家づくりで重要であることは誰しも認識していると思うが、実際問題として新しい基準に適合させるのが難しい古い住宅が少なくないことも事実。それをどうするかを考えた結果が快適ゾーン断熱リノベーション賞を受賞した「『棲み分け断熱』という、暮らし方」(paak design株式会社)。家全体を断熱するとなると費用が多額に及ぶが、自分たちにとっての快適さを考えて選択できるようにすれば古い家+断熱という選択がもっと広がるように思う。

「ガリバーを解き放て!」のエントリー写真。非常に可能性を感じる面白い事例なのだが、写真で表現しようと考えるとなかなかに難しい「市営住宅のあり方を、団地の経験値で解く」で改修された箇所。断熱性能を高め、水回り、リビングを使いやすく、と限られた予算を効果的に活用
「ガリバーを解き放て!」のエントリー写真。非常に可能性を感じる面白い事例なのだが、写真で表現しようと考えるとなかなかに難しい「『棲み分け断熱』という、暮らし方」で左側のリビングは断熱、右側の和室は断熱せずと利用方法、使う時間などで施工部分を限定した

月見台住宅をまるまるリノベーション、新しい命を吹き込む

プロジェクトスタート前の団地の様子プロジェクトスタート前の団地の様子

団地では住戸を再生するだけでなく、団地そのものを面として再生するというダイナミックな作品も登場した。無差別級部門で最優秀賞を受賞した「未踏の集落リノベーション、月見台住宅」(株式会社エンジョイワークス)だ。

これは2020年に廃止された横須賀市の旧市営田浦月見台住宅を「なりわい居住のまち」として再生するというプロジェクトで2023年に始動している。同住宅は最寄駅から徒歩約10分、険しい坂の先にある築65年以上の平屋公営住宅群。それが面として再生できるなら全国あちこちに点在する老朽化した、立地の悪い公営住宅群にもチャンスはあることになる。

坂の上という立地の難に加えて、このエリアは第一種低層住居専用地域という住環境を最優先するエリア。住宅としてだけで再生するには難しいところもある。そこで提案されたのが「なりわい」という、暮らすにとどまらない機能。それを実現させるために使われたのが不動産投資型クラウドファンディングである。株式会社エンジョイワークスが運営する地域活性化の共感ファンドを通じて367組の投資家が参加した。

プロジェクトスタート前の団地の様子上空から見た月見台団地。高台に位置している
ここで何かしたいと言う人が想像以上に集まったここで何かしたいと言う人が想像以上に集まった

「単なる利回り追求の投資ではなく、まちづくりにコミットできる点、投資家自身もDIY参加できる点が評価され、結果としてクラフト系の工房、カフェ、発酵食品、B&Bなどの小商いが続々誕生。それぞれはインスタフォロワー数百人程度だが、店舗数が集まり、それぞれが発信し始めると、それは大きなうねりに。「チャレンジの連鎖」が回っているのだ」
とは選考委員の言葉。

投資家のコミットしたい、DIYしたいという思いが地域を大きく変えているわけで、地域を変えるのは大きな主体でなくても可能ということを教えてくれる。近年、従来型の開発に批判の声があるが、そのあたりを打破していくやり方としてこのような個々の声、共感を集めるという動きに可能性を感じる。加えてグランプリになった作品と同じDIYという言葉も再度出てきた。DIYの波の再来、あるかもしれない。

また、審査員は講評でこの作品には先輩的な存在があるとして、福岡市にある民間の集合住宅として初の登録有形文化財になった冷泉荘を挙げた。冷泉荘の改修が始まったのが25年ほど前のこと。それが四半世紀後、遠く離れた神奈川県の丘の上の団地に影響を与えているかと思うとじんときた。誰かの行動は次に続く人に影響を与え、確実に社会を変えていくのだ。

プロジェクトスタート前の団地の様子DIYなども経て賑わいを取り戻しつつある月見台団地

買取再販、賃貸住宅に「らしくない」リノベーション

個人的には世の中に多い田の字間取りをひそかに社会課題のひとつではないかと思っている。
リノベーション・オブ・ザ・イヤーではこの何年か、そうした間取りを大胆に変えた作品が出てきており、2025年の場合は「わたしのための、パブリックスペース」(株式会社コスモスイニシア)が1500万円未満部門の最優秀賞を受賞した。

これは1969年築、都心のヴィンテージマンションの1室をまるでマンションではないかのように大胆に改装した買取再販物件。玄関、廊下を広げ、窓側に大きな空間が作ったことで入った瞬間から明るさ、伸びやかさを感じるようになっているのが特徴。バルコニーの代わりに大きな窓があるという建物のつくりが上手に生かされており、さらにその下には国有地の緑。立地も取り込んで既存のマイナスを大きくプラスに変えた手腕は高く評価され、もうひとつ、プレイヤーズチョイス賞も受賞している。

間取りの妙もさることながら、古材の雪見障子や上質さを醸し出す木材の使い方なども一味違うところ。近年増加している買取再販物件だが、こうした物件が主流になってほしいものである。

「わたしのための、パブリックスペース」の間取り図。玄関、廊下を広げ、リビングに繋げることで室内はぐんと明るくなった「わたしのための、パブリックスペース」の間取り図。玄関、廊下を広げ、リビングに繋げることで室内はぐんと明るくなった
「わたしのための、パブリックスペース」の間取り図。玄関、廊下を広げ、リビングに繋げることで室内はぐんと明るくなった田の字型のよくある間取りを改修、窓からの借景を活かし、魅力的な部屋に

田の字間取りをセンス良く改修した作品としてはオートクチュール・トラジション賞を受賞した「『衣』の美で、『住』の美を仕立てる」(G-FLAT株式会社)もある。住宅を衣類に見立てて考えると何が生まれるか。思考実験としても面白いかもしれない。

もうひとつ、らしくない作品としては新スタンダード提案リノベーション賞を受賞した「ふつうの賃貸」(株式会社NENGO)を挙げたい。選考委員の斉藤アリスさんはこの事例をパット見た時に「丁寧な暮らしをしている、センスのいい人のフルリノベーション事例だなぁ」と思ったとか。「リノベ済みの賃貸物件と、フルオーダーのリノベ物件。そこには埋められない大きな差があって、並べるとどうしても分かってしまうもの。だと思っていましたが、この事例には完全に一本取られました(笑)」。こんな賃貸、待ってました!と思った人も多いのではないだろうか。

「わたしのための、パブリックスペース」の間取り図。玄関、廊下を広げ、リビングに繋げることで室内はぐんと明るくなった「『衣』の美で、『住』の美を仕立てる」。細かいところにまで神経の行き届いたリノベーションだった
「わたしのための、パブリックスペース」の間取り図。玄関、廊下を広げ、リビングに繋げることで室内はぐんと明るくなった選考委員が賃貸らしからぬと評したのがよく分かる、大胆な間取り変更が行われている「ふつうの賃貸」

一戸建ての新しい施主層としてシングル女性が台頭?

一戸建てを買う層としてはファミリーが想定されることが多いと思うが、実際にはシングルも増えていると聞く。それを実感したのは今回、シングル女性が一戸建てを購入、施主になっている作品が2作品、受賞していることから。

ひとつはシングル+1ハウス・リノベーション賞を受賞した「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」(株式会社しわく堂)で新築建売住宅を購入、それを猫と暮らすためにリノベーションしたというもの。

改修内容を見ると小上がりならぬ小下がりが作られていたり、猫との暮らしのためにキャットウォークやステップを造作、階段下はキャットベースに改造されていたり、猫トイレ上には換気扇を設置と飼い主(猫?)の気持ちを見事に具現化。こうした細かい好みに住まいを調整していく作業はやはりリノベーションならではである。結果、当初は1匹だった猫が引っ越し時には3匹に増えていたとか。人も猫も快適に暮らせる住まいの効用だろう。

新築住宅をリノベーション、自分らしく猫と暮らす住まいに。細かい部分の使い勝手がよく考えられている「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」新築住宅をリノベーション、自分らしく猫と暮らす住まいに。細かい部分の使い勝手がよく考えられている「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」
新築住宅をリノベーション、自分らしく猫と暮らす住まいに。細かい部分の使い勝手がよく考えられている「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」コロナ禍以降動物と暮らすリノベーションが増えている印象があるが、今後はもっと一般的になってくるのかもしれない

もうひとつはシングルマキシマム・リノベーション賞を受賞した、空き家になっていた一戸建てを購入、多忙な毎日を快適に暮らせるようにと1階を大きなワンルームとして改装した作品、「地方空き家、これからのかたち」(株式会社アルフレッシュ)。階段下を利用したコンパクトながら居心地良さそうな小上がりのヌックの写真が目を惹いた作品である。

作品の紹介文で事業者である株式会社アルフレッシュは「単身世帯×空き家活用がこれからの地方戸建てリノベの新たなスタンダードになるのではないかと思う」と書いており、空き家問題の観点からもこの言葉の実現を望みたいところ。それが「地方だから実現できる自由で豊かな選択ではないか」という言葉もあり、都心の狭いマンション暮らしに飽き飽きしているという人なら地方に目を向けてみる手もあるかもしれない。

買取再販に安さを期待する人も少なくない中、そうではない新しい層を想定、費用を掛けた作品もあった。それがアップサイクル&アタッチメント・リノベーション賞を受賞した「時をかける部屋」(株式会社リビタ)。

既存の造作家具を破棄せず活用、家具製作で生まれる端材や木粉をアップサイクルして壁面のアート、扉の取っ手、左官材として取り込むなどの手間がかけられており、それが愛着に繋がると選考委員の池本さん。再利用は手間やコストを増やすものでもあるが、リノベーションの社会的な意義のひとつは長く使い続けること。その意味でもこの作品は意義深いものだと思う。

新築住宅をリノベーション、自分らしく猫と暮らす住まいに。細かい部分の使い勝手がよく考えられている「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」中古住宅の1階を大きなワンルームに改装。階段下には居心地の良さそうなコンパクトスペースにした「四方空き家、これからのかたち」。こうした使い方が増えることを期待したい
新築住宅をリノベーション、自分らしく猫と暮らす住まいに。細かい部分の使い勝手がよく考えられている「猫と私の『Purrfect Meow-zy』」「時をかける部屋」では古い材などを上手に利用、質感、ニュアンスのある空間に

リノベーションの新しい流れ、取組み、技術を感じさせる作品も多数

最後に新味を感じる作品をまとめてご紹介しよう。ひとつ目はその名も未来プレゼンテーション賞を受賞した「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」(株式会社はぴりの)。子どもの成長に合わせて家をどう使っていくかを具体的にイラストで提案した作品で、リアリティを持って家族の将来を考えられるのが大きな特徴。納得感があった。

人手不足、建築費高騰の時代に合わせてコストを抑え、スマートコストダウン・リノベーション賞を受賞した「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーム」(株式会社はぴりの)も今という時代ならではの作品。プロの技をコストダウンに生かしており、このジャンルは今後も進展しそうである。

人手不足対策としても役立つ工場、オフィスの改装作品もこれからは増えそうである。今回ワークエンゲージメント・リノベーション賞を受賞した「ワークエンゲージメントと採用を変えた工場オフィスの大転換」(株式会社シンプルハウス)は昭和の事務所を改装したもので、会社見学に訪れた学生が目を輝かせるという。場は人に作用するのだ。

上は「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」で提案された将来の使い方。現在だけでなく、住まいの将来も販売したといえそう/「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーではコストを抑えて、でも人気のアイテムを組み合わせてリノベーション上は「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」で提案された将来の使い方。現在だけでなく、住まいの将来も販売したといえそう/「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーではコストを抑えて、でも人気のアイテムを組み合わせてリノベーション
上は「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」で提案された将来の使い方。現在だけでなく、住まいの将来も販売したといえそう/「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーではコストを抑えて、でも人気のアイテムを組み合わせてリノベーション住宅、オフィスに比べるとまだまだ遅れていた工場が絡むリノベーションだが、今後は増えてくるのではなかろうか。「ワークエンゲージメントと採用を変えた工場オフィスの大転換」でオフィスに生まれた魅力的な空間

名建築を保存、活用という事例も増えてきた昨今。ヴィンテージアップデート・リノベーション賞を受賞した「健康な建築」(株式会社NENGO)の舞台となったのは建築家・内井昭蔵氏のモダニズム建築の傑作「桜台コートビレジ」。元々の魅力を活かし、今の生活に合わせてスマートハウス化、間仕切り壁を撤去するなどの改修を行っている。室内にはたっぷりの植栽が取り込まれており、それが大きな魅力でもある。

最近、よく聞くようになってきた単語のひとつにサーキュラーエコノミーがある。
昨年のグランプリがそれを意識したものであったことから、今後は増えるのではないかと予測していたが、やはり、そうした作品「賃貸ビジネスにおけるサーキュラーエコノミーへの取り組み」(株式会社アトリウム)が登場、サーキュラー賃貸リノベーション賞を受賞した。デッドストックやメーカーアウトレットなどを最大限活用して改修を行っており、2週間で借主が決まったという。

最後はオープンアクティビティ・リノベーション賞を受賞した「センシュアスな街づくり~こころをうたう~」(株式会社エコラ)。約600年の歴史をもち、安倍首相とプーチン大統領による日露首脳会談が行われた山口県の長門湯本温泉の老舗旅館「六角堂」を改修したものだ。選考委員は「既存建築・インフラを尊び、不足を補い、魅力を創造する」というリノベーション街づくりの原点を想起させてくれる作品」と評している。これは感想を述べているより行ってみたほうが良いということらしい。読者の皆さんも機会があれば、この物件に限らず、見られる物件はぜひ一見を。

ところで、これまでリノベーション・オブ・ザ・イヤーのエントリーはリノベーション協議会の会員に限定されていたが、来年からはそのあたりの要件が変更になるとのこと。詳細はまだこれからだが、窓口が広がることで一層の盛況となることを期待したい。

上は「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」で提案された将来の使い方。現在だけでなく、住まいの将来も販売したといえそう/「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーではコストを抑えて、でも人気のアイテムを組み合わせてリノベーション「健康な建築」ではヴィンテージマンションを現在の住まいに。緑の使い方が印象的
上は「4D設計で実現した『子どもと成長する家』」で提案された将来の使い方。現在だけでなく、住まいの将来も販売したといえそう/「工種を絞って、人気エリアに総額2,000万円でマイホーではコストを抑えて、でも人気のアイテムを組み合わせてリノベーション「センシュアスな街づくり~こころをうたう~」は歴史ある温泉街の建物のリノベーションで地域も変えるという事例