温室効果ガスの排出量削減に向けた、先進的窓リノベ2025事業
昨今、国際的に温室効果ガス排出量の大幅な削減が求められている。日本では、2050年のカーボンニュートラルの実現を目標として掲げた。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から森林管理などによる吸収量を差し引いて実質ゼロにすることだ。この目標を達成するには、2030年度の家庭部門の温室効果ガス排出量を2013年度比で66%削減する必要があるとされている。
では、現状はどうだろう。全国地球温暖化防止活動推進センターの資料を確認すると、2013年度から2022年度の温室効果ガス排出量の削減率は19.3%だ。9年間でおよそ20%。あと8年で66%削減を達成するのは、かなりハードルが高いといえるだろう。
家庭部門の温室効果ガス排出量の削減には、住宅の省エネ化が必要不可欠だ。これには窓など開口部の断熱性能を向上させることがもっとも有効といわれている。一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会の資料によると、冬の暖房時に熱が流出する割合は外壁が15%に対して開口部は58%、夏の冷房時に熱が入る割合は外壁が7%に対して開口部は73%だ。
このような背景から政府はさまざまな施策を講じている。そのひとつが2024年度に引き続き実施することが決定した先進的窓リノベ2025事業だ。昨年から若干だが変更された部分もあるので、それらも含めて解説しよう。
先進的窓リノベ2025事業の概要
先進的窓リノベ2025事業の目的は、既存住宅の省エネ化によって光熱費の軽減と快適性の向上、2030年度の家庭部門の温室効果ガス排出量66%削減、さらに住宅分野のGXを加速させることなどだ。GXとは、「グリーントランスフォーメーション」のことで、化石エネルギーからクリーンエネルギーへの転換を推進する取り組みをいう。
先進的窓リノベ2025事業のおもな内容は次のようになっている。
補助対象の工事
住宅の所有者や集合住宅の管理組合等が、事前に登録を受けたリフォーム事業者に発注する断熱窓への改修(リフォーム)工事。
補助対象の窓とその性能
事前にメーカーが事務局へ申請し、一定の性能を満たすことを認められた窓。一定の性能とは、熱貫流率(U値)Uw1.9以下だ。この数字が小さいほど断熱性能が高いことになる。
補助対象期間
2024年11月22日以降に着手し、2025年12月31日までに完了する工事。ただし、別途定める期間内に交付申請が可能なものに限る。
交付申請期間
2025年3月下旬から遅くても2025年12月31日(予算の執行状況による)
補助額
5~200万円/戸
補助額は対象となるリフォーム工事の「補助単価×施工箇所数」の合計になる。補助単価は、住宅のタイプごとに窓の熱貫流率(U値)、大きさの区分、工事の方法によって下の図のように設定されている。窓の大きさ区分について2024年度は「大・中・小・極小」の4つだったが、2025年度は「極小」がなくなり3つになっている。なお、工事の方法については後述する。
申請するのはリフォーム事業者
申請方法
申請方法は2024年度と同じだ。先進的窓リノベ2025事業を利用するリフォーム事業者は、事前に「補助事業者」として登録を受ける必要がある。そして住宅所有者等からの発注を受けて補助金を申請し、工事完了後に補助金を受け取る。つまり、住宅所有者等は手続きをすべて任せておけばいい。ここで注意しなければならないのは、補助金が交付されるのはリフォーム事業者ということだ。そのため、あらかじめリフォーム事業者との間で補助金の還元方法を決めておく必要がある。考えられる還元方法は、「補助事業に係る契約代金に充当する」「現金で支払う」の2種類だ。
補助対象となる4つの工事
補助対象となる工事は、以下の4つだ。なお、2024年度はドア交換も対象となっていたが、こちらに関しては2025年1月現在で未定となっている。
ガラス交換
既存窓のガラスのみを取り外し、既存サッシをそのまま利用して複層ガラス等に交換する工事。
内窓設置
既存窓の内側に新たな窓(内窓)を新設する工事、または既存の内窓を取り除いて新たな内窓に交換する工事。ただし、外皮(外側)部分に位置する既存窓の開口面から屋内側へ50cm以内で平行に設置するものに限る。
外窓交換(カバー工法)
「外窓」とは、住宅の外皮(外側)部分の開口部に設置する建具のうち、屋外から施錠できないもの。「カバー工法」とは、既存窓のガラスを取り外して既存窓枠の上から新たな窓枠を覆い被せて複層ガラス等に交換する工事。
外窓交換(はつり工法)
「はつり工法」とは、既存の窓ガラスと窓枠を取り外して新たな窓枠を取り付け、複層ガラス等に交換する工事。
どの補助制度と併用できるのかリフォーム事業者に相談を
先進的窓リノベ2025事業と補助対象が重なる国のほかの制度については、原則として併用はできない。だが、地方自治体の補助制度については、国費が入っていない限り併用可能だ。省エネリフォームを検討するなら、どの補助制度を利用できるのかリフォーム事業者に相談してみることをおすすめする。
公開日:
LIFULL HOME'Sで
住まいの情報を探す
層ガラス採用(二重サッシ・防犯サッシ等)の新築一戸建てを探す
太陽光発電設置のマンションを探す
長期優良住宅認定の新築一戸建てを探す
【無料】住まいの窓口に相談








