コロナ禍、部屋に対する不満も増える?
昨年より続くコロナ禍により、在宅ワークも一般化してきている。
働き方が変化し、家族の在宅時間が増えることで、住まい、日々過ごす部屋に対しての不満や不便さを感じる方も多くいるようだ。
生活関連の出張・訪問サービスに特化したインターネット商店街「くらしのマーケット」では、具体的にどのような不満があるのか、どのように改善しているのかを調査。調査で見えてきた興味深いデータを紹介する。
在宅時間が長くなると家に対する不満も高まる
まず、現在、住んでいる家に対する不満の有無に関しての質問に対して、全体の56.4%が「不満がある」と回答、「不満はない」を20ポイント近く上回っている。日々暮らしている中では、通常、ある程度の不満や使いづらさはあるものだが、コロナ禍、ライフスタイルに変化のある場合とない場合では違いがみられるのだろうか。
「在宅時間が長くなった人」と「短くなった、もしくは変わらない人」のそれぞれの回答をみてみると、「家にいる時間が短くなった/変わらない」人の場合、自宅への不満が「ある」と答えた人は49.0%。一方、「家にいる時間が長くなった」と答えた人の場合は、10ポイント以上高い60.5%という結果に。在宅時間が増えることで、自宅への不満が増加傾向にあるということがわかる。
家で過ごす時間が長くなり、また、今までとは異なる時間帯にわが家で過ごすことで、今まで気がつかなかった不満や使いづらさを感じるようになった、ということもあるだろう。また、家を建てたり、引越す際にイメージしていたライフスタイルに変化が生じたことで、予想外のストレスを感じる部分が出てきたケースも多いかもしれない。
住宅の悩み・不満な部分は「収納」「汚れ」「間取り」「古さ」
現在の住まいに対して、具体的にはどのような悩みや不満を持っているのだろうか。トップは「収納スペース(42.7%)」。次に「汚れ(37.9%)」、「間取り(35.2%)」。「古さ」や「広さ」などが続いている。
具体的なコメントから読み取れるのは、「収納スペース」や「汚れ」に関しては、今回のコロナ禍において発生した不満というよりも、もともと感じていた不満や不便さが、在宅時間の増加によってより一層顕著になってきた、ということ。
一方、「間取り」や「防音性」「日当たり」などへの不満に関しては、平日の昼間の在宅時間が長くなることで、不満として顕在化したケースもあるようだ。間取りプランへの不満では、仕事をする部屋(スペース)がない、リビングやダイニングで仕事をすると家族の居場所に困る、仕事とプライベートの区切りがつきにくい、などという声もよく聞く。また、音に関しても大きな問題となっており、前面道路の騒音や近隣の生活音など外部からの音だけでなく、テレビ音や家事の作業音など、自宅内の音も在宅ワークでは気になるところだろう。
「引越し」23.6%、「リフォーム」33.9%の人が予定あり
自宅に不満がある人に、引越しまたはリフォームについての考えを聞いたところ、「引越し」は23.6%、「リフォーム」は33.9%の人が予定あり、あるいは検討していると回答。リフォームでは、「決まってはいないが検討している」の割合も高く、工事の規模はさまざまだろうが、何かしら不満を解消したいと考えている、ということだろう。
コロナ禍、本格的なリフォームではなく、DIYも注目されており、家族で楽しみながらわが家に手を入れるケースも増えてきている。手軽に挑戦できる塗料や建材、組立家具なども充実、わが家ならではのオリジナルの空間を実現することも可能だ。今後のライフスタイルに変化があるか、在宅勤務などが定着するのか、が読めない中、まず自分でできる範囲で、身近な問題から改善しようと考える人も多いのではないだろうか。
ひとりで、家族で、リビングではゆっくりくつろぎたい
では、家で過ごす時間のうち、改善したいと思うのはどのような時間なのだろうか。最も多かったのは「リビングでくつろぐ時間(30.6%)」、次いで「就寝時間(20.0%)」となっている。
家で仕事をするという暮らしの中では、仕事から離れた時のプライベートな時間、リビングでゆったりする時間、家族でのんびりする時間をより居心地よくしたい、という要望が強くなっているのもうなずける。また、家の中でも緊張感を持たなければならない生活のため、充実した睡眠の必要性も理解できる。家にいる時間が長くなれば、より家の中でのくつろぎややすらぎが重視されるのかもしれない。
3位の「料理・家事をする時間」については、男性は全体の8.5%しか選択しなかった一方で、女性は25.6%もの人が選んでおり、男女で大きく差がでている。これは、在宅時間増加の影響で家事の負担が増した女性が多いことがうかがえる。
家での時間を快適にするために買った(買いたい)のはソファー
リフォームや転居までは難しいものの、家での時間をより快適にするために、家具や家電などを購入する人も多いようだ。
在宅時間を改善するために買った/買いたいと思っているものは、トップは「ソファー(20.3%)」。次いで「収納グッズ(18.3%)」「寝具(15.7%)」と続く。また、「調理家電(12.5%)」や「食洗機(6.7%)」といった家事を助ける商品も挙がっている。
コメントからも、「収納グッズを購入し、整理整頓をしてリビングをくつろぎやすくしたい」「外食が減り、休日に自宅で食事するのが増えた。日頃作らない料理にチャレンジするため調理家電を色々試したい」といった声が聞かれ、より家での時間を充実させたいと願う人が多いことがわかる。
改めて家での時間の過ごし方を見直す機会に
「在宅勤務になって部屋のあちこちが気になるようになってきた。自宅にいるからこそオンオフをちゃんと分けたいのでゆったりリラックスできる椅子またはソファが欲しい」「お茶する時間を充実させるためにお気に入りの椅子とテーブルを揃えてみたい」というように、家での時間が長くなることで、いままでに比べて気になる点も増え、より心地よく、使いやすくしたい、と望む人は増えていくだろう。ライフスタイルの変化が家での時間の過ごし方を見直す機会になっているのかもしれない。
新築やリフォームの提案にも、在宅ワークのしやすい空間づくりや家族の時間を楽しむ場を設けた間取り、玄関まわりに手洗い場を設けたり、換気を重視した住まいなど、これからの暮らしを見据えたプランもみられるようになっている。また、くつろぎを重視したシステムバスやゆったりとした時間を演出する照明器具、座り心地のよいソファや家族で楽しみながら料理ができる家電製品など、家での時間を豊かにする住宅設備機器やインテリアも充実してきている。限られた条件の中、たとえば、ある程度フレキシブルな使い方ができる空間をプランニングしたり、長い時間使用する家具、家族のコミュニケーションに役立つアイテムにこだわるのもいいだろう。
まだまだ先の見えない中、家づくりを検討しているのであれば、日々の暮らしの中で重視したい要素を明確にすることはもちろん、家での時間の過ごし方、求める心地よさなどを改めて家族でじっくり考えてみてはいかがだろうか。
出典 「くらしのマーケット」調べ
【調査概要】 調査タイトル:「部屋づくり」に関するアンケート調査/調査対象:「くらしのマーケット」会員585名/調査期間:2021年3月4日~3月10日/調査方法:インターネット調査/調査主体:みんなのマーケット株式会社
公開日:






