快適で美しいまちづくりの拠点となり得る都市公園
「子育て世代に必須の公共施設は?」と聞かれて、公園を挙げる人は多いはずだ。また、子育てをしていなくても仲間と運動をしたり、野外で一人の時間を楽しみたいときなどに公園は最適なインフラといえるだろう。
国土交通省の「都市公園利用実態調査」(2014年度・アンケート票数4万351)によると、公園に期待する役割ベスト5は以下のようになっている。
1位:快適で美しいまちづくりの拠点
2位:運動、スポーツ、健康づくりの場
3位:子どもの遊び空間
4位:自然や生きものとのふれあいの場
5位:やすらぎやくつろぎの場
一方で日本は、人口の減少や働き方の多様化などによって、都市の新たな魅力の創出と活力の維持が重要課題となっている。そこで官民が一体となって「居心地が良く歩きたくなる」街づくりを目的として今年(2020年)、都市再生特別措置法が改正された。そのなかで設けられた「都市公園リノベーション協定制度」によって公園利用者の利便性向上や「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの形成が期待されている。
長期的な公園内の飲食店経営などを可能にする制度
都市公園リノベーション協定制度は、市町村が定める「まちなかウォーカブル区域」で利用できる特例制度だ。市町村営だけでなく県営公園でも利用できる。ただし、既存の都市公園の改修や増設が対象のため、新設には適用されない。
まちなかウォーカブル区域とは、人々の滞在や交流を促進するために歩道の幅を拡大したり、都市公園を整備するなどで「居心地が良く歩きたくなる」空間形成を重点的に行う地域のこと。都市公園リノベーション制度は、この地域内で官民が一体となって公園内の飲食店や売店などの整備をすることを推進する。制度活用の主なメリットには次のようなものがある。
「設置管理許可期間の特例」
都市公園法では、民間が公園施設を設置管理する場合に許可の必要性を定期的に検討できるように許可の期間を最長10年としている。だが、都市公園リノベーション協定制度の主な対象施設として想定しているカフェやレストランなどの飲食施設は、一般的に建設投資を10年で回収することは困難だ。これが都市公園への民間参入が進まない要因の一つとなっている。しかし同制度を利用すれば許可期間を最長20年間とすることができる。
「建ぺい率の特例」
都市公園法では、都市公園が都市の貴重なオープンスペースであることから、公園施設の建ぺい率(公園の敷地面積に対する建築物面積総計の割合)を2%を目安として条例で定める割合を超えてはならないとしている。だが同制度を利用すれば、利便性があるうえに当該施設から生ずる収益をその周辺の園路などの公共部分の整備に充てることができると認められるものについては、10%を目安に条例で定める範囲を限度として建ぺい率を上乗せすることができる。
P-PFIとの違いは実績重視の事業者選定
実は今までも民間の飲食店等が都市公園に出店し、その収益を公園の整備に活用する方法はあった。2017年の都市公園法改正により設けられた公募設置管理制度(略称:P-PFI)だ。都市公園リノベーション協定制度との主な違いは、P-PFIが民間事業者を公募によって選定するのに対し、こちらの制度は市町村と一体となってまちづくりに取り組む「一体型滞在快適性等向上事業の実施主体」やすでにまちづくり活動を行っている「都市再生推進法人」に限定している点だ。これは都市公園がまちなかウォーカブル区域内の交流・滞在拠点として重要な役割を果たすために整備・管理することを目的としているからだ。そのためこれらの事業者は、整備・管理しようとする都市公園において利用者の利便性向上に貢献する事業を行った実績が求められる。
具体的な制度活用のイメージの一つとして南町田グランベリーパーク地区がある。ここでは町田市と東急株式会社が連携して「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」を立ち上げ、2017年に閉館した商業施設、旧グランベリーモール跡地を隣接する鶴間公園と合わせて再整備した。商業施設を新たに建設すると同時に鶴間公園の運動広場や園路なども一体的に開発している。
「利用者」「事業者」「管理者」三方良しの制度
都市公園リノベーション協定制度のメリットをまとめると以下のようなことが考えられる。
公園利用者のメリット
・飲食施設の充実などサービスが向上する
・老朽化した施設の更新が進むことで利便性や安全性が高まる
民間事業者のメリット
・以前よりも大規模な収益施設を長期間経営できる
・緑豊かな空間と収益施設を一体的にデザインすることで収益の向上につながる
・自らが行うほかのまちづくり事業と合わせて取り組むことで相乗効果を期待できる
公園管理者のメリット
・民間資金を活用することで財政負担を軽減できる
・民間の創意工夫も取り入れられるので公園の魅力がアップする
・まちづくりと公園が一体となって魅力が向上する
理想の住環境として「大きな公園の近くに住みたい」という人は多いはずだ。その公園が民間の力によってより便利になり、街の活力アップにも貢献するのならこんなにうれしいことはない。今後もますます都市公園リノベーション協定制度が活用されることに期待したい。





