約1kmにわたる「TauT(トート)阪急洛西口」に仲間入り

阪急「洛西口」駅が連続立体交差化(鉄道高架化)されたのは、2016年のこと。ここは「京都河原町」駅と「大阪梅田」駅を結ぶ阪急京都線沿線上、京都市西京区に位置する駅で、京都市中心部にも大阪にもアクセスが良く、徒歩5分ほどのところには大型のショッピングモールもある。利便性の高さで人気のエリアだ。

京都市と阪急電鉄は、立体交差化により生み出された約1kmにわたる高架下の空間を「TauT阪急洛西口」として開発。2018年には、飲食店をはじめとする13店舗の営業をスタートさせた。

そして2020年9月、続いてオープンしたのが「京都市交流促進・まちづくりプラザ」。地域交流や子育て応援の機能も備えた施設で、「洛西口」駅から「京都河原町」駅方面に6分ほど歩いた高架下に誕生した。

市民の交流とまちづくり活動の場として作られた「京都市交流促進・まちづくりプラザ」市民の交流とまちづくり活動の場として作られた「京都市交流促進・まちづくりプラザ」

市民の「あればいいな」の声に応えて

「京都市交流促進・まちづくりプラザ」は、3つのゾーンに分けられている。

まず、「洛西口」駅に近い場所にあるのが「南棟」。6ヶ月~12歳の子どもとその保護者を対象にした親子のあそび場「キッズランド『ガタゴト』」が入る建物だ。室内には木のおもちゃなどのほか、滑り台やトランポリンといった大型遊具も置かれている。庭にあるのは、ハンモック型のブランコ。多少の雨なら気にせず遊ぶことができるのは、高架下ならではの特徴といえるだろう。

カフェがある「南棟-2」をはさんで立つのが、「北棟」。地域の会合やサークル活動、料理教室などに利用できる多目的室と、児童書やまちづくり関連の冊子、地域のフリーペーパーなどが並ぶライブラリーのスペースだ。

「京都市交流促進・まちづくりプラザ」ができた背景を教えてくれたのは、京都市都市計画局 まち再生・創造推進室の寺谷淳さん。

「京都市では、歩いて楽しいまちづくりの取組みを長年行っています。立体交差化に伴い、高架下の両サイドに広く安全な遊歩道をつくることになった際、では高架下をどのように活用すればいいか。ワークショップやアンケートで市民に聞き取ったところ、『子どもと過ごせる遊び場がほしい』『気軽に立ち寄れるカフェがあるといい』『まちづくりのイベントができる場所を作って』といった声があがってきたんです。こうした声に応え、たくさんの人が集まれるまちづくりの拠点をつくろうと計画が始まりました」

左上/和の要素を取り入れたキッズランド「ガタゴト」の庭 右上/キッズランド「ガタゴト」の室内。保護者は壁際のベンチに座り、子どもたちを見守ることができる 左下/約500冊の本が並ぶライブラリー 右下/多目的室は3部屋。備え付けのキッチンを使って料理教室を開催できるスペースもある左上/和の要素を取り入れたキッズランド「ガタゴト」の庭 右上/キッズランド「ガタゴト」の室内。保護者は壁際のベンチに座り、子どもたちを見守ることができる 左下/約500冊の本が並ぶライブラリー 右下/多目的室は3部屋。備え付けのキッチンを使って料理教室を開催できるスペースもある

まちづくりのハードルを下げるため、“あそびのプロ”を施設指定管理者に

左が京都市都市計画局 まち再生・創造推進室の寺谷淳さん、右がボーネルンド 遊環境事業部の古池陽一さん左が京都市都市計画局 まち再生・創造推進室の寺谷淳さん、右がボーネルンド 遊環境事業部の古池陽一さん

「まちづくりというと、どうしても硬いイメージがあります。まちづくりを目的とする人しか利用しない場所ではなく、興味がない層にも足を運んでほしい。ハードルを下げるにはおもしろそうと思ってもらえることが第一だと考えました。施設のテーマは、“あそびからはじまるまちづくり”です」

そこでタッグを組んだのは、株式会社ボーネルンドだった。あそび道具の販売や、あそび場の運営を行う企業に指定管理者として協力を仰ぐことにしたのである。

あそびとまちづくり。一見、結びつきにくい要素ではあるが、どのような展開が考えられるのだろうか。ボーネルンド 遊環境事業部の古池陽一さんは次のように話す。

「『ガタゴト』は、あそび場の要素に加え、親同士が出会い、つながる場という側面も持っています。このつながりがコミュニティーの活性化に結びつけば、まちづくりにもプラスに働くはず。地場の産業とあそびと組み合わせるイベントも検討中です。西京区は竹産業が盛んな地域。竹細工を作るなど、遊びを通して地域について学ぶことも、まちづくりに関心を持つきっかけになると考えています」

古池さんは、さらに「私たちはこの施設だけでまちづくり活動を完結させようとは思っていません」と言う。「ここを拠点に、地域の公園や保育園、幼稚園、福祉施設などにも出かけてイベントを行っていきたい。そうした活動の中で、地域の人同士を結びつける役割も果たしていきたいです」

地域に根付いたNPOと連携し、まちづくりの力を加速

目指すまちづくり活動のためには、地域とのつながりを密にすることが不可欠。“あそびのプロ”に続いて声をかけたのは、“まちづくりのプロ”。地域活性化のためのさまざまなイベントを行うNPO法人「らくさいライフスタイル」との連携だ。

「西京区に根差して活動をされているため、地域とのつながりが強く、ノウハウや実績も豊富。メンバーの皆さんのネットワークを活用して、まちの人を吸引できる。そんなイメージができました」(寺谷さん)

「京都市交流促進・まちづくりプラザ」の理想形は、用事はないけれど行ってみようかなと、気軽に足を運べる場所だと寺谷さん。

「世代に関わらず、さまざまな人が同じ空間に集まることで、お互いが影響しあい、交流しあい、いずれ、まちづくりにつながっていく。そんな場所を作り上げていきたいです」

キッズランド「ガタゴト」の料金や利用時間、多目的室の利用状況など詳しくは、公式ホームページ(https://kyoto-machipla.com/)で確認を。

手前がキッズランド「ガタゴト」。高架化されたことで歩道も広く、歩きやすくなった手前がキッズランド「ガタゴト」。高架化されたことで歩道も広く、歩きやすくなった

2020年 11月25日 11時05分