使い方に変化、進化するソファ

背を外しベッドになるソファ ホームオフィスとしての空間の切り替えもサポートしてくれる 
© Color Design Firm/ mayumi amimura背を外しベッドになるソファ ホームオフィスとしての空間の切り替えもサポートしてくれる © Color Design Firm/ mayumi amimura

ソファはリビングの主役として大きな面積を占める家具である。かつて、ソファは客間に相手と対面するかたちで置かれていた。ライフスタイルの変化により、ソファは主に家族がリビングで使用する家具となり、最近は緊張する対面式よりも、脚を投げ出してくつろぐシェーズロングソファや、座面が床から30cmくらいのロータイプ、一人でくつろぐパーソナルソファなどが人気である。

一人暮らし世帯が多くなり、限られたスペースを有効に活用する多機能ソファが出てきている。パーツを外せばベッドとなり、場所をとるソファとベッドが兼用できる。ホームオフィスの需要も多くなっている。ベッドがあると仕事モードに切り替えにくいなどの悩みも聞くが、ソファに替えれば部屋をすっきり整えることができる。

ソファは体を直接支持する家具である。体の負担に留意し、座面は長時間座っていても体制が崩れない適度な硬さで体圧を分散するもの。背と座は、自然な体制を保てる角度のものがよい。また、張地は座り心地やインテリアを左右する。色や風合い、加工などを吟味し選択するとよい。

ライフスタイルの変化に合わせ、ソファの使われ方も進化している。ソファのスタイルの特徴や組み合わせるテーブルについて、座り心地を左右する座面や背、素材について紹介しよう。

スタイルと特徴

クッションを外して床置きにもできる多用途ソファ © Color Design Firm/ mayumi amimuraクッションを外して床置きにもできる多用途ソファ © Color Design Firm/ mayumi amimura

ソファは、肘掛けの付き方、背の高さ、座面の高さなどによりスタイルに違いがある。

シェーズロングソファはカウチとも呼ばれる長椅子で、ソファと横並びにしてL型に配置し脚を投げ出しくつろげる人気のスタイルである。2人掛けソファより巾が小さめで、たまに来客がある一人暮らしにもよいだろう。

ローバックソファは座面や背が低く圧迫感が軽減され、視界の遮りが少なく部屋の中央にも置くことができる。また片肘や、背だけの肘無しタイプもすっきりしたスタイルが作れる。

ダイニングチェアを兼用できる背やアームが付いたベンチソファなどもある。テーブル、座面ともに通常の椅子よりやや低めのものもあり、アットホームなスタイルとなる。

ハイバックソファは、背が高いので上半身全体が安定し、腰への負担が軽減される。腰の部分が張りだしているものもあり、腰痛の方にもいい。リラックスを促すよう座面の傾斜が深いものが多く、座り心地はよいが立ちづらくなる。背の圧迫感が出るので視界を遮らない配置にするとよい。

つい床に座りソファを背に使用していた、などという声もよく聞く。意外にも床座スタイルは世界中で流行っていて、座面が30cmくらいのロータイプのソファや、背が床置きとしても使える多用途のソファが出てきている。

仕事に出ている間にお掃除ロボットを使用するケースも増えている。ソファの下を通すには床からの空間を10~12cm程度見込むとよい。

素材と座り心地について

熱を伝導して座る人の体温に素早く順応する特殊な張地のソファ 画像提供:climatex®/ナショナルインテリア熱を伝導して座る人の体温に素早く順応する特殊な張地のソファ 画像提供:climatex®/ナショナルインテリア

ソファの張地は体が直接触れるので、座り心地を左右する。張地には、布、革、合皮などがありランクにより価格が異なる。
布は、独特の風合いや色の豊富さが魅力である。ソファは空間に優しさと安らぎをもたらすよう丸みを帯びてきている。ファッションにも使われるブークレやツイードといった張地は、このようなソファをお洒落に仕上げてくれる。

布は汚れが落としにくいなどのデメリットがあるが、アクアクリーン®やパールトーン®加工を施せば汚れにくく、抗菌や抗ウイルス加工張地、高機能なアウトドア対応張地や熱を伝導して座る人の体温に素早く順応するハイパフォーマンスな張地など、革新がめざましい。これらを使い汚れなどの懸念を軽減し、布の風合いを楽しんでもよいだろう。

革は、鞣(なめ)しや染色、塗装などにより質も異なり価格も違ってくる。上質の本革はしなやかさと耐久性を備え手触りもよく、あえて塗膜を薄くして手触りを重視した高級品もある。ナチュラルマークといって、天然物ならではの皮の表情が入る場合がある。
合皮は価格が抑えられ汚れや水に強く抗菌などの加工物もあるが、引っ掻きに弱く永年の使用により表面材が剥がれるなどの劣化が生じる。

ソファの中材にはフェザー、ポケットコイル、コイルスプリング、Sバネ、ウェービングテープ、高密ウレタンなどが使用される。ポケットコイルはコイルそれぞれが動き体圧を分散しスプリングは適度な弾力がある。中材は座り心地や沈み具合を左右しソファでは重要な部分となる。

カバリングといって側生地が外せ、洗濯や交換が可能なものもある。素材による特徴もあるが、長く使用する家具となるので好みの硬さや使用感を確かめ、ライフスタイルに合うソファを手に入れるとよいだろう。

ライフスタイルに応じた選択

空間に優しさをもたらす丸みを帯びたソファ オットマンや一人掛けを組み合わせたくつろぎスタイル © Color Design Firm/ mayumi amimura空間に優しさをもたらす丸みを帯びたソファ オットマンや一人掛けを組み合わせたくつろぎスタイル © Color Design Firm/ mayumi amimura

ソファと合わせるテーブルを、やや高めのサイドテーブルやソファのアームの上に乗せられるテーブルにすると、手元と天板との距離が近くなり、タブレットの操作や飲み物を置くのにもしゃがまずにすみ便利である。

一人暮らし世帯が増えているが、ソファは2~2.5人掛けにしておくとよいだろう。オットマンを合わせれば友人の来訪時には3人で座れ、一人のときはオットマンに脚を載せくつろぐなど多様な使い方ができる。また、パーソナルソファを好みの張地で作り、家での時間を楽しんでもよいだろう。

高齢者に適したソファは、座面は硬めで体を起こしやすいように傾斜がなく、立ち上がり時にはアームに手を突いて体を支えられるいもの。張地は機能やコーティングを考慮し、数年先のちょっと足腰が弱ったときも、しっかりとして使い易いものをイメージして選定するとよい。

子どもが巣立った二人暮らしなどには、パーソナルソファでそれぞれがくつろげる構成にしてもいいだろう。単体なので配置の自由度が上がり移動もしやすくなる。中央にラウンジテーブルや電気暖炉などを囲み照明を合わせれば、しゃれたホテルのようなくつろぎの空間が楽しめるだろう。

アウトドアリビングで、暮らしに楽しさと広がりを

アウトドアリビングで、自然と楽しさを取り入れる 画像提供:Cristian Fischbacher GARDEN PARTY アウトドアファブリックアウトドアリビングで、自然と楽しさを取り入れる 画像提供:Cristian Fischbacher GARDEN PARTY アウトドアファブリック

ステイホームで自宅で過ごす時間が増え、ライフスタイルが見直され、家での過ごし方や使い方への関心も高まってきている。

リビングの延長としてバルコニーを利用したアウトドアリビングがうたわれてきたが、家に居る時間が長くなり、意識して日光を浴びることが体のバランス維持に重要となっている。また、ホームオフィスでは生活と仕事の切り替えを行うことも重要となってくる。

カラフルな張地のソファは、ベランダに華やぎをもたらす。広さにこだわらずベランダや庭の一角にソファを置けば自然に触れる機会となり、暮らしに楽しさと広がりが取り入れられるだろう。

ソファは長く使用する大きな家具となる。搬入経路の確認や配置、スタイルや使い方など、必要に応じプロのインテリアコーディネーターに相談し、好みのソファを手に入れるとよいだろう。

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