ステイホームで気付いた、植物たちの成長に癒されるガーデニングの魅力

新型コロナウイルス感染拡大を受け、ステイホーム中に家の中での新たな過ごし方を発見した方も多いことだろう。「断捨離・お取り寄せ・テイクアウト・リモート飲み」など、外出自粛期間ならではのハッシュタグがSNSを賑わせていたが、「ベランダガーデニング」も注目を集めたキーワードのひとつだ。

実際に筆者自身も、家の中でじっとしながら変化に乏しい毎日を過ごす中、唯一の楽しみになっていたのは、ベランダで育てはじめた植物の新芽が日々成長していく様子を眺めることだった。

ステイホームをきっかけに気付いたガーデニングの魅力。当レポートではガーデニング専門のwebマガジン『ガーデンストーリー』編集長の倉重香理さんにお話を聞きながら、「初心者でも楽しめるベランダガーデニングのコツや注意点」についてまとめてみた。

▲「家の中にいても外の気分が楽しめる」「外出できないぶん、身近な場所で緑を眺めたくなる」「植物たちの成長する姿に勇気づけられる」など、筆者の周囲でも“ステイホーム中はベランダガーデニングのおかげで癒された”という意見が多く聞かれた▲「家の中にいても外の気分が楽しめる」「外出できないぶん、身近な場所で緑を眺めたくなる」「植物たちの成長する姿に勇気づけられる」など、筆者の周囲でも“ステイホーム中はベランダガーデニングのおかげで癒された”という意見が多く聞かれた

世界的なステイホームの影響で、ガーデニング用品の需要は前年対比5倍に

▲今回取材に対応してくださったガーデニング専門webマガジン『ガーデンストーリー』編集長の倉重香理さん。「今回のステイホームが、ガーデニングの魅力を広く知っていただける機会となれば嬉しいですね」と倉重さん▲今回取材に対応してくださったガーデニング専門webマガジン『ガーデンストーリー』編集長の倉重香理さん。「今回のステイホームが、ガーデニングの魅力を広く知っていただける機会となれば嬉しいですね」と倉重さん

「日本における緊急事態宣言以前に、すでに外出制限が発令されていたヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどの諸外国では、“ガーデニング製品の売り上げが前年対比5倍になった”との情報が入り、私ども『ガーデンストーリー』でも日本のエクステリアメーカーの海外事業部の方にインタビューを行いました。

その担当者の方のお話でとても印象的だったのは、“Back to Basics”。つまり、「ガーデニングは人間の暮らしの原点回帰なのかもしれない」ということ。

外に出て日光を浴び、土を耕して汗を流し、季節がめぐることを花や緑から感じながら、家族と一緒に過ごす…原点回帰をすることで、リラックスできる状況に身を置き、心の安定を維持することができるため、多くの人たちがガーデニングに魅力を感じたのではないでしょうか」(以下、「」内は倉重さんのコメントにて構成)

倉重さんが編集長を務める『ガーデンストーリー』では、政府の『新型コロナウイルス感染症対策本部』が立ち上がった2020年2月以降にアクセス数が急増。さらに、東京都が『ステイホーム週間』を呼びかけた5月には、前年対比5倍という驚異的なアクセス数を記録した。ガーデニングへの関心が急速に高まっていることに、倉重さん自身も驚いたという。

「5月はバラの開花が始まるなど、一年でいちばんユーザーの関心がガーデニングに向く時期ではあるのですが、今年はバラの記事よりも、家庭菜園をキーワードとした記事のほうがアクセスが多かったので、この点も緊急事態宣言の影響によるところが大きいと思います。

実際のガーデニング関連の現場では、花苗やガーデニング資材の通販ショップで前年比2倍以上、ガーデンセンターなどでは野菜苗が飛ぶように売れ、用土売り場の棚が空になる光景も目にしました。庭の施工店に対しても“今まで手付かずだった場所を庭に作り替えたい”などの要望が増えていると聞いていますから、ガーデニング需要は確実に増えていますね」

小さなスペースで始められるベランダガーデニング、用意したいものは?

▲コンテナやシャベル、ジョウロなどは揃えやすいが、意外と忘れがちなのが、用土をこぼさずにプランターへ移し替えることができる土入れ。「もし土入れが無いときは、ペットボトルをカットして代用すると便利です」と倉重さん▲コンテナやシャベル、ジョウロなどは揃えやすいが、意外と忘れがちなのが、用土をこぼさずにプランターへ移し替えることができる土入れ。「もし土入れが無いときは、ペットボトルをカットして代用すると便利です」と倉重さん

こうしたガーデニングブームを受け「自分も試してみたくなった」という初心者の方が増えている。しかし、倉重さんによると、園芸初心者がベランダガーデニングにチャレンジする際には、いきなり専門用品を揃えるのではなく、まずは100円ショップなどで売られている手ごろなアイテムを試しながら、少しずつ買い換えていくと良いそうだ。

「どんなアイテムを揃えるか?については、ベランダの広さや、育てたい植物の種類によっても異なりますが、まずは
●鉢やコンテナ
●シャベル、土入れ、ジョウロ
●培養土(肥料などがあらかじめ混合されている土)
●養生シートやガーデニングシート(植え付けなどの作業時に床が汚れないようにするため)
などを揃えてみると良いと思います。用土や肥料に関しては、できれば園芸店やガーデンセンタ ーで購入した方が品質が安定しているので安心です」

今の季節なら、ぐんぐん成長する葉物野菜やミニトマトがオススメ

基本アイテムを揃えたら、次は品種選び。ベランダガーデニングの場合は、庭や畑と違って広さ・高さ共に使えるスペースが限られているため、植物たちの成長するサイズをイメージしながら「コンパクトに育つもの」を選んだほうが良いと倉重さん。

「ちょうど今の季節なら、ガーデンセンターに並んでいる葉物野菜やミニトマトが育てやすいですし、ミニキュウリやゴーヤなどのグリーンカーテンになる植物を、真夏の室温上昇対策として育てるのもおすすめです。

葉物野菜なら、お馴染みのパセリやレタス、ルッコラやクレソンのほか、バジルやミントなど のハーブ類も人気。最近は初心者の方でも育てやすくなるように改良された品種も増えていますし、種からではなく苗を購入して栽培をスタートすると、植え付けから短期間で採取できます。

ミニトマトは日当たりの良い場所が大好きなので、ベランダガーデニングにぴったり。軒が深いベランダの場合、夏は日が高くなってしまうので、手すり側に寄せてプランターを置くとぐんぐん成長します。茎は7月頃になると1m以上に成⻑しますから途中さらに丈の高い支柱が必要になりますが、支柱をカラフルなもので揃えるようにすると、ベランダの風景が鮮やかになります。

こうして、野菜たちの成長を身近に観察したり、採れたてをそのまま食卓へ運ぶことができるのは、ベランダガーデニングならではの醍醐味といえますね」

▲ミニトマトの色に合わせてカラフルな支柱を選ぶようにするとベランダの風景が彩り鮮やかに。これから育てはじめると、9月上旬頃まで収穫できるそう。「収穫したミニトマトは冷凍保存しておくと夏のひんやりおやつになります」と倉重さん。レタスなどの葉物野菜は、大きくなった葉を1枚ずつ外側から順番に採取。芯を摘み取ってしまうと葉が増えなくなってしまうので注意▲ミニトマトの色に合わせてカラフルな支柱を選ぶようにするとベランダの風景が彩り鮮やかに。これから育てはじめると、9月上旬頃まで収穫できるそう。「収穫したミニトマトは冷凍保存しておくと夏のひんやりおやつになります」と倉重さん。レタスなどの葉物野菜は、大きくなった葉を1枚ずつ外側から順番に採取。芯を摘み取ってしまうと葉が増えなくなってしまうので注意

集合住宅でのベランダガーデニングは、管理規約・マナーの徹底も不可欠

▲倉重さんが編集長を務めるwebマガジン『ガーデンストーリー』では、美しい写真と共にガーデニングに関する多彩な記事を発信している。品種別の育て方、おすすめの品種など、ベランダガーデニング初心者向けの情報も満載だ▲倉重さんが編集長を務めるwebマガジン『ガーデンストーリー』では、美しい写真と共にガーデニングに関する多彩な記事を発信している。品種別の育て方、おすすめの品種など、ベランダガーデニング初心者向けの情報も満載だ

ガーデニングをはじめると、つい“植物たちを育てること”に集中しがちだが、特にマンション等の集合住宅では管理規約の徹底や近隣住戸への配慮が大原則となる。

「集合住宅の場合、ベランダ使用については物件ごとに管理規約があるので、まずは管理規約を確認し、ベランダ使用についての制約がないかどうかをチェックしてからスタートすると良いと思います。多くの物件では、消防法に基づいて設置されている避難経路の前を塞がないようルールが決められているので、プランターの設置場所にも注意しましょう。

また、ベランダガーデニングを行う場合は“日頃の掃除”が必要不可欠です。特に気を付けたいのは排水溝の確認。万一排水溝が詰まってしまうと、ベランダが水浸しになって建物に害を及ぼしたり、隣人トラブルを招くことにもなりかねません。排水溝のまわりに隙間用のスポンジテープなどを貼って、細かいゴミや土を受けとめるようにしながら、こまめにスポンジテープを取り換えるようにすると良いでしょう」

このほかにも、
●ベランダの重さの制限を確認する(一般的には1m2当たり約180㎏が限度)
●ベランダの日当たりや気温を確認する(真夏に40度を超えるような場合は枯れの原因に)
●ベランダのフェンスをチェックする(フェンスに傷みがないか?のチェックに加え、小さな子どもが登ったり乗り越えたりしないよう、高さのあるものをフェンスの近くに置かないこと)
などの点についても、ガーデニングを始める前に確認しておきたい。

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ベランダガーデニングには、植物たちを育て、眺め、味わって楽しむだけでなく、集合住宅ならではのマナーを守る義務も生じる。こうしたポイントに注意した上で、皆さんもベランダガーデニングにチャレンジしてみてはいかがだろうか?

■取材協力/webマガジン ガーデンストーリー
https://gardenstory.jp/

2020年 06月20日 11時00分