住宅に用いる給湯システムにはいくつかの種類が。開発が進むエネファーム

家庭用燃料電池「エネファーム」家庭用燃料電池「エネファーム」

給湯システムは、日々の暮らしの快適さを左右する重要な設備機器のひとつ。キッチンやバス、洗面などの給湯だけでなく、床暖房や浴室換気暖房乾燥機などで使用する場合もあり、新築やリフォームの際にはプランニングはもちろん、費用にも大きく影響するものだ。

住宅に用いられる給湯システムには、いくつかの種類があるが、いずれも、効率を高め、環境に配慮された機器が各メーカーから提案されている。一般的に馴染みがあるのが高効率ガス給湯器のエコジョーズ、電気を熱源とし、大気熱を利用しヒートポンプユニットで沸き上げるエコキュート。また、熱源にガスを用いエンジンを駆動させて自宅で電気をつくるエコウィル、ガスから水素をつくり、空気中の酸素と化学反応させることで発電するエネファームなどがある。

省エネルギー性能の高い住宅、環境に配慮した暮らしへの関心が高まる中、研究開発が進むエネファームは注目すべきシステムのひとつだろう。

水素と酸素を化学反応させ電気を生み出す

エネファームとは、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムのこと。名称は「エネルギー」を生み出す「ファーム=農場」という意味の造語である。

仕組みは、都市ガスやLPガスから取り出した水素を、空気中の酸素と化学反応させることで発電、同時に、水素と酸素が反応する際に発生する熱を利用して、お湯をつくり給湯に利用するというもの。従来システム(大規模発電所)と比べ、排熱ロスが少ないこと、自宅で発電するため送電ロスも抑えられることなど、エネルギーを無駄にすることもなく活用できる。また、発電する際に環境を汚す物質がほとんど出ないこと、騒音や振動が少ないことなども特徴だろう。

燃料電池は、次世代エネルギーシステムとして研究開発が進められ、2009年にエネファームが誕生。以来、耐久性や機能性を高め商品バリエーションを拡大してきたパナソニックから、効率はもとより快適性や使い勝手も高めた新商品が発表された。同時に公開された燃料電池の製造拠点である草津工場を見学、エネファームの最前線に触れてきた。

(左)熱源機別置型 (右)熱源機一体型(左)熱源機別置型 (右)熱源機一体型

床暖房への熱利用に対応、非常時に役立つ機能を強化

パナソニックは2009年にエネファームの販売を開始後、おおよそ2年ごとに新しい機器を発表。性能面はもとより、耐久性やコンパクト化、設置性などを進めてきている。

今回は発表された、第六世代であるエネファームの特徴は、まず、総合効率97%を達成したこと。水素を取りだす燃料処理器の運転条件を見直し発電効率を向上、機器のコンパクト化により放熱ロスを削減することで実現した。

また、暮らしの快適さを高める機能として、ガスの消費量を気にすることなく床暖房を使うことができる「PREMIUM HEATING」を搭載。輻射熱によって部屋全体をあたためる床暖房は注目されているが、省エネや光熱費などの面から、長時間の使用を躊躇してしまう、というケースもある。「PREMIUM HEATING」は、発電時に発生する熱をガス温水床暖房の低温(保温)運転時の熱源として活用するため、ガス消費量を抑え、気兼ねなく床暖房を使用することができる。

加えて非常時に役立つ「停電時発電継続機能」が標準装備され、稼働中に停電が発生した場合でもスマートフォンやパソコンなどが使える最低限の電力とお湯、床暖房の熱をエネファーム単体で賄える。また、ハイブリッド蓄電システムと連携する機能をオプションで用意。長期的な停電が発生した場合でも、リビングやキッチン、サニタリーなど指定した空間への電力供給が可能になる。

その他、ユニットのコンパクト化、軽量化を実現することで、設置場所の自由度が増し、搬入や施工がしやすくなっているのも特徴だろう。

「PREMIUM HEATING」の仕組み「PREMIUM HEATING」の仕組み

高品質・高効率なモノづくりにこだわるIoT工場で生産

これらパナソニックのエネファームの製造は、滋賀県にある草津工場で行われている。組立工程、生産・検査工程が1階と3階の2フロアで構成。品質を向上させる「人」、品質を保証する「インフラ」、品質を創り込む「工程設計」によって、高品質で高効率を保つIoT工場である。

特徴的なのは、見える化のシステムによって生産実績や進捗状況、品質情報などが画面で把握できる点。ビデオカメラを連動するなど、作業のデジタル化を行い作業内容を分析。映像やグラフなどで表示し、操作や手順などを検証、解析も可能で改善にもつなげられる。

燃料処理器などの精密機器を搭載し、各工程ではさまざまな部品を組み込み、水漏れやガス漏れなどの検査工程も重要となるエネファームの製造においては検証、解析ができるシステムは重要な要素であると感じた。

モノづくりにこだわったIoT工場内モノづくりにこだわったIoT工場内

消費者への認知、丁寧な説明を期待したい

エネルギーをわかりやすく見える化した操作しやすいリモコン。(右)台所リモコン(左)浴室リモコンエネルギーをわかりやすく見える化した操作しやすいリモコン。(右)台所リモコン(左)浴室リモコン

商品としてのエネファームの進化、性能の高さなどは理解できるが、専門的な知識も持たない消費者にとって、まだまだ馴染みがなく、分かりにくい設備機器であることは否めない。エネファームの価値、良さが消費者に届いていない、ということもある。技術的な面だけでなく、エネファームを取り入れることで、快適で便利な暮らしが実現すること、災害時の際のメリットなどを訴求することが必要だろう。

また、エネファームは、都市ガスのイメージがあるがLPガスを利用することも可能。LPガス業界だけでなく、LPガスを使用している消費者の方へのアピールも期待したい。

新築やリフォームをすすめる中では、選択すべき事柄が多く、設備機器ひとつひとつをじっくりと検討できない場合もある。特に、専門的な知識が必要、と感じてしまう機器は担当者に任せてしまう、というケースも多いだろう。

しかし、住まいのエネルギーに関わるシステムは、日々の暮らしの快適さ、使い勝手、コストにも大きく影響するものだ。エネファームを含め、新商品は多く提案されている。わが家にとって、どのようなシステムが適するのか、設計担当者やガス会社などに、十分に説明を求めることが大切だ。

取り入れることで、暮らしがどう快適になり、今の暮らしがどう変わるのか、家族構成やライフスタイルなど、具体的なメリット・デメリットを確認すること。ショールーム、モデルハウスなどでも設置してあるケースもあるので、実物をチェックしておくこともポイントだろう。

■取材協力
パナソニック:https://www.panasonic.com/jp/

2019年 04月08日 11時05分