2019年の干支は己亥(つちのと・い)、中天の太陽と新月の組み合わせが意味するものは?

2019年の干支は己亥。亥年は十二支の最後にあたる。その意味するものは再生と復活の準備のための休息2019年の干支は己亥。亥年は十二支の最後にあたる。その意味するものは再生と復活の準備のための休息

2019年の干支は「己亥(つちのと・い)」である。「己(つちのと)」は明るい中天の太陽、「亥(い)」は暗闇の新月を象徴している。そんな組み合わせの年だからと言うわけではないが、2019年は1年間で2回も日食が観測できる非常に貴重な年なのだそうだ。

さて「己亥」はどんな年になるのだろうか。2018年の「戊戌(つちのえ・いぬ)」に引き続き、今年も2019年の干支が意味するところを紐解いていこう。

「己亥」という干支は、十干である「己」と、十二支の「亥」の組み合わせで成り立っている。十干とは太陽の運行を基準にして日の出から日の入りまでを10等分し、そこに生命の生から死までを投影して表現したものであり、十二支とは月の満ち欠けを基準にして同じ様に生命の循環を投影したものである。

この太陽と月という2つの異なる成長サイクルを組み合わせて、万物の生命の理を表現しようとしたのが干支である。それによると2019年の干支である「己亥」は、ステップアップする充実したタイミングにありながら、どうも調子に乗るとチャンスを逃す年になると暗示している。

干支の意味を知るには、十干と十二支のそれぞれの意味だけでなく、その関係性が肝になる。組み合わせにより、お互いを強め合う関係、打ち消しあう関係、どちらかを凌駕する関係もあるからだ。

では2019年の干支「己亥」とは、本当はどんな意味を持っているのか、まずは十干の「己」からご紹介しよう。

太陽の運行を基準にした十干、「己」は絶好調だが落とし穴の危険も

十干は太陽の日の出から日の入りまでを「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10に等分したもので、「己(つちのと)」は6番目にあたる。まさに中天の太陽、生命の循環中もっとも精力が横溢する時期を意味している。

ツチノトとは土の弟という意味で、陰陽五行では陰の土にあたる。土とは今、自分が立っているまさにその地のことを指し、全ての中心的存在という意味も持つ。

また「己」という漢字は「おのれ」とも読む。これは3本の棒に糸を巻きつけて糸束を作る糸車の象形文字で、多くの糸束を生み出す源ということが転じて、自分自身を意味するようになった。

更に、「己」にいとへんを付けると「紀」という文字になる。「紀」は糸口や正しい筋道という意味に使われ、そこから「己」という文字にも、決まり事や正しい行いといった意味を内包するようになった。

このように「己」は、生命が横溢して真っ盛りを迎えた時期を指し、同時に正しい姿の自分という意味がある。そう聞くと絶好調な自分をイメージするが、中国には古くから中庸思想というものがある。これは何事もほどほどが良し、行き過ぎるとマイナスになるというもので、絶好調が故の落とし穴が潜む年ということでもある。

十干のイメージ図。世の中のすべては「木・火・土・金・水」の5種類の元素から成り立つという「五行思想」を元に定められている。5つの元素はそれぞれ陰陽の2種類ずつ存在し、5×2で合計10種類の十干となる。左上の大木は「木の陽」で甲(きのえ)、左下の草花は「木の陰」で乙(きのと)を表している十干のイメージ図。世の中のすべては「木・火・土・金・水」の5種類の元素から成り立つという「五行思想」を元に定められている。5つの元素はそれぞれ陰陽の2種類ずつ存在し、5×2で合計10種類の十干となる。左上の大木は「木の陽」で甲(きのえ)、左下の草花は「木の陰」で乙(きのと)を表している

月の運行を基準にした十二支、「亥」は次に進むための安定した準備期間

次は十二支の「亥(い)」について考察してみよう。十二支も月の満ち欠けをモデルにして生命の循環を表し、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」と12に等分している。

「子」は種子が土中で発芽の時期をまさに迎えた瞬間を意味し、「丑・寅・卯・辰・巳」と芽が徐々に育ち、「午」で陰陽の転換点を迎え、「未・申・酉・戌」と結実する。そして最後の「亥」で地面に落ちた種が土中へ埋まり、次世代の生命へと繋がっていく。

すなわち「亥」とは、生命が収蔵された核を意味し、次へのタスキを渡す大切な準備期間を意味している。そして「亥」は陰陽五行では陰の水にあたる。

また「亥」という漢字はイノシシの骨を表した象形文字で、そこから硬い、根ざす、兆すといった意味に使われた。更に、「亥」にきへんを付けると「核」という文字になる。「核」は木の硬い部分を表す会意文字で、物事の中心という意味も持つようになった。

このように「亥」は、非常に安定した状態で始動を待つ準備期間を意味している。まさに次の段階へとステップアップするタイミングをじっと狙って待っているといったイメージであろうか。

十二支は月の運行を投影して考え出されたもの。時間や方位などを表すものとしても使われていた十二支は月の運行を投影して考え出されたもの。時間や方位などを表すものとしても使われていた

干支「己亥」では調子に乗り過ぎれば凶、納音「平地木」では迷わず継続すれば吉

2019の干支である己亥は土剋水であり、土を水が侵すという意味である。溢れ出ようとする水の流れを土が堰き止める、または清流の流れを土が汚し濁流にするといったイメージがある2019の干支である己亥は土剋水であり、土を水が侵すという意味である。溢れ出ようとする水の流れを土が堰き止める、または清流の流れを土が汚し濁流にするといったイメージがある

十干の「己(つちのと)」と十二支の「亥(い)」のそれぞれの意味がわかったところで、次はその関係性について考察してみよう。

「己」と「亥」は、五行で「土剋水」という相剋の関係にある。相剋とは片方がもう片方を凌駕しようとすることで、土は水を濁らせ、溢れ出ようとする水の流れを土が止めることを意味している。

つまり「己亥(つちのと・い)」は、ステップアップする大事な時期にもかかわらず、あふれんばかりの精力がそれを邪魔してしまうという意味になる。まさに調子に乗り過ぎることで落とし穴に落ち、そのせいで将来のチャンスを失いかねないということを意味しているのだ。

では落とし穴に落ちずにチャンスを掴むためにはどうすれば良いのだろうか。実は、干支の意味をより深く知るためには、もうひとつ「納音(なっちん)」と呼ばれる思想が欠かせない。

「納音」とはなかなか耳慣れない言葉だが、東洋占術では馴染み深く、五行思想を元にして中国語の音韻理論で干支を整理したものである。干支が60種類であるのに対し、納音は30種類。基本的にピン音(※)の分類である30通りの音に沿って構成されている。(※中国語の発音記号)

納音では、甲戌(きのえ・いぬ)と乙亥(きのと・い)は「山頭火」、壬午(みずのえ・うま)と癸未(みずのと・ひつじ)は「楊柳木」といったように名付けられ、有名な放浪の俳人、種田山頭火の俳号もここから取られている。

ちなみに「山頭火」は火山の頂の火焔のことで、才能もあり目立った存在だが、遠くに在るもので実際の役には立たない火とも考えられ、高邁な理想は有っても実力が伴わない人という意味もある。

種田山頭火は、明治15年に山口県の大地主の長男として生を受け、早稲田大学の前身である東京専門学校に学び、俳壇では自由律俳句の旗手を自認するまでに至ったが、晩年は家業も没落し、妻子とも別れ、ひとり曹洞宗に帰依し出家、放浪の僧となって俳句を詠み続けた人である。また俳号の山頭火は彼の生年の干支とは関係なく、文字とその意味から選んだようである。

さて話を戻そう。納音では「己亥」は「平地木」となる。これは野中の一本杉の様に平地に真っ直ぐ立つ孤高の木を指していて、寂しく孤立しているが、ひとり茂っている様を表している。その姿から東洋占術では、迷わず信念を持って継続すれば吉運が舞い込むとの解釈を当てている。

つまり来年は、「己」が持つ横溢するエネルギーが、「亥」が持つ飛躍のための大切な準備期間の邪魔をしようとするが、「地平木」が持つ孤高の継続力で乗り切れる年ということになろう。

この先の大きなステップアップ、2019年は特に「恵方詣り」がご利益の期待大

それにしても何とも絶妙なバランスを求められる1年だろうか。しかしながら調子に乗り過ぎず、迷わず継続し続ければ、先々に大きなステップアップが望めるかなり良い年になりそうである。

そんな2019年「己亥(つちのと・い)」を確固たる年にするために、初詣におすすめなのが「恵方詣り」である。恵方詣りはかなり古くから行われていて、自宅から見てその年の恵方のライン上にある神社仏閣に初詣をして、幸運を願うというものである。

恵方とは、その年の福を担当する歳徳神(としとくじん)がいらっしゃる方位のことを言い、歳徳神は歳神様とも言う。大掃除はこの歳神様を迎えるための儀式であり、恵方巻きは歳神様に向かって大口を開けて海苔巻きを食べるというわけだ。

恵方は、その年ごとに十干によって決まり、甲・庚・丙・壬の4つの方位を循環、それぞれ東西南北より15度ずれたところである。2019年の「己亥」の恵方は甲の方位で、真東から15度北に寄った辺りだ。

この恵方に、2019年は歳徳神だけでなく月徳神(げつとくじん)も重なっている。またその方位に凶神が全く居ないという珍しい年になるため、かなりのご利益が期待できる年になりそうなのだ。

恵方の探し方は、アナログに地図の上にピンを打ち、正確に真東から15度北方向に線を引くもよし、地図アプリを見て方位を確認しながら歩くもよし、恵方のライン上で一番最初にぶつかった神社や寺院にお参りをすると良いだろう。

2019年はイノシシ年だけに、絶好調な時ほど猪突猛進で進みたくなるものだが、そこはグッとこらえて平常心でいることで落とし穴を回避し、将来にもっと大きな花が咲くと暗示している年なのである。

恵方とは、歳徳神が御座す方位のことを言う。その年の十干により決まり、上の図の様に4つの方位を循環する。東西南北より反時計回りに15度ズレた方位にある恵方とは、歳徳神が御座す方位のことを言う。その年の十干により決まり、上の図の様に4つの方位を循環する。東西南北より反時計回りに15度ズレた方位にある

2018年 11月03日 11時05分