よく遊ぶ場所は「自宅」が 95.1%

子育て中の悩みは数々あるが、家での遊び方もそのひとつ。
おもちゃで静かに遊んでいても飽きてきたり興奮すると走り回ったり、飛び跳ねたり。一軒家ならまだしも、集合住宅となると自由に遊ばせるわけにもいかない。静かにさせるためについついテレビに頼ってしまい、気がつけば2時間、3時間経っているということも…。

厚生労働省発表の「第6回21世紀出生児縦断調査」(対象児年齢5歳6か月)によると、子どもたちが「よく遊ぶ」場所は「自宅」が 95.1%と最も多い。また、「習い事をしている」子どもも 56.6%と半数以上となり、遊ぶ時間そのものが少なく、家で遊ぶことが多くなる理由の一つでもありそうだ。

家で遊ぶことが多いのならば、テレビに頼らず、親子でもっと楽しく遊ぶ方法はないのか。
あそび環境の研究開発、世界の「あそび道具」の販売を行う株式会社ボーネルンドの金山梨紗子さんに、遊びと家での遊び方について聞いてきた。

どうなってるんだろう?と考えることが遊び

好奇心旺盛な子どもにとって全てが遊び(写真提供:ボーネルンド)好奇心旺盛な子どもにとって全てが遊び(写真提供:ボーネルンド)

子どもにとって「遊び」は日常に溢れていると言う金山さん。
「風で木々が揺れるのを発見したり、どんぐりを拾うのも遊び。遊びとは、子どもの”やりたい”という気持ちから生まれる能動的な活動と考えています。“どうしたらできるんだろう?”とか、“これを動かすにはどうすればいいんだろう?”と考えること自体が遊びなんです。」

なるほど、遊ぶというと「おもちゃ」を与えることを考えがちだが、遊びはもっと身近なもの。「遊ばせなければいけない」というのも親の押し付けなのかもしれない。

「子どもにとって、遊びは生活のすべて、生きることと同じです。子どもたちは、遊びながら様々な体験をしたり、学んだり、コミュニケーション能力を育んでいきます。健全な大人になっていくために遊びは欠かせないものなので、10歳くらいまでは、子どものしたい遊びにのめりこんでたくさん遊んでほしいと思います。」

成長に合わせて、あそび道具を変える

工夫次第で遊び方がひろがる(写真提供:ボーネルンド)工夫次第で遊び方がひろがる(写真提供:ボーネルンド)

ボーネルンドでは“おもちゃ”とは言わずに、“あそび道具”としている。それは、子どもたちの成長に欠かせない生活のための道具だからだそう。
「年齢や発達に合わせて“道具”を選んでいただけたらと思います。」

例えば、ボールひとつでも成長とともに遊び方が変わってくる。赤ちゃんであれば触ったり、抱えたりすることが遊びになり、次第にボールを投げたり、的当てゲームやスポーツへと発展していく。成長に合わせて、ボールの柔らかさや大きさなどを変えていくのもいいだろう。

子どもが大きくなると、家でのボール遊びは物足りなくなりそうだが、投げずに蹴らずにどうやったら遊べるか、自分たちだけのボール遊びを考えてみるのも面白そうだ。

家で出来る、体遊びで親子のスキンシップをはかる

ボディタッチで親子の信頼関係が築けるのが体を使った遊び。ボーネルンドスタッフが勧める、家庭でも寝具用マットを使ってできる簡単な体遊びを紹介しよう。

「手をつないで一緒にジャンプ」
手をつないで軽くジャンプ。ぴょんぴょん、バタバタなど擬態語を使って動きを変えても楽しい。

「押し合いっこ」
互いに押し合いっこをして、押されたら踏ん張って押し返す。バランスや瞬発力が身につく。

「一緒にハイハイ」
赤ちゃんと一緒にマットの上でハイハイしたり、ゴロンと転がったり。床よりもスリリングで、より体力も使うのでよい運動になる。

子どもにかえって一緒に遊ぼう

北海道出身の金山さん。子どもの頃は自然の中でたくさん遊んだそう北海道出身の金山さん。子どもの頃は自然の中でたくさん遊んだそう

最後に親子で一緒に遊ぶ時の注意点を聞いた。
「“待つ”ことも大事です。大人は口出しをしたくなったり、答えを焦ってしまいがちですが、子どもは自分で答えを見つける過程を遊んでいるので、そこを一緒に楽しむ。失敗する中で遊びが生まれていきます。できないときは“できないね、どうしたらできるだろうね”と共感しながら寄り添ってあげる。その過程を一緒に楽しむことが大切ですね。」

また、大切なのは遊ぶ時間の長さではなく、質だという。
「子育ては大変で苦労も多いと思いますが、かけがえのない時間でもあるので、たくさん一緒に遊んでほしいと思います。仕事が忙しくて、なかなか時間が取れない時も、密な時間を過ごすことでカバーできると思います。一緒にいる時間をどう過ごすかを大切にしていただけたらと思います。」

おもちゃも買い与えるのではなく、一緒に遊ぶ。そうすれば遊びも広がり、おもちゃに飽きることもないのかもしれない。

「今日は何して遊ぼう!」
子どもの頃のワクワクを思い出しながら、親子で遊んでみてはいかがだろうか。

■取材協力
ボーネルンド:
https://www.bornelund.co.jp/

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