節電の負担を負わずに電気料金を5%から30%削減

電気契約を各戸ごとでなく、マンション1棟単位で結ぶことにより、電気料金を削減することが可能になる電気契約を各戸ごとでなく、マンション1棟単位で結ぶことにより、電気料金を削減することが可能になる

東日本大震災以降、注目度が上がっている節電。エネルギー問題に対応するためというのはもちろんだが、上昇傾向の電気料金単価に対して、少しでも支出を少なくしたいという理由も多いだろう。しかし、節電は猛暑の中でエアコンの使用を我慢するといった負担を伴う。取り組みすぎて健康を害してしまっては意味がない。

実はマンションに住む場合、このような負担を負わずに電気料金を安くする方法がある。それが一括受電だ。

一括受電とは、従来各戸が個別に結んできた電気会社との契約を、一つにまとめて管理組合や物件のオーナーが契約することで安い単価の電気を使用できるサービスだ。そのコスト削減率は契約内容にもよるが、5%から30%程度になる。

一括受電サービスの契約戸数は2011年現在で10数万戸だったが、経済産業省は2020年には100万戸を超えると試算している。

主な契約方法は新電力会社(PPS)に直接と一括受電サービス会社経由の2通り

一括受電の導入には、検針メーターやブレーカーの交換が必須となる一括受電の導入には、検針メーターやブレーカーの交換が必須となる

なぜ一戸建てではなく、マンションなのかというと、改正電気事業法の施行などにより2005年4月以降、高圧50kW以上の契約ならば新電力会社(Power Producer and Supplier 通称PPS)と契約できることになったからだ。

PPSとは東京電力など一般電気事業者とは別の特定規模電気事業者と呼ばれるもので、工場やテナントビルといった大口の顧客(50kW以上)に対してのみ比較的安価な料金で電気を供給している。
マンションの場合は、ケース・バイ・ケースだが40戸以上の規模になると、この50kW以上に当てはまることが多くなりPPSとの契約が可能になるのだ。

しかし、一般電気事業者からPPSへ契約を変更するには、以下のような条件をクリアする必要がある。

・ 変電施設を所有する(一般電気事業者の変電施設は撤去)
・ 検針メーター・ブレーカーを交換
・ 検針から請求までの業務を自前で行う

変電施設は、たとえば100戸規模のマンションであれば2000万円前後する。PPSと直接契約すれば電気料金はおよそ30%削減できるため、10年前後で回収可能といわれているが、修繕積立金からこれだけの額を捻出するのは難しい場合もあるだろう。また、検針や請求までの業務をどうやって行うかも問題だ。

そこで登場したのが一括受電サービス会社だ。このような代理店を経由してPPSと契約することにより、変電施設の設置や検針メーターなどの交換、各種業務を代行してくれる。その分手数料を引かれるので、電気料金の削減率は5%から20%程度になる。つまり変電施設の設置費用もこの手数料に含まれ、初期投資はゼロになるのだ。

一括受電の主な契約方法は上記のように新電力会社(PPS)に直接と、一括受電サービス会社経由の2通りある。しかし、実際には初期投資や検針の手間などの問題から後者にするケースが圧倒的に多いようだ。

電気料金削減プランは大きく分けて3つ

一括受電サービス会社の電気料金削減プランは大きく分けて3つある。
1.共用部プラン
管理費において大きな割合を占めるエレベーターや共用部の照明などの電気料金を削減するプラン。管理費の値上げや修繕積立金の不足分を補うことができる。削減効果は20%前後になる。

2.専有部プラン
各戸の電気料金を削減するプラン。賃貸物件などで集客効果を狙うときなどにも有効。ただし、検針や請求などの業務が煩雑になるためその分手数料がかかり、削減効果は5%前後となる。

3.共用部・専有部ミックスプラン
上記2プランを合わせたプラン。それぞれの削減効果はその割合による。

どのプランにするかは、サービス会社などが様々なシミュレーションを行い、管理組合と検討することになる。

契約の締結には全戸の同意書が必須。停電にどう対処するかも要検討

検討を開始してから導入までの一般的な流れは以下のようになる。

理事会で検討
   ⇓
PPSまたは一括受電サービス会社説明会
   ⇓
総会決議
   ⇓
契約締結
   ⇓
導入工事

導入工事には全戸の同意書が必須だ。この際にネックになりがちなのが、設備の法定点検時の停電だ。通常3年に1回の点検で1時間から2時間の停電となる。停電時の懸念点には以下のようなものがある。

・ 高齢者、乳幼児の医療機器等の停止
・ エレベーターの停止による利便性の低下、救急搬送や消化ポンプ等への対応
・ オートロックやインターホン等の停止によるセキュリティの低下
・ 給水ポンプ停止による水道水、トイレの停止
・ 冷蔵庫やエアコンの停止
・ パソコンやインターネット、電話の停止

管理組合が全戸の同意を得るには、電気代削減のメリットと同時に、このようなデメリットも理解してもらうため一件一件丁寧な説明を繰り返す必要がある。

2014年 05月16日 13時50分