小物をエイジングしてみよう
筆者が普段から使っている卓上ミラー。小さいながら三面鏡で、化粧をするときに重宝している。本体は天然の木材で雰囲気があり、正面中央の留め具も気に入っている。
しかしながら、蝶番の色が木材と留め具にマッチしていないのが購入するときから気がかりだった。脇の銀色の蝶番はまだ良いとしても、下部にあるプラスチック製蝶番が白く目立ち、周りと全く調和していなかった。
卓上ミラーとしての機能は問題ないけれど、見る度、真っ先に目につく調和していない蝶番。何とかできないかと、DIYで解決を試みることにした。
今回教えていただいたのは筆者の出身大学、横浜美術短期大学(現:横浜美術大学)の同級生、岸 渡さん。現在は飲食店や商業施設等で、ディスプレイや内装等を手がけている。
さっそく、卓上ミラーを見ていただくと「留め具に合わせて、蝶番部分をエイジングしてみれば、良いんじゃないかな」とのアドバイス。
エイジングとは、新品にわざと塗装などを施し、使い古したように見せる方法だ。仕事のイラストで昔のもの、古いものを描くことはあるが、実物を古く見せかけるのは今回が初めてだ。
材料の購入、道具の準備
エイジング用に水性塗料を購入する。今回はブラウン、チョコレート(濃い茶色)、コルク(淡い茶色)の3色を選んだ。塗る対象物は小さいので、塗料も一番小さな缶で足りるだろう。
筆は使い古しが良いとのことで、新たには購入しなかった。もし、購入する場合は100円ショップで売っているもので十分だ。ウエス(布)も同様で、もしくはティッシュで代用してもよい。筆を洗うために、水を入れたペットボトルもあるといいだろう。
今回は蝶番を一度外すことにしたので、ドライバーも準備した。他に、発泡スチロール、チャック袋、マスキングテープを用意。塗料を使うのでレジャーシートや古新聞を敷き、薄手の衛生手袋(ニトリル手袋)とエプロンをつけて作業した。
いざ、エイジング作業のスタート
塗料を使うので、換気と乾燥のために作業は屋外の河原で行った。10月に作業したので季候も良かった。
まず、卓上ミラーの蝶番を外していく。外したネジ類は一度チャック袋の中へ。後で、左右を間違えないように、作業途中も右側のパーツは右、左側のパーツは左に置いていくと良いそうだ。
ここで、発泡スチロールの出番。ネジを少し埋め込み、作業台にする。ネジは小さいので手で直接持って塗るのは大変難しい。今回は屋外での作業のため、小さいものはすぐに飛ばされてしまう恐れもあり、固定できるものとして発泡スチロールを使用した。
そして、お楽しみの色塗りタイム。缶のフタを開ける前に良く振り、塗料を撹拌する。開ける際に多少手についてしまうので、他を汚さないためにもウエスで拭き取って作業にあたる。
色塗りに使う筆はどんなものが向いているのだろうか。岸さんに選んでいただいたところ、穂先がバサバサのものが良いそうだ。
色合いは留め具を参考にし、実際に塗り始める。3色のうち一番濃いチョコレートを使用する。塗るというより、穂先をちょんちょん置いて、埋めていくような感じにしよう。ネジを塗る際は、頭の横も忘れずに。
チョコレートの塗料が乾く頃、一度筆を洗い、その後2色目のブラウンを塗る。ブラウンは1色目のチョコレートより更に少なく、わざと塗り残しがあるように仕上げる。ここでバサバサの穂先の筆が活躍する。3色目のコルクは調整用に使用した。
仕上げ、そして完成
塗り終わった後、蝶番が留め具の色合いから少し離れたことに気づいた。「留め具を塗って、蝶番に合わせれば大丈夫」と岸さん。留め具は木材から外さずに、周囲をマスキングテープで覆う。留め具は元々が茶色なので、色塗りは抑えぎみにする。
エイジングの塗り作業は、無心になれて楽しかった。普段は具体的なイラストを描いているが、今回はただ色を乗せているだけだ。「自分の好みで仕上げられるのが、エイジングの楽しみ」と岸さんは話す。
色塗りが終わり、乾くのを待って、蝶番をネジで留める。次に留め具の周りに貼ったマスキングテープをはがす。今回のDIY作業は部品のみだったので、作業時間も2時間半で終了した。これだけの作業で、卓上ミラーが以前より高級に見える。
その後、卓上ミラーを普段使いしているが、蝶番が気にならなくなった。他のインテリアにも調和している。今回使用した塗料がまだ残っているので、卓上ミラーに合わせて他のインテリア小物をエイジング出来ないか探っている。
今までDIYというと、一から作らないといけないように感じていたが、そうではなく、ほんの一手間で暮らしがちょっと良くなるのだと実感した。
取材協力:Dump On The Cake ダンプオンザケイク
https://www.facebook.com/dumponthecake/
完成品
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