デザイン家具とDIYの関係

カーツさんのDIYにセンスが表れているカーツさんのDIYにセンスが表れている

オシャレな家具を自分でもDIYで作ってみたいと思っている方に、デザイン家具の魅力を知ることが「センスをDIYする」にもつながることを学ぶ企画の後編。デザイン家具の本物の魅力については前回の記事【センスをDIY。デザイン家具の魅力に迫る①】本物を知ろうをご参照にしていただきたい。

デザイン家具のコレクター、カーツさんにずばり「デザイン家具好きならではのDIYの取り組み方」を訊いてみた。「本物を知った上での、謙虚さが大切だね」

本物の魅力については前回の記事を参照にしていただきたい。構造にしろ、デザインにしろ、デザインと建築のプロが考え抜かれた家具に、素人がいきなり挑んでも遠く及ばない。「むしろ、プロが作らないところを狙うと面白いよ」

リビングの隅に、カーツさんが作った照明兼、眼鏡スタンドがある。ところどころに白い顔が作られている。「これは、プロが製品としてはつくらないよね。でも、だから良いんだ」

そんなカーツさんは美容師のプロ。私は常連客なのだが、一度自分で適当に切った前髪を一瞬にして見抜かれた覚えがある。美容師は皆さんご存じのとおり、免許が必要で、技術の他、流行も知っていなければならない。私がちょっとそれらしく切ってみたところで、遠く及ばないのと同じことだ。

リビングにはカーツさんが自作されたという、木のまな板が並んでいた。私は一見して、それらもデザイナーズアイテムなのかと思った。「本物を見て、日々学ぶことは多いよ」どうやら、本物のデザイン家具がセンスを養うのに、大きな手助けとなるらしい。

フィンランド人のDIY

北欧のDIY、アアルトチェアNo.60北欧のDIY、アアルトチェアNo.60

「DIYといえばアメリカ的な発想かな」とカーツさん。「作っては壊れて、また新しいのを作ろうって感じだね」それならば、長く使えるデザイン家具そのものにDIYは無縁なのだろうか。いや、そうでもないらしい。

「フィンランド人もDIYはしているよ。アアルトのスツールを自分で塗ったりしている」見せてもらったスツールNo.60のカラフルな数脚は、昔のフィンランド人がそれぞれ思い思いに塗った跡。何もゼロから全てをDIYする必要はない。構造もデザインも最適な家具に、手を加えたり、色を塗ること、時間を過ごすこと、使うこと、それぞれが広い意味で「DIY」になるのかもしれない。

私の本業はイラストレーターだ。いわば常日頃、紙やパソコンの画面上でDIYしている仕事ともいえる。もし今、原稿を書いている椅子が、仕事に最適なデザインチェアだったらどうだろうか。きっとすばらしい仕事を生むことだろう。

これは何も、自宅で仕事する人に限ったわけじゃない。「社長の椅子」より、もしかしたら人生を豊かにしてくれる「デザインチェア」の出会いの方が、大切かも知れない。

デザイン家具の今後

日本の「伝統家具」も「デザイン家具」へ日本の「伝統家具」も「デザイン家具」へ

さて、たっぷりと2回に分けてお届けしてきたデザイン家具の取材だが、最後にカーツさんにデザイン家具の今後について訊いてみた。「デザイン家具のフォルムは出尽くしていて、今は崩す方向に来ているね」

「北欧デザインは流行っているけれど、現在、作られているのが必ずしも良作とはいえないのが現状。リプロダクト、ジェネリックもそうだし、他には安い素材を使っているのもかなり多い」

つい、安易に「北欧デザイン」とひとくくりに見てしまいがちだが、家具の「構造」はまちまちなようだ。

「今後、期待するのは伝統工芸の発展形かな。何も北欧に限ったことじゃなく、日本発でもいいね」そこで、日本の伝統的な家具といえばと思いめぐらし「桐タンスとかですか」と訊いてみた。「そうだね。もし現在のデザインになったら、とてもいいと思うよ」

「フィンランドも戦後、住宅が小さくなって、それに合わせて小さな家具が作られたんだ。1950~60年代のことだね。だから、今の日本の住宅事情にマッチするんだよね」北欧ブームの秘密はひとつに、ここにあるのだろう。

そうなれば、現代が抱えている事情こそ、デザイン家具を生むきっかけになり、新たな名作に出会える日が来るかもしれない。


■参考ブログ
デザインパパこと、カーツが使う暮らしの道具
カーツさんのインテリア情報ブログ:http://desinpapa.blog.fc2.com/

2014年 09月27日 15時01分