マンションの植栽事情とは?

年々大きくなる樹木。成長に伴い課題も多いが…?年々大きくなる樹木。成長に伴い課題も多いが…?

マンション生活をおくるうえで重要な共用部。その中でも建物の外観以外にマンションの印象に影響するのが周りに植えられている植栽ではないかと思う。エントランス部分の植栽がきちんと管理されていると入居者も訪問者もマンションに対する印象がプラスになるが、逆に枯れているとマイナスな印象になることだろう。最近では植栽管理がマンション資産にも少なからず影響するということもあり、「植栽管理業」に徐々に注目が集まっている。

従来のイメージだと地元の植木職人さんが定期的に植栽を切って、“景観を維持”しているだけという印象がある。しかし、現在注目されているマンションの植栽管理業は“コミュニティ形成”と“資産価値を上げる”など+αの価値形成が加わり、ただ行うのではなくどう緑を生かして価値を向上していくかが観点になっているという。

今回、こうした価値提案をする東邦レオ株式会社に取材した。2011年にプレスタートをして、2012年から本格的にマンションの植栽管理サービスに参入。2011年にはプレスタート当初は植栽管理をするマンションが3棟。そこから約4年の現在では101棟まで数が増えている。マンションでは植栽についてどういうニーズがあり、また東邦レオは既存と違ったどういったサービスを提供するのか?色々と今回お話を聞いてみた。

立ち上げのきっかけ

今回お話を伺った東邦レオ株式会社 Green×Town事業 統括責任者の吉田啓助氏今回お話を伺った東邦レオ株式会社 Green×Town事業 統括責任者の吉田啓助氏

同社が植栽管理事業を本格的に開始したのが2012年。きっかけはその2年前のあるマンションからの問い合わせだったという。

「あるマンションの管理組合さんから、当時弊社の緑化事業部が販売していた植栽の自動灌水システムを100万円で提案してくれないかというお問い合わせがありました。その後打ち合わせをする中で、築15年のマンションだったのですが世帯の年齢層があがったことと子どもの成長によって、住民同士の会話が減りコミュニティに課題を持っているようでした。そのお話を聞いて、昔ながらのツツジなどの低木を継持するために灌水システムをつけるよりも、広場にして、そこにベンチを置いて、花壇を作って、“コミュニティ”の場として緑を生かせないか。ただ維持するのではなく作り変える提案だったため、当初の予算を大きく上回ってしまいましたが提案させていただきました。その提示額とプランを見て頂き最初はやはり『そこまで考えていない』とのことでしたが、最終的に総会で将来を考えて改修しようと言っていただき発注に至りました」

と、東邦レオ株式会社 Green×Town事業 統括責任者の吉田啓助氏は語る。築年数が経たマンションは管理費用も増加傾向にあり、どちらかと言えばこうした費用の予算を締めるイメージがあるが、実は違うという。

「当初マンションにこうした提案をしてもなかなか決まらない、まとまらないイメージがありましたが、プロセスをしっかり踏んで管理組合さんが考えている暮らし視点でしっかりと提案すると形になるんだなというのが分かりました。マンションが抱える様々な課題の中で、植栽管理に対する不満が多いのにそれに対するサービスが提供されていない。場合によっては弊社が商業ビルで培ってきた経験を生かせるのではということで、まずは2011年にプレスタートをきり、実際に2012年から本格的に事業を開始しました。」

維持ではなくコミュニティ形成を促す植栽管理サービス

植栽をただ維持するだけでなくコミュニティ活用として提案したのが事業のきっかけだったが、実はその翌年さらに“コミュニティ”を意識した出来事が起こる。2011年3月11日に起こった東日本大震災だ。

震災前後ではコミュニティに対する意識が変わり、それ以前に集合住宅ではよくある名前も顔も分からない状態では不安という声が大きくなっていった。そうした背景をふまえ入居者の声を実際聞きつつ、同社は「コミュニティ」の言葉をキーワードに植栽管理サービスを展開していくことになった。では実際どういった植栽管理サービスなのか見てみよう。

サービスプランを見てみると「基本植栽管理+コミュニティ形成」「基本植栽管理+みんなで植栽管理」「基本植栽管理」という3つのプランがある。基本の植栽管理だが、同社で特徴的なのが植木管理をする職人だけでなく、グリーンクリエイターと呼ばれるコミュニケーションが得意なスタッフも一緒に作業に参加すること。

「現場で作業をする際、基本的なことですが、きちんと挨拶をする、薬剤を植栽に散布する際には事前にお知らせするなどしっかりした対応をとらせていただくと、マンションの方に喜んでいただきます。しかし、職人さんは技術に特化しているためコミュニケーションを苦手にしている方もいます。そのため、コミュニケーションが得意で除草やお花のお手入れなどをメインにする女性中心のグリーンクリエイターも一緒に作業に参加して、お住まいの方と交流をとるようにしています」

植栽管理ともにもう一つ特徴的なのが「コミュニティ形成」。マンションのコミュニティ形成のため、デベロッパーや管理会社がマンション内でイベントを開催するケースが最近増えているが、当然イベント費用がかかる。しかし、同社が企画するイベントはマンションの敷地内の植栽の切った枝や葉を使ったクリスマスリースづくりのイベントや、居住者と除草の量を競う草取り合戦など。植栽を上手く使ってイベントを開催するため費用を掛けずに行うこともでき、その上で住民同士がうまくコミュニケーションを図れるような仕掛けなのが面白い。

左:居住者とグリーンクリエーターによる寄せ植え作業の風景<br>
右:業務内容によって職人とグリーンクリエーターを適正配置することでコストダウンが可能になるという左:居住者とグリーンクリエーターによる寄せ植え作業の風景
右:業務内容によって職人とグリーンクリエーターを適正配置することでコストダウンが可能になるという

植栽管理サービスの実態とは?

月に1回あるいは2~3カ月に1回ほど打ち合わせを行い、50日周期ぐらいで植栽管理を実施。マンション規模は平均で350戸程。植栽管理サービスで年間300万前後の予算をかけるマンションが多いという。

「弊社として外構の植栽管理事業に参入するのは初めてだったので、当初はとてもコスト面で厳しかったです。どう管理体制をとり、どうパフォーマンスをとるか?顧客や採算の事だけでなく、携わるスタッフもしんどいと辞めてしまうので、どう楽しいと思って一緒に働いてもらうか。バランスをとってやることにとても苦労しました」

こうしたサービスを展開させ管理しているマンション棟数が3棟だったところから、わずか3年で101棟と飛躍的に数を伸ばす。現在も1年間で100棟の問い合わせをもらうそうだが、そうした急成長の中で中には苦労した物件も色々とあったようだ。

次回、マンションの植栽管理の中であった具体的事例と今後のサービス展開についてふれたい。

グリーンクリエーターのメンバーの皆さんグリーンクリエーターのメンバーの皆さん

2015年 11月04日 11時08分