日々の癒しになるペット

現代人にとってストレスはもはや逃れることのできないものだ。休みの日に上手に発散しなければ、気持ちが沈んでしまう。

読書や音楽鑑賞などでリラックスするのも良い方法だが、大きなストレスを抱えているときには、それだけでは追いつかない人もいるかもしれない。そんな人にお薦めなのが動物とのふれあいだ。最近の研究で、犬や猫などの動物と触れ合うことにより、「オキシトシン」というホルモンが分泌されることがわかってきた。オキシトシンが分泌されると母乳が出やすくなることで知られているが、別名を「幸せホルモン」「愛情ホルモン」ともいい、愛情や絆に深く関連し、ストレスの軽減に大きな効果があると言われているのだ。

動物を飼っている人なら、いやなことがあっても、ペットと触れ合っていたら忘れられたという経験や、ペットに愚痴を聞いてもらった体験があるだろう。動物との暮らしは、ストレスに打ち勝つ大きな力になるのだ。

日々の癒しになるペット

マンションでペット飼育をする際の問題点

しかし、マンションやアパートは、ペット不可の物件が多く、ペット可の物件は賃料が高いケースもある。敷金も通常より高いことが多く、ペットによって部屋が傷つき、引き払うときに原状回復費用として多額を徴収されることもある。ペット可物件だからと安心して入居したのに、騒音やにおいについて近隣から苦情がくることもあるし、なかなかハードルが高いのだ。

しかしなぜ、ペット可物件は少なく、賃料が高いのだろう。
まずペットを飼うと物件に傷や汚れがつきやすいのが第一の問題だ。ペットの糞尿が壁紙や床を汚して染みになることもあるし、猫が爪とぎをして、壁や柱にひっかき傷を作ることもある。住人が退去し、新しい住人を迎え入れる際の修繕が大変なのだ。

そして新しい住人候補が動物嫌い、あるいは動物アレルギーのある場合、動物のにおいが染みついた部屋を敬遠するだろう。少しでも空室を減らしたい大家にとっては困った事態だ。
そして何より、住人間のトラブルに発展する可能性がある。隣の部屋のペットの鳴き声や走り回る音がうるさいと苦情があれば、防音材を壁に貼ったりして改装するなどの対策で、予定外の費用がかかってしまう。トラブルが原因で、住人が引っ越していってしまってはさらに問題だ。

「ペット不可」の物件でも中には、うるさくなく、においのしない、さらに部屋を汚さない動物なら飼育OKの場合もある。たとえば鳴き声の小さな鳥やハムスターなどの小動物、魚などだ。
鳥なら犬並みに飼い主になつくし、ハムスターも餌をくれる人を認識する程度の知能がある。魚ならその美しい姿が気持ちを癒してくれるだろう。

住み替えの際には「ペット可/不可」の表示だけでなく、その詳細や規約などをよく確認したい。
とはいえ手がかからないといっても生き物なので、飼育には注意しなければならないことも多い。今回は鳥、小動物、魚の飼育の注意点を見てみよう。

鳥を飼う場合の注意点

文鳥はよくなつき、飼いやすいペットだ文鳥はよくなつき、飼いやすいペットだ

鳥を飼っても大丈夫だとわかれば、小鳥専門店やペットショップで探すことになるが、どんな種類でもいいというわけではない。鳥は大きく「インコ」と「フィンチ」に分けられる。インコが大型になるとオウムと呼ばれるが、一般的にベタ慣れになる個体が多く、鳴き声が大きい。従って、外出から帰ってくると大声で呼び鳴きをし、近隣から苦情がくる可能性がある。もし可能なら壁に防音材を貼るなどの対策をしておくと良いだろう。

「フィンチ」は文鳥やカナリアなど、アトリ科の鳥を指す。雀より小さなサイズのものが多く、「チュンチュン」「チュリチュリ」と鳴き声も小さ目で飼いやすいが、小型な分、寿命は短い。オカメインコが18年ぐらい生きるのに対し、文鳥の平均寿命は8年前後とされる。

暑さには強いが、冬の寒さやエアコンの冷気には弱い種が多いので、防寒対策が必要だ。また夏の暑いさなかでも、鳥のいる部屋ではエアコンをつけられない場合があるから、それなりの覚悟が必要だろう。
また、換羽の季節には、おびただしい抜け羽根がある。毛よりも大きいので掃除はしやすいが、この時期の掃除は手抜きができないと、予め知っておこう。
ただし、鳥は一般的に病気になりにくく、餌代も安いので、飼いやすいペットだと言える。

小動物を飼う場合の注意点

ハムスターは大人しくて飼いやすいが夜行性なので寝不足になる可能性もハムスターは大人しくて飼いやすいが夜行性なので寝不足になる可能性も

ハムスターやリスなどの小動物は抜け毛がほとんどない。糞尿の量も少ないので、日々掃除をすればにおうこともなく、飼いやすいペットだ。しかし寿命の短い種が多いため、ペットロスの心配がある人には向かないかもしれない。

また、野生下のハムスターは長距離を移動するため、回し車などの運動具をケージに入れた方が良い。しかし運動具の回転音は大きいうえ、ハムスターは夜行性のため、神経質な人は寝不足になるかもしれない。また、「ネズミ算式」の言葉通り、ペアで飼うとどんどん子どもを生むし、共食いすることもあるので、一匹に一ケージが原則。多頭飼いをするなら、ケージの起き場所を確保しておこう。

リスは昼行性だが、縦方向にも移動するため一度逃げると捕まえるのが難しく、なついていない個体の場合は、ケージから出せない可能性もある。ケージから出さないと人に馴れないので、せっかくペットを飼っても触れ合えないことになる。

また、暑さにも寒さにも弱い種が多いので、年中のエアコン費用も計算に入れておこう。
近年はフェレットやハリネズミ、フクロモモンガの人気も高いが、温度管理は怠れない。またフクロモモンガは糞尿で床や柱を汚すことがあるので、長時間の放し飼いが難しい。

魚を飼う場合の注意点

観賞魚の魅力は、なんといってもその種類の豊富さだろう。色とりどりの熱帯魚が水槽を自由に泳ぎ回る姿は伸び伸びとしていて美しい。

ただし、水槽やフィルター、ヒーターやライトなどの初期費用がかかり、定期的な水の交換が必要で、カルキ抜きや水質の管理なども大変だ。
また、水中に住む生き物ゆえ、病気が発生すると伝染しやすく、病気の個体は速やかに隔離しなければならないし、水替えや水槽の掃除なども定期的に行う必要がある。初心者にはハードルが高いペットかもしれない。

どの動物にも長所短所はあるが、飼いはじめれば愛情が沸くものだ。集合住宅でも動物が飼える可能性はあるのだから、日々の癒しが欲しい方は、管理会社や大家さんに確認してみてはいかがだろう。

魚は初期費用がかかるのが難点魚は初期費用がかかるのが難点

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