どのような家電製品から発生し、健康に影響はあるのか?

左:中川尚氏。ふくろう不動産代表、宅地建物取引主任者、1級電磁波測定士、赤外線建物診断技能師。不動産会社、建築系出版社を経て米国式エージェントサービスを導入した不動産会社を設立。右:左側が電場を測る装置、右側が磁場を測る装置左:中川尚氏。ふくろう不動産代表、宅地建物取引主任者、1級電磁波測定士、赤外線建物診断技能師。不動産会社、建築系出版社を経て米国式エージェントサービスを導入した不動産会社を設立。右:左側が電場を測る装置、右側が磁場を測る装置

化学物質過敏症と同じような症状の電磁波過敏症という言葉を聞いたことはないだろうか。
電磁波とは家電製品などから発生する電気の波のことで、低周波の電磁波は「電場」と「磁場」に分けられる。
電場の強さは電圧(V・ボルト)の大きさに比例し、電源プラグをコンセントに差し込んだときに発生する。つまり家電製品などのスイッチをオフにしていてもコンセントが差し込まれていれば発生している。その際、身体の表面を覆って誘導電流をつくり出す。
磁場の強さは電流(A・アンペア)の大きさに比例し、家電製品などのスイッチを入れると発生する。すべての物質を通り抜けて熱変化を起こす。

家電のなかでも特に電磁波の発生が懸念されているものには次のようなものがある。
・電子レンジ
・パソコン
・IHクッキングヒーター
・電気カーペット、電気毛布
・電気コタツ
・マッサージチェア

では、実際に健康被害があるのかというと、医学的な証明はされていないようだ。国連も国も科学的根拠を認めていない。
しかし、逆に無害である証拠がないのも事実。実際に電磁波によって体調を崩す状態は電磁波過敏症と呼ばれ以下のような症状が報告されている。

・目がうずく
・鼻づまり
・皮膚のかゆみ、湿疹
・吐き気
・頭痛
・体のだるさ

このような背景から全国電磁波測定士協会では電磁波の基準値を定めている。
・電場 床および高さ1m以下の壁面で25V/m(ボルト・パー・メーター)未満
・磁場 床および3面の壁面で幹線からの距離が60㎝以上の居室で3mG(ミリガウス)未満

電場なら25V/m未満、磁場なら3mG未満が安全圏ということだが、測定器を持たない一般家庭では、それがどれくらいのものか分からないだろう。
そこで株式会社ふくろう不動産代表の中川尚氏(千葉県千葉市)の協力を得て、筆者宅の電磁波を測定することにした。

基準値を大きく上回る電子レンジ。だが離れれば問題なし

稼働している電子レンジの周辺は非常に磁場が高い。しかし、1m程度離れれば基準値以下になる稼働している電子レンジの周辺は非常に磁場が高い。しかし、1m程度離れれば基準値以下になる

まず気になる電子レンジから。電子レンジは電磁波がその振動によって摩擦を起こし、熱を作り出す調理器具だ。そのため家電のなかでも特に磁場の発生が多いといわれている。

実際になかに食品を入れた状態で稼働させ、本体から10㎝程度離れた場所の磁場を測ってみると、その数値は9.4mG。たしかに基準値を大きく上回っていた。
ところが約1m離れると数値は2.21mGで基準値内に。磁場は発生源から離れるほど弱まっていくのだ。

異常な数値を見せた水槽ポンプ。中の熱帯魚は大丈夫か?

極端に磁場が高かった水槽ポンプの周辺。しかし中の熱帯魚は長生きしている極端に磁場が高かった水槽ポンプの周辺。しかし中の熱帯魚は長生きしている

続いてたまたま電子レンジのそばにあった熱帯魚の水槽ポンプを測ってみた。その数値は378mG。基準値の120倍以上。中川氏も、はじめて見る高い数値だと言っていた。しかも水槽のポンプは24時間、365日まわしっぱなし。筆者は今のところ何の健康被害もないが、気にならないといえば嘘になる。とはいえ、電子レンジ同様に1mくらい離れれば基準値以下になった。日常生活では問題なさそうだ。

水槽の中にいる熱帯魚の健康被害も気になるが、電磁波は水中では伝わりにくくなるのだろうか、飼育している熱帯魚の中には12年生きているものもいる。こちらも心配することはないかもしれない。

ノートパソコンの電場はACアダプタを抜くことで減少

ノートパソコンの周辺は、ACアダプタを抜くと、一気に電場の値が下がったノートパソコンの周辺は、ACアダプタを抜くと、一気に電場の値が下がった

次はノートパソコン。筆者は毎日スイッチを入れっぱなしで10時間前後触っているので一番気になっていた。
こちらは電場を測ってみると300V/m。基準値の12倍。やはり非常に高い。ところがACアダプタを本体から抜くと180V/mに。基準値よりも高いが半分近くに減った。
「ノートパソコンはアダプタを外して充電済みで使用すれば電場が弱まります」(中川氏)。

ちなみに手の平に測定器を当て、もう片方の手でパソコンに触ると数値が2倍近くに跳ね上がった。電場は発生源に触れることで身体に伝わるのだ。

自宅に引き込まれる電線の近くは電磁波が高い

筆者宅の寝室は、たまたま電場が低かったが、電線の位置などで高くなる可能性あり筆者宅の寝室は、たまたま電場が低かったが、電線の位置などで高くなる可能性あり

最後に寝室のベッドの電場を測ってみた。寝室は1日の中で特に長くいるので、やはり気になる場所だ。
結果は3V/mでまったく問題なし。ほっとしていると中川氏が窓から顔を出し、何かを探していた。
「電信柱から外壁に引き込まれる電線の近くは磁場が高いのです。だからその壁の近くにベッドを置くなら、壁から30㎝以上離すことをおすすめします」(中川氏)

私も窓から顔を出すと、幸いベッドと電線が引き込まれる壁は3m以上離れていた。

そのほかにリビングやキッチンも測定してもらったがすべて低い数値だった。高い数値を示したのは電子レンジやパソコンなど電気製品周辺のみ。

測定終了後、中川氏に普段の生活で可能な限り電磁波を減らす方法を聞いた。おもなものは以下になる。

1.電子レンジ稼働中は1m以上離れる
2.ノートパソコンはACアダプタを外し、充電済みの状態で使用する
3.デスクトップパソコンは電源ケーブルのアース線をコンセントのアースネジに差し込んでおく
4.電線が引き込まれている外壁からベッドや布団は30㎝以上離す
5.電気カーペットなど体に触れやすい電気製品は、使用時以外には電源プラグを外しておく

なお、インターネットなどで検索すると電磁波をカットするグッズがたくさん見つかる。しかし実際の効果は玉石混淆だそうだ。性能を裏づけるデータなどをしっかり確認してから購入したい。

取材協力:ふくろう不動産 http://296fd.co.jp/

2014年 12月08日 11時41分