リニア開業で、「名古屋駅」はどう変わる?

▲3つの高層ビルプロジェクトが進む名古屋駅の“表玄関”桜通口。
駅前の通りは交通量が多く、歩行者よりも車優先の駅前空間となっている▲3つの高層ビルプロジェクトが進む名古屋駅の“表玄関”桜通口。 駅前の通りは交通量が多く、歩行者よりも車優先の駅前空間となっている

今、名古屋駅前では、「大名古屋ビルヂング」など、3つのビルの建て替えが行われ、2015年~2017年にかけて竣工が予定されている。
※名古屋駅前3つのビル建て替えの詳細は
【「大いなる田舎」からの脱却!名古屋駅前同時再開発で大都市に生まれ変わる?!】


2027年度には、東京~名古屋間を約40分で結ぶリニア中央新幹線も完成予定で、新たなる大都市へと、大きく変貌を遂げている最中だ。

そこで名古屋市でも、リニア開業を見据えた概ね15年後を目標に、
行政と民間が連携した名古屋駅前のまちづくりに注力。
“名古屋大都市圏”の玄関口にふさわしい風格と賑わいのある駅・駅前空間を目指す、
『名古屋駅周辺まちづくり構想』の素案を、2014年3月に発表した。

目標は、『世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ』!
リニア開業後の“夢の名古屋駅前像”に迫ってみたい。

リニアで来訪する人の心に残る、名古屋駅の“顔”づくり

▲駅前に、緑の木陰で集い憩える広場ができるかもしれない!? 広々とした心地よい空間が生まれれば、待ち合わせも楽しくなりそうだ(素案より抜粋)▲駅前に、緑の木陰で集い憩える広場ができるかもしれない!? 広々とした心地よい空間が生まれれば、待ち合わせも楽しくなりそうだ(素案より抜粋)

さて『名古屋駅周辺まちづくり構想』とは、いったいどんなものだろうか?
名古屋市 リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室の加藤慶一郎さんに話を聞いた。

「名古屋駅周辺のまちづくりには、国や県、鉄道事業者、百貨店やビルなどの民間事業者、地元まちづくり団体など、多種多様な主体との連携が不可欠です。そこで、リニア開業に向けて、行政と民間が一丸となってまちづくりを進めるための『共通目標』を明らかにするために、同構想を策定することになりました」(加藤さん)

同構想を簡潔に説明すると、大きく4つの方針からなっている。
方針1)“名古屋大都市圏”の玄関口にふさわしい、ビジネス拠点・交流拠点の形成
方針2)誰でも使いやすい、国際レベルのターミナル駅をつくる
方針3)城下町から高層ビルまで多様なまちの魅力を育てる(駅から回遊してもらう)
方針4)行政と民間が一丸となって、着実に構想を実現する

ところで、名古屋駅を訪れた人はよく分かると思うが、
駅東西ともに、駅前広場に出て、まず目に入るのは「タクシー乗り場」。
駅周辺を回遊することなく、さっとタクシーに乗り込めるため、
「名古屋駅前の印象はあまりない…」という声も少なくない。

「まず方針1として、“名古屋大都市圏”の拠点・顔づくりを目指します。
現在、“人が憩える広場空間の不足”が課題として上がっていますので、休憩や待ち合わせに利用できる“滞留空間”を確保する案があります。渋谷駅前のような賑わいを感じられる広場をイメージした空間づくりや、名駅通などで歩行者空間を拡充し、歩いて楽しめる空間づくりといった案が盛り込まれています」(加藤さん)

リニアの高速移動で素通りされないためにも、まずは玄関口の整備が重要といえる。
この方針1が進めば、乗り換え・買い物といった実用性だけでなく、
ときめきと名古屋らしさを加えた、“心にインパクトを残す!”名古屋駅が叶いそうだ。

乗り換え明快! 国際レベルのターミナル駅のアイデアとは?

他地域から来た人はもちろん、地元の人でも少々苦労するのが、
各鉄道会社の駅が複雑に入り組んだ、名古屋駅の乗り換えだ。

JR在来線を真ん中に、駅の東側では「名鉄」「近鉄」「地下鉄」、西側は「東海道新幹線」「あおなみ線」が乗り入れている。各鉄道会社ごとに改札は別であり、乗り換え動線に段差や階段が多いのも、荷物の多い旅行者にネックとなっている。また、リニアの新駅は名古屋駅の北側の地下に予定され、少々移動距離がありそうだ。

現在の複雑な乗り換え動線を分かりやすくするために、同構想の方針2では
『(仮称)ターミナルスクエア』の設置が検討されている。
「『ターミナルスクエア』とは、フロアをぐるりと見渡せば、乗り換え先が一目で分かる広場空間をイメージしています。さまざまな階層に分かれた各交通施設の主要な乗り換え動線には、エスカレーターやエレベーターで上下移動できるようにするなど、初めて名古屋に来た方や外国の方にも、利用しやすくなればと考えています」(加藤さん)

また、駅の東側と西側の2か所に『(仮称)ターミナルスクエア』を設置してコンコースで結ぶことで、両側のまちをつなぐ効果もありそうだ。
「歩行者が回遊しやすくなれば、より賑わいを創出できるメリットがありますね」(加藤さん)

▲分かりやすい乗り換え空間の一例。上が「金山総合駅」、下が「中部国際空港セントレアアクセスプラザ」。
どちらも1フロアを見渡せば、乗り換え先が分かるようになっている(素案より抜粋)▲分かりやすい乗り換え空間の一例。上が「金山総合駅」、下が「中部国際空港セントレアアクセスプラザ」。 どちらも1フロアを見渡せば、乗り換え先が分かるようになっている(素案より抜粋)

首都圏のベッドタウン化でなく、目指すのは「逆ストロー現象」!

▲「名古屋市 リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室」の加藤慶一郎さん。「6月にパブリックコメントを実施します。ぜひさまざまなご意見をお寄せください」▲「名古屋市 リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室」の加藤慶一郎さん。「6月にパブリックコメントを実施します。ぜひさまざまなご意見をお寄せください」

『世界に冠たるスーパーターミナル・ナゴヤ』を目指して、壮大なプランを打ち出している『名古屋駅周辺まちづくり構想』だが、今回ご紹介した「素案」は、あくまで案であり、すべて叶えるには、それ相応の財力と尽力が必要である。

もちろん、絵に描いた餅で終わるのではなく、
今後は、6月に「パブリックコメント」を実施して市民の意見を幅広く募り、秋には策定を目指していく。
「策定後は、期間の約半分である2020年度までに計画・調整を行い、その後2027年の実現に向けて事業を進めていきたいと考えています」と、加藤さんは力強く語る。

「リニア開業により、名古屋では、首都圏に人や資本などが吸い取られる『ストロー現象』が起きるのではと言われていますが、行政と民間が一丸となることで、名古屋のまちの魅力を高め、首都圏からも人を呼び込むことができるようにしていきたいですね」(加藤さん)

リニアが開業すれば、東京までわずか40分。
でも首都圏と一体化して、名古屋としての色を失うのではなく、
『オリジナリティ』を強めることで、名古屋へ「訪れる楽しみ」「住まう喜び」を高めていく。
リニア開通後、名古屋がどんな存在感を示しているのか、人の流れがどう変わるのか、
ぜひ注目し続けたい。

次回は、名古屋全体を盛り上げる取組みとして、
名古屋駅から、栄や大須、名古屋城エリアに回遊を促すための構想についてご紹介したい。

名古屋駅周辺まちづくり構想 素案

2014年 06月05日 11時58分