自宅を共同所有する「共有」の特徴

いよいよ2015年1月1日に相続税が改正され、これまで相続税とは縁が無かったが関心を持ち始めたという人も多いのではないだろうか。しかし相続税がかかろうとかかるまいと、相続人が複数いる場合は遺産の分け方が非常に重要なポイントとなる。遺産の全てが金融資産であれば分割は比較的容易だが、不動産がほとんどの場合などは単純にいかない。
そこで前回、「現物分割」「代償分割」について説明した。今回は、「自宅を残す」選択肢のうちの「共有」と、自宅を売却する「換価分割」について説明したい。

共有とは、たとえば相続人が兄弟2人の場合、それぞれ自宅の持分を1/2ずつにし、共同で所有するということである。この場合、自宅を利用している相続人は居住を継続することができるというメリットがあるが、もう一方は自宅を利用できないこと、および将来お互いが合意して売却するまで、また共有者の一方に持分を買い取ってもらうまで実質的に財産を取得できないこととなる。
当然、一方が売却、また、持分の購入を拒めば事実上換金化はできない。また、どちらか一方に相続が発生した場合は、その夫や妻である配偶者や子である甥姪などが自宅の共有持分を相続することとなり、更に関係者が増えること、また関係が遠くなることにより意見調整が難しくなることとなるので、兄弟間による自宅の共有は一見、公平に見えるが決して望ましい分け方とは言えない。
なお、自宅を売却してお金で分けることがあらかじめ合意されている場合は、自宅を一旦共有で取得し、共有持ち分に応じて売却代金を分けるという方法がとられることが多い。

自宅の共有自宅の共有

自宅を売却してお金で分ける「換価分割」の特徴

現物分割も代償分割も難しい場合は最終的に自宅を売却してお金で分けることを検討しなければならなくなる。
自宅を売却してお金で分ける方法は一番わかりやすく明瞭だが、この場合、売却のプロセスに全員が合意しなければ納得した分け方は難しくなる。前述したが不動産は個別性が強く、且つ相対取引である。したがって希望する価格で売却できるかどうかは購入希望者が現れてみないと分からないのが現実である。
例えば相場を調べて自宅を5,000万円で売りに出したとしよう、1か月後に4,800万円で購入希望者が現れたが、相続人の一方が「この価格では売却しない」と主張し、もう一方は「この売却で売却してもいい」と意見が分かれることもある。意見調整がつかず、一旦売却を見送ったものの3か月後には業況が悪化し4,800円どころか4,500万円でしか買い手が見つからないことも現実にはありうる。よくよく相続人全員が専門家と相談しながら売却を進めないと目論んだ価格、本来売却できたであろう価格との差をめぐってトラブルになることもあるので注意が必要だ。

なお、相続人が換価分割に合意している場合でも、親の名義の状態では自宅を売却することができないため、遺産分割手続きにより相続人の共有名義にしてから売却し、売却代金を持分に応じて取得する方法、あるいは相続人1人の単独名義にしてから売却し、売却代金の一部を代償金として他の相続人に支払う方法のいずれかの方法がとられる。

換価分割換価分割

お互いを尊重して譲り合うのが円満相続

以上のように自宅の分け方とポイントについて説明したが、特に不動産については万能な分け方はないのが現実である。遺言があれば相続手続き上の問題を未然に防ぐことも可能だが、遺言も必ずしも万能とは言えない。

遺産分割に関する紛争は年々増加傾向にあり、家庭裁判所に申し立てられた遺産分割調停の件数は平成25年では12,000件を超え、その7割以上が財産額5,000万円以下の争いとのことだ。しかもこれは家庭裁判所に調停を申し立てられた件数、いわば揉めに揉めて当事者では解決できなかった件数なので裁判所の関与まではいかなくても遺産分割で揉めている件数はこの数倍あると思われる。
権利意識の高まりや核家族化などが背景にあると思われるが、どのような方法で遺産を分けるにしても、いかに相続人同士が互いを尊重し、譲り合うかが一番大事なポイントなのはいうまでもない。

特に不動産については万能な分け方はないのが現実である。</br>遺言があれば相続手続き上の問題を未然に防ぐことも可能だが、遺言も必ずしも万能とは言えない。</br>いかに相続人同士が互いを尊重し、譲り合うかが一番大事なポイントなのはいうまでもない特に不動産については万能な分け方はないのが現実である。
遺言があれば相続手続き上の問題を未然に防ぐことも可能だが、遺言も必ずしも万能とは言えない。
いかに相続人同士が互いを尊重し、譲り合うかが一番大事なポイントなのはいうまでもない

2015年 02月24日 11時04分