形だけの「サムライ」

宅地建物取引主任者の名称を「宅地建物取引士」とする宅建業法一部改正案は、6月18日(水)参議院本会議で審議、原案通り可決された宅地建物取引主任者の名称を「宅地建物取引士」とする宅建業法一部改正案は、6月18日(水)参議院本会議で審議、原案通り可決された

「宅地建物取引主任者が、形だけ士業となったところで、何の意味があるでしょうか」

私の周囲ではこうした意見が大半だが、皆さんはどうお考えだろうか?
かくいう私も宅地建物取引主任者だが、業界の現状を踏まえれば、このままでの「士業成り」は恥ずかしい限りで、まったく嬉しくはない。

仮に士業化するなら、最低でも次にあげるような資格の高度化・厳格化とセットであるべきだと考えるためだ。

宅建主任、「士業」になる要件

1.物件情報の囲い込みを具体的に禁止、罰則強化する

改正宅地建物取引業法には第15条に「購入者の利益の保護や円滑な流通に資するよう高生活誠実に…」とある。また「宅地建物取引士は、信用または品位を害するような行為をしてはならない」とした(15条の2 信用失墜行為の禁止)も盛り込まれている。

物件情報の囲い込みはこれに該当するはずだが、この行為を具体的に指摘し罰則規定を設けるのがよい。

2.試験を高度化する

試験の根本的な見直しが必要だ。高度化しすぎた民法などは実務レベルに必要な程度にまで容易にし、建物、とりわけ中古住宅に関するリテラシーを高めるよう意図すべきだろう。

3.更新要件を厳格化する

5年に一度、ごく簡単な研修を受ければ良しとする現行の更新要件では、スキルは到底維持できない。講習を年に数時間、試験に合格しなければ更新できないといった制度に改めるべきだろう。改正宅建業法には(15条の3 知識及び能力の向上)といった条文がある

4.店舗あたりの有資格者を5人に1人-3人に1人とする

一定の猶予期間を設け、最終的に有資格者だけが不動産取引に携わることができる、としたい。現在は1店舗につき、5人に1人有資格者がいれば良いことになっているが、これを3年後に3人に1人、5年後には全員取得を義務化するなどの工程表を設けるのがよいだろう。

宅建主任士がいらなくなる日

いつしか物件情報の囲い込みができなくなり、一般ユーザーのリテラシーが上がり、取引の仕組みが整備されてしまえば、不動産営業の価値に焦点があたることになろう。例えば「仲介手数料を払う意味があるのか」「3パーセントの価値がどこにあるのか」ということを、ユーザーが考えるようになるだろう。

ドイツでは不動産エージェントを介した取引は全体の半分以下に過ぎない。その多くは口コミ、あるいは売主個人が広告を行い、個人間で取引が成立してしまう。これは不動産取引に社会的な地位の高い公証人が関与するなど、取引に必要な一連の仕組みが整備されているため。口コミなどのネットワークがない場合などに、仕方なく仲介手数料を払ってエージェントに依頼をする。

このままでは、いつか不動産営業はいらなくなってしまう可能性もある。新住宅情報データベースをはじめ取引の仕組は我が国でも整備されつつある。個人向けのエスクローサービスもやがて登場するだろう。そのときに堪えられる仕事をしている不動産仲介エージェントは、全体の何パーセントだろうか?

不動産仲介業は、前述した資格の高度化によって優秀な人材が残る・集まる状況を創り、憧れの職業の一つに数えられることが重要だ。

不動産仲介業は、優秀な人材が残る・集まる状況を創り、憧れの職業の一つに数えられることが重要だ不動産仲介業は、優秀な人材が残る・集まる状況を創り、憧れの職業の一つに数えられることが重要だ

2014年 07月18日 12時05分