毎年15名前後が死亡する蜂刺され

普段、野外にいて気になるもののひとつに蜂刺されがある。蜂に刺されると激痛に苦しめられるだけでなく、場合によってはアナフィラキシーショックと呼ばれるアレルギー反応によって呼吸困難や意識障害などが発症し、命の危険に晒されることもある。実際に日本において蜂刺されによる死亡者は毎年出ており、その数は15名前後で推移している。

人を刺す蜂はおもにスズメバチとアシナガバチだが、特にスズメバチは攻撃性が高く、刺されると重篤な状態になるケースも少なくない。スズメバチ被害のほとんどは4月から11月にかけて発生している。なかでも9月から10月は巣の大きさが最大になるため、被害件数も増える傾向がある。

蜂は都市部でも見かける一般的な昆虫だ。それゆえ誰にとっても注意するべき存在といえるだろう。そこで公益社団法人 東京都ペストコントロール協会への取材内容などを基に、蜂刺されの予防と巣の駆除方法などを解説する。

蜂刺されによる死亡者は毎年15名前後出ている(厚生労働省「人口動態調査」を基に作成)蜂刺されによる死亡者は毎年15名前後出ている(厚生労働省「人口動態調査」を基に作成)

日本でよく見かける蜂の種類

オオスズメバチは世界最大のスズメバチだ。危険性もトップクラスといえるオオスズメバチは世界最大のスズメバチだ。危険性もトップクラスといえる

日本でよく見かける蜂は以下の5種類だ。

オオスズメバチ

働き蜂の体長27~40mm。攻撃性が非常に高く、巣の駆除も極めて難しい。営巣場所は土中などの閉鎖空間を好む。

その他のスズメバチ類(キイロスズメバチやチャイロスズメバチなど)

働き蜂の体長22~28mm。攻撃性が高く、巣の駆除も難しい。営巣場所は樹木の枝や軒下などの開放空間を好む。

アシナガバチ類

働き蜂の体長16~22mm。スズメバチほど攻撃性は高くないが、追い払ったりすると刺すことがある。巣の駆除も難しい。営巣場所は屋根の下や窓枠などを好む。

ミツバチ

働き蜂の体長10~13mm。営巣場所として樹木の洞や建物の屋根裏、壁の中などを好むため、巣の駆除は難しい。ほかの蜂と異なり越冬する。

クマバチ

女王蜂、働き蜂という区別はない。体長は22mm前後。攻撃性はあまりない。営巣場所としては建築木材や枯れ木などに巣穴を掘ることが多いが、人間にとってあまり問題にならない。

おもな蜂の営巣場所と気をつけるべき服装など

オオススメバチなどは土の中に巣をつくることもある。発見したらすぐに専門事業者へ相談したい(出典:東京都ペストコントロール協会HP)オオススメバチなどは土の中に巣をつくることもある。発見したらすぐに専門事業者へ相談したい(出典:東京都ペストコントロール協会HP)

住宅周辺におけるおもな蜂の営巣場所には以下のようなところがある。

・天井裏
・軒下
・サッシ枠
・壁面
・床下
・植え込みの中
・土中


このように、家の周りのあらゆる場所に巣を作られる可能性がある。特に植え込みの中や土中は、通常あまり目に入らないので、定期的にチェックしたい。


また、蜂がいそうな場所に行く際は、次のようなことに気をつけたい。

・服装は明るい色にする(白が理想、黒は避ける)
・帽子をかぶり、肌は露出させない
・香水やヘアトニックなど香りの強いものはつけない(蜂を刺激する)
・蜂の巣を刺激しない(冬の巣に蜂はいないので春から秋)
・蜂が近づいてきたら早くその場を離れる


なお、蜂に虫除け剤は効かない。

蜂に刺された際の症状と対処法

もし蜂に刺されてしまった場合は、それがアシナガバチだったとしても油断してはいけない。対処法は以下を参考にしてほしい。

1.蜂を刺激しないようにそっとその場から離れる
2.刺された患部の毒液を水でよく流す(ポイズンリムーバーがあれば、それで毒液を吸い出す)
3.患部に虫刺され薬(抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏)を塗る
4.濡れたタオル等で冷やして安静にする

ポイズンリムーバーがあれば遅くとも2分以内に使用すると効果的ポイズンリムーバーがあれば遅くとも2分以内に使用すると効果的

刺された当初は、腫れ上がって激痛やかゆみを感じるが、大体は数十分から数日で腫れは引いて行き、痛みやかゆみも治まっていく。ただし、呼吸困難、吐き気、腹痛、めまい、動悸、だるさ、意識混濁といった症状が生じた場合はアナフィラキシーショックの可能性があるので、すぐに救急車を呼ぶべきだ。特に蜂に刺されたのが初めてではない人は、アナフィラキシーショックを起こす可能性が高くなっているので注意したい。

なお、患部にアンモニア(尿)をかける、口で毒液を吸い出すといった対処法は、逆効果なので絶対にしてはいけない。

ポイズンリムーバーがあれば遅くとも2分以内に使用すると効果的チャイロスズメバチに刺された直後の手(右側)。激痛が丸1日続き、腫れは3日ほど引かなかった

蜂に巣を作らせづらくする方法

蜂の巣の駆除は、危険を伴うので基本的には専門事業者に依頼したい。だが、一般人でも普段からできる蜂被害の防除方法はある。

まず、そもそも家の周りで巣を作らせづらくする方法。冬眠明けの女王バチは1匹で巣を作りはじめる。そのため、4月に入ったら軒下、窓下など巣の作りやすい場所に木酢液をスプレー噴霧すると蜂が近寄りづらくなり効果的だ。それでも作られてしまう可能性はゼロにはならないので、ゴールデンウィーク頃に家全体を点検し、早めに巣を発見すると駆除は容易になる。また、冬期に巣を発見したなら、そこに蜂は住んでいないので念のため注意しながら駆除しても問題ないはずだ。

繰り返しとなるが、冬期以外の蜂の巣駆除は、専門事業者に依頼するのが基本だ。ただし、駆除業は免許や認可などが不要な事業なので技術や経験の差が大きい。そのため、依頼を検討する際は、慌てず複数の事業者から見積もりを取って、内容と同時に口コミ・評判などを比較することが重要だ。明らかにほかより安価な事業者は、その理由も確かめたい。「スズメバチだから」「巣が高所にあるから」といった理由で、後から追加料金を請求された事例もある。


■取材協力
東京都ペストコントロール協会

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