1990年後半をピークに下がり続けている住宅ローン金利
住宅を購入する際、多くの人は住宅ローンを利用する。そのとき悩んでしまうのが、変動金利にするか、固定金利にするかだろう。
住宅金融支援機構の資料によると、民間金融機関の住宅ローンの変動金利は、1990年後半の8.5%をピークに下がり続け、ここ10年以上2.5%(基準金利)を切る水準となっている。一方で固定金利は、ここ最近3.5%(基準金利)前後だ。仮に3,000万円の住宅ローン(元利均等・返済期間35年)を組んだ場合、金利2.5%なら月々の返済額は10万8,000円、総返済額は4,505万円。それが3.5%になると月々の返済額は12万4,000円、総返済額は5,208万円になる。毎月1万6,000円、トータル約700万円も返済額が少なくなるなら変動金利を選ぶのが人情というものだろう。しかし、変動金利はいつ上昇するのか誰にも分からない。それが怖くて固定金利を選ぶのも人情だ。ならば、実際には変動金利と固定金利のどちらを選ぶ人が多いのか。その他の情報も含め、国土交通省の『令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』のデータを基に紹介しよう。
まだまだ根強い新築信仰
『令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』は、都市銀行、信用金庫、保険会社など全国約1,250の民間金融機関を対象に、住宅ローンに関するさまざまな調査を行った結果だ。調査期間は2021年10月から11月となっている。ここでは、その中の一部である「新規貸出額」「新規貸出額の使途別割合」「新規貸出額における各金利タイプの割合(変動、固定等)」「固定金利期間別の割合」「融資審査の項目」などから住宅ローン利用者の実態と今後の住宅ローンの傾向を考えてみたいと思う。
新規貸出額
2021年度の新規貸出額は19兆8,137億円で、前年比7,305億円減少している。業態別の新規貸出額では、都市銀行(信託銀行含む)と地方銀行がトップ2。前者が6兆6,718億円、後者が5兆5,169億円となっており、3位の第二地方銀行(1兆3,811億円)を大きく引き離している。
新規貸出額の使途別割合
新築、既存(中古)、借換の使途別割合では、新築が圧倒的に多く前年比1.5ポイント増の74.4%となっている。最近は、中古住宅を新築のような内外装に生まれ変えさせるリノベーションが流行っているが、まだまだ新築信仰は根強いようだ。ただし、既存の割合も年々上がっており、3年前(2017年)から1.5ポイント増加している(18.4%→19.9%)。これは借換の割合が減っているということだ。具体的には2017年度では12.6%だったが2020年度には5.8%と半減している。その理由は明記されていないが、すでに低金利でローンを組んだ人が多く、借換をするメリットが薄いということかもしれない。
やはり変動金利を選ぶ人が圧倒的に多い
新規貸出額における各金利タイプの割合(変動、固定等)
さて、変動金利と固定金利のどちらを選ぶ人が多いのか。やはり金利の低い変動金利が圧倒的に多く、70.0%となっている。2位は2年、3年など当初の金利が固定されている固定金利期間選択型だ(16.6%)。変動金利の人気は年々高まっており、前年から約7ポイントも上昇している。固定金利型は、フラット35などの証券化ローンも含め、おしなべて半減といった状況だ。
固定金利期間別の割合
では、2位の固定金利期間選択型の中では何年固定を選んでいるのかを見てみよう。もっとも割合が多いのは10年固定で50.5%となっている。これは「全期間固定よりも低金利にしたいが、固定期間が短いのはリスクが高い」と考える人が多いということだろう。とはいえ、より低金利な短期固定のタイプもここ数年急増しており、2016年度は固定2年が4.9%、固定3年が14.7%だったのに対し、2020年度はそれぞれ11.6%、28.1%と倍増している。
最重視する審査項目は金融機関によって異なる
融資審査の項目
住宅ローンの審査方法を熟知している人は少ないはずだ。特に審査項目が気になる人は多いのではないだろうか。実はこの項目は、どこの金融機関でも毎年ほぼ変わらない。今回の調査では、以下の上位9位について9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。
1位「完済時年齢」(98.9%) 2位「健康状態」(98.5%) 3位「担保評価」(97.6%) 4位「借入時年齢」(97.1%) 5位「年収」(95.0%) 6位「返済負担率」(94.6%) 7位「勤続年数」(94.5%) 8位「連帯保証」(94.5%) 9位「金融機関の営業エリア」(92.2%)
1位「完済時年齢」(98.9%)、2位「健康状態」(98.5%)、4位「借入時年齢」(97.1%)ということから住宅ローンを組むなら若いうちの方が有利なことがうかがえる。また、コロナ禍に入った2020年度(令和2年度)以降は、「返済負担率」「業種」「所有資産」「雇用先の規模」の割合が増加している。より厳しい目で見られるようになったということだろう。
以上が住宅ローン利用者の実態を表すおもなデータだ。日本銀行の黒田総裁は、4月18日の決算行政監視委員会で、現在の金融緩和(政策金利の引き下げ等)を続ける姿勢を強調した。したがって今後も低金利が続くはずなので、変動金利を選択する人が増える傾向は変わらないだろう。また、融資審査に関しては、金融機関によって最重視する項目が異なる。1つの金融機関がダメだからといって諦めずに、複数の金融機関に申し込むことをお勧めする。
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