東京湾北部地震は発生すれば液状化被害は3.11の2倍以上

東日本大震災では、東京湾周辺を中心に液状化被害が目立った。液状化は建物が傾き、倒壊するといった被害のほか、下水管の破損などライフラインにまで影響する。そのため今後発生すると懸念されている首都直下型地震を心配する人は多いだろう。

内閣府によると、1923年の関東大震災クラス(マグニチュード7.9)の地震は200年から300年間隔で発生しており、今後100年以内に起こる可能性はほとんどない。しかし、この間にマグニチュード7クラスの地震は数回発生しており、その首都直下型の確率は30年以内に70%としている。

また、東京都では東京湾北部にマグニチュード7クラスの地震が発生した場合の液状化被害想定を以下のように発表している。

全壊棟数―1134棟
半壊棟数―6万3045棟

東日本大震災の液状化による住戸損壊等が約2万7000棟(国土交通省都市局の調べ)なので、いかに甚大な被害が想定されているかが分かる。

このような背景から東京都は今年(2014年)5月1日に「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」を開設した。「液状化現象とは何か」、「液状化の可能性を調べる」、「液状化対策」、「相談窓口」といったことをくわしく紹介、解説している。

この中でも特に自分が住んでいる場所、住みたい場所の液状化の可能性について気になる人は多いのではないだろうか。だが、残念ながら同サイトの液状化の可能性を調べる方法は慣れないと難しい。そこでここではその方法を紹介しよう。

「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」のトップ画面。「液状化はなぜ発生するのか?」といった基礎知識からその対策、相談窓口までくわしく紹介、解説している「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」のトップ画面。「液状化はなぜ発生するのか?」といった基礎知識からその対策、相談窓口までくわしく紹介、解説している

過去の地図を重ね合せて液状化の可能性を探る

同サイトで紹介する液状化の可能性を調べる方法は、以下の3つだ。

・東京の土地履歴マップ
・東京の地盤(ボーリング柱状図)
・東京の液状化予測図

●東京の土地履歴マップ
気になる地域の明治時代から昭和10年前後、30年前後、60年前後、平成23年前後までの地図を確認できる。
画面右側の表示項目で操作が可能。「地歴情報」で表示する年代を指定でき、透明度をスライドさせることで平成23年の地図と重ね合せることができる。その際に過去が水田や河川だったといったことが分かれば液状化しやすいのではないか、といった予想ができる。
また、「土地条件図」にチェックを入れれば、対象の土地の「人工地形―盛土地・埋立地」といった地形分類が分かる。

明治以降の古地図と現在の地図を重ねたり、埋立地といった地形分類を知ることで液状化の可能性を探ることができる明治以降の古地図と現在の地図を重ねたり、埋立地といった地形分類を知ることで液状化の可能性を探ることができる

気になる地域のN値(地盤の強度)を確認する

●東京の地盤(ボーリング柱状図)
地盤調査(ボーリング調査)資料を見ることで、調べたい土地の地盤の地層構成や各地層の硬軟、地下水位などを確認できる。

画面を開くと、まず23区内でボーリング調査をした地点が黄色い点で表示される。しかし、この時点ではどの点がどの地域なのか分かりづらい。そこで画面左上の選択項目の家型のアイコンをクリックし、地域を絞り込んでいく。丁目まで絞り込めたら今度は矢印のアイコンをクリックし、次に調べたい地点をクリック。すると左下にボーリング番号と赤い丸が表示される。この赤い丸をクリックすると詳細なデータの画面が開く。

この画面では、対象となる地点の深さごとの土質やN値が分かる。N値とは地盤の強度を表す数値だ。数が多いほど強度が高いということになる。
このような調査結果を見ても素人にはほとんど分からないはずだ。そのためこの画面で最低限把握したいのは、N値を表す深さごとの○印の位置だ。右側、つまり50に近いほど地盤が強い。逆に○印が左側に集中していたら、地盤改良などの対策が必要になるかもしれない。

上画像:23区内でボーリング調査をした地点が黄色い点で表示される。画面左上の選択項目で地域を絞り込むといった操作が可能。下画像:ボーリング調査の結果データ。地盤の強度を表すN値などが分かる。N値の数値が大きいほど強い地盤ということになる上画像:23区内でボーリング調査をした地点が黄色い点で表示される。画面左上の選択項目で地域を絞り込むといった操作が可能。下画像:ボーリング調査の結果データ。地盤の強度を表すN値などが分かる。N値の数値が大きいほど強い地盤ということになる

色分けによって液状化の可能性を把握できる地図

●東京の液状化予測図
上記の地歴、ボーリング調査の結果などをもとに、総合的に判断した液状化の予測図だ。同サイトには、その根拠となる詳細なデータも数多く用意されているが、まずは「予測図のみ」をクリックし、気になる地域の状態を確認したい。
最初は23区全体が表示されるので、画面左上の家型アイコンをクリックし、地域を限定。すると絞り込まれた地図が以下のように色分けされる。

ピンク―液状化の可能性が高い地域
黄色―液状化の可能性がある地域
緑―液状化の可能性が低い地域

液状化の可能性を色分けして表示。ピンクが液状化の可能性が高い地域。
黄色が液状化の可能性がある地域
緑が液状化の可能性が低い地域液状化の可能性を色分けして表示。ピンクが液状化の可能性が高い地域。 黄色が液状化の可能性がある地域 緑が液状化の可能性が低い地域

東京都は液状化に関する無料相談窓口を創設

以上のように気になる土地の液状化の可能性を知るには便利なサイトだ。しかし、これらはあくまで目安。地盤の状態は数メートルずれるだけで変化するので、ピンポイントで知るには、やはり地盤調査会社に調査を依頼する必要がある。

また、液状化の可能性がある=避けるべき土地、という訳ではない。現在は地盤を改良して液状化に対応する様々な工法が開発されている。適切な地盤改良を行えば液状化に強い建物を建てることは可能だ。同サイトではこのような工法も分かりやすく解説している。

また、同サイトなどである程度勉強した後でも不安が残るようであれば、東京都が創設した「液状化対策アドバイザー制度」を利用するという手もある。相談は無料だ(アドバイザーの派遣は有料)。くわしくは「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」で確認してほしい。
http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/

東京都は一般社団法人東京建築士会と連携し、液状化に関する無料相談窓口を設けている東京都は一般社団法人東京建築士会と連携し、液状化に関する無料相談窓口を設けている

2014年 07月04日 10時35分