下北沢ならでの魅力を発信する場に

劇場やライブハウス、古着店、美味しい飲食店などが多く集まることで知られる下北沢。そんな人気の街に、マルシェやパフォーマンス、企業PRなどのイベントも開かれるオープンスペースと、アジア屋台料理を中心にカジュアルに食事やお酒が楽しめる飲食店「ロンヴァクアン」を併設した新たなスポット、『下北沢ケージ』が8月に誕生した。

下北沢ケージがあるのは、下北沢駅から徒歩3分ほど、京王井の頭線の高架下。井の頭線の高架橋化工事の一部完了に伴い利用可能となった空間を有効活用しようと生まれたものだ。不動産サイト「東京R不動産」や不動産再生のプロデュースなどで知られる株式会社スピークと、編集を軸に様々なクリエイティブ制作、メディア運営、プロデュースを手がける株式会社ピストルがタッグを組んで運営している。

「高架下スペースを3年間暫定利用したいと、京王電鉄さんから相談を投げかけられました。そこで、街の開かれた広場であると同時に、音楽、演劇、古着など独特の濃い文化がある下北沢ならでの特徴を活かしたイベントなどを開催できる広場の開設をご提案しました。企業等のPR活動用に、レンタルスペースとして貸し出すことも考えています」と、株式会社スピーク共同代表の林厚見さん。
それでは、このような場所をつくるに至った林さんの思いを詳しく紹介しよう。

京王井の頭線の高架下に誕生した「下北沢ケージ」。13時から開放され、誰でも自由に過ごせる。</br>17時にオープンするアジア屋台酒場「ロンヴァクアン」での食事をケージ内で楽しむこともできる。</br>右下は株式会社スピーク共同代表の林厚見さん。「ただの空き地で植栽が植えられている公園よりは、</br>ケージで囲まれた『ある場所』をつくることにより、何かをするためのキャンパスになると考えました」京王井の頭線の高架下に誕生した「下北沢ケージ」。13時から開放され、誰でも自由に過ごせる。
17時にオープンするアジア屋台酒場「ロンヴァクアン」での食事をケージ内で楽しむこともできる。
右下は株式会社スピーク共同代表の林厚見さん。「ただの空き地で植栽が植えられている公園よりは、
ケージで囲まれた『ある場所』をつくることにより、何かをするためのキャンパスになると考えました」

表現者が多い下北沢。彼らのパフォーマンスを道行く人に見て欲しい

飲食店を併設したイベントパークをつくったことには、林さんの街づくりへの思いが込められていた。
「下北沢のような面白い街が、長い工事のせいで勢いや活気が失われてしまう危機感を感じました。街の活気には文化性や人間性が大事だと思っているので、それに貢献したいという思いもあります。また、これから街のリアルな空間の意味が問われていくと考えています。買い物はネットに移行していく中で、現実の街では面白い体験や発見がないと、人が街に出ていく意味が薄くなってしまうかもしれません。このスペースをつくることで、エンターテインメントや飲食で、出会いや発見が生まれるリアルな街の意味や必要性を見直し、生み出したいと考えました」

イベントパークをつくったことには、下北沢に多い表現者やクリエイターのパフォーマンスをもっと見せるべきだという思いもあった。
「演劇やライブなどは地下で行われることが多いので、芝居好きとかライブ好きな人しか足を運びません。そのような活動を外(ケージ内)でやれば、『何か面白そうなことをやっているね』と道行く人が集まるのではないでしょうか。表現者たちが道行く人や街とつながった、風景のひとつとして溶け込めばいいですね」

飲食店を併設したことの意義について、以下のように続ける。
「林立するマンションと大きなスーパーがある街があります。スーパーと通販会社があれば確かに生活は成り立ちますが、それでいいのですか?と。都市には色々な場所が必要で、このまま均質でどこも同じような機能的なだけの街が増えてしまうのは幸せなことではないでしょう。飲食店は、ただ美味しいものを食べるためだけの場所ではありません。地域のコミュニケーションなどを考えた時に、やはり皆が集まる飲食店、いわゆるコミュニティプレイスが必要だと考えました」

毎週水曜日には夜市が行われるほか、様々なイベントが開催されている下北沢ケージ。</br>近隣の人の触れ合いの場として、また企業などのPR活動の場として、下北沢から3年間新たな文化を発信し続ける毎週水曜日には夜市が行われるほか、様々なイベントが開催されている下北沢ケージ。
近隣の人の触れ合いの場として、また企業などのPR活動の場として、下北沢から3年間新たな文化を発信し続ける

ボリューム満点で価格もお手頃。気軽に立ち寄れるアジア屋台酒場が楽しい

イベントパークに併設したのが、気軽に飲食を楽しめるアジア屋台酒場「ロンヴァクアン」。連日多くの客で賑わい、ほぼ満席となっているなど出足は好調だ。

「高架下の空間を見た時に、10数年前に行ったホーチミンのとある屋台酒場を思い出したんです。『バインセオ46A』という店なのですが、この店がメチャクチャ楽しくて(笑)。こんな店が日本にあったらいいなと。あと下北沢の街の雰囲気からしてもカフェじゃないでしょうと。雑多な感じがする下北沢は無国籍なイメージ。アジアの空気が合っていると考えて、気軽な酒場をつくろうと思いました」

店を訪ねてみた。店内は50席ほどの席があり、外のケージ内でも食事が楽しめる。海老のスパイシー揚げ700円、手巻き生春巻き400円、パクチー餃子600円、ラムクミン500円(2本)など、ボリュームがある割に価格はお手頃。しかも美味しい。サワーを中心にドリンクも充実している。一人でサッと食事を楽しむもよし、グループでワイワイ楽しむもよし。林さんの狙い通り、気軽に楽しめる店となっている。

「下北沢ケージの屋外空間は、色々な使い方をこちらも知恵を使って実現していくつもりなので、お気軽にご相談ください」と林さん。毎週水曜日には夜市が開催され賑わいを見せるなど、街の一部として認知されてきた「下北沢ケージ」。人気の街下北沢に、また新たなスパイスを加えてくれるはずだ。

■下北沢ケージ
http://s-cage.com/

■ロンヴァンクアン フェイスブックページ
https://www.facebook.com/shimokitazawacage/

左上/ロンヴァクアン外観。17時にオープン。火曜日はドリンクのみ 右/パクチー餃子(手前)と海老のスパイシー揚げ。</br>どちらもボリューム感がある 左下/ラムクミン(手前)と手巻き生春巻き。生春巻きはピーナッツとスイートチリソースの</br>2種類のソースで味わえる。皮ももちもちとした食感で美味しい。アジアビールのバーバーやタイガーも600円で提供している左上/ロンヴァクアン外観。17時にオープン。火曜日はドリンクのみ 右/パクチー餃子(手前)と海老のスパイシー揚げ。
どちらもボリューム感がある 左下/ラムクミン(手前)と手巻き生春巻き。生春巻きはピーナッツとスイートチリソースの
2種類のソースで味わえる。皮ももちもちとした食感で美味しい。アジアビールのバーバーやタイガーも600円で提供している

2016年 10月21日 11時00分