地球温暖化の原因の1つは我々の社会活動

最近は超大型台風や豪雨、猛暑が当たり前のようにやって来る。このような異常気象は地球温暖化が原因だといわれ、地球温暖化は二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの大気中濃度の増加によって進行するとされている。二酸化炭素は石油や石炭といった化石燃料を燃やすことで発生する。つまり我々の社会活動でのエネルギー消費が地球温暖化の原因の1つとなっているのだ。

増加する家庭部門のCO2排出量

全国地球温暖化防止活動推進センターの2018年度資料によると、日本の部門別二酸化炭素排出量の割合でもっとも多いのは産業部門の35%だった。一方で私たちの日々の生活である家庭部門は14.6%と産業部門よりは少ない。しかし、産業部門は1990年度から2018年度までに約21%排出量を削減しているのに対し、家庭部門は約27%も増加している。私たちの生活はエアコンや便利な家電の普及などで年々豊かになっている。だが、その代償として地球温暖化を加速させてしまっているのだ。そのため、住宅の省エネ化は急務となっている。

家庭部門のCO2排出量は、ここ数年で減少傾向となっているものの、1990年と比較すると約27%も増加している(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター)家庭部門のCO2排出量は、ここ数年で減少傾向となっているものの、1990年と比較すると約27%も増加している(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター)

省エネ住宅の3つの特徴

このような背景から2021年4月1日より「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律(改正建築物省エネ法)」が施行される。本記事では、その中でも私たちの生活にもっとも関連すると思われる「戸建住宅等の設計者から建築主への説明義務制度」について解説する。

そもそも具体的な省エネ住宅の特徴には以下のようなものがある。

1.高断熱・高気密
断熱材、日差しを遮る軒、高断熱なサッシなどを採用することで冬は暖かく、夏は涼しい室内を実現する。

2.高効率な設備
LED照明、効率の良い給湯設備などを採用することでエネルギー使用量を削減する。

3.創エネ設備
太陽光発電システムなどでエネルギーを創り出し、家庭用蓄電池に電気をためて効率よく消費する。

このような設備などを使ってどのくらい省エネ性能を高めればよいかの目安が、国が定めている省エネ基準だ。これには断熱性能に関するものとエネルギー消費量に関するものの2種類があり、地域ごとに基準値が異なる(8区分)。

省エネ住宅のおもな特徴は「高断熱・高気密」「高効率な設備」「創エネ設備」の3つ(出典:一般社団法人 住宅生産団体連合会『快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅』)省エネ住宅のおもな特徴は「高断熱・高気密」「高効率な設備」「創エネ設備」の3つ(出典:一般社団法人 住宅生産団体連合会『快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅』)

省エネ基準をクリアした住宅の4つのメリット

省エネ基準をクリアした住宅は、エネルギー消費量(二酸化炭素排出量)が少なくなるので、当然ながら地球環境にやさしい。そのほかにも以下の4つのメリットがある。

1.光熱費を削減できる
一般社団法人 住宅生産団体連合会の資料(以下同)によると、東京23区(地域区分6)における従来の住宅の年間光熱費が28万3,325円だとすると、省エネ基準の住宅は22万2,317円になる。6万1,008円も削減できるのだ。

2.室内の快適性がアップする
外気温が0℃のときに室温をエアコンなどで20℃にしたとする。その際、断熱性能が低い建物は床や壁、天井の温度が低いままなので体感温度は20℃を大きく下回ることになる。一方で断熱性能の高い建物は床や壁、天井の温度も室温に近くなっているので、いつでもどこでも快適に過ごすことができる。

3.健康維持に貢献
断熱性能の低い建物は、居室と浴室やトイレの室温差や結露によるカビ・ダニが発生しやすい。室温差は血圧の上昇などによるヒートショックの引き金となり得る。また、カビ・ダニはアレルギーや感染症の原因となる。これらが発生しにくい高断熱・高気密な建物は家族の健康維持に貢献する。

4.減災に貢献する
太陽光発電システムや家庭用蓄電池を備えた家は、災害などで停電になったときに自家発電と蓄電によって、今までの生活を維持しやすくなる。また、省エネ住宅は、エネルギー消費量が少ないので、少ない電力でも快適に過ごすことができる。

評価・説明の4つのステップ

では、改正建築物省エネ法で定められる「戸建住宅等の設計者から建築主への説明義務制度」について具体的に説明しよう。同制度は、住宅の設計者から建築主へ説明を行うことで省エネに対する理解を促すと同時に建物の省エネ性能を高めてもらうことを狙いとしている。定められた説明の内容と進め方は以下の通りだ。

「説明内容」
・省エネ基準に適合しているか否か
・適合していない場合は省エネ性能確保のための措置の内容

「説明義務制度の対象」
床面積の合計が300m2未満の建築物の新築と増改築。住宅、非住宅および複合建築物のいずれも対象となる。ただし、空調設備設置の必要がない車庫や保存のために省エネ基準適合が困難な文化財などは除外される。

「評価・説明の進め方」
説明義務制度は、次の4つのステップで進めることが考えられている。

ステップ1:情報提供
説明制度の内容のほか、省エネ化の必要性や効果について設計を担当する建築士から建築主へ情報提供を行う。この際、省エネ性能の計算・評価や省エネ性能向上のための工事には費用や工期が必要になることを説明することも重要だ。省エネ性能は設計内容を大きく左右するため、情報提供は事前相談の段階などできるだけ早めに行っておくことが望ましい。

ステップ2:評価・説明の実施に関する建築主の意思確認
実は建築主が「説明不要」と判断すれば説明をする必要はない。そのため、できれば情報提供と同時に評価とその説明の要否について建築主の意思を確認する。建築主が「評価・説明は不要」と意思を表明した場合、建築主はその旨を記載した書面を作成して設計を担当する建築士に提出しなければならない。同書面は建築士事務所に15年間保存する必要がある。

ステップ3:省エネ性能の評価
建築主が「評価・説明が必要」と意思表示をしたら、設計を担当する建築士は対象の建物について省エネ性能の計算を行い、省エネ基準に適合しているかどうかを評価する。なお、増改築の場合は、増改築部分のみではなく、建物全体の評価を行う。

ステップ4:評価結果を建築主へ説明
設計を担当する建築士は、評価結果に基づき「省エネ基準に適合しているか否か」と「適合していない場合は省エネ性能確保のための措置の内容」を建築主へ書面を交付して説明する。「省エネ性能確保のための措置」とは、例えば「断熱材を厚くする」「日射遮蔽性能の高い窓にする」「白熱灯をLEDに変更する」といったことだ。説明書面は建築士事務所に15年間保存する必要がある。

建築主が評価・説明が不要であると意思表示した場合、建築主はその旨を記載した書面を作成しなければならない。画像はその一例(出典:国土交通省『説明義務制度について』)建築主が評価・説明が不要であると意思表示した場合、建築主はその旨を記載した書面を作成しなければならない。画像はその一例(出典:国土交通省『説明義務制度について』)

省エネ住宅で地球環境にやさしく、経済的、快適、健康な暮らしを

省エネ住宅の新築・増改築を検討する際に、もっとも不安視するのはコストだろう。だが、最近の建築部材の多くは、そもそも高性能なので、省エネ基準をクリアするレベルに変更しても考えているほどコストアップにつながらないかもしれない。先入観で「コストアップするなら説明は聞かない」と考えるのではなく、地球環境、そしてランニングコスト、快適、健康のため「とりあえず説明は聞いてみよう」というスタンスが重要ではないだろうか。そのためにも時間的に余裕を持った計画を意識したい。

省エネ住宅は地球温暖化の防止に貢献する。また私たちの生活も快適にする。イニシャルコストばかりを気にするのではなく、とにかく説明は聞きたい省エネ住宅は地球温暖化の防止に貢献する。また私たちの生活も快適にする。イニシャルコストばかりを気にするのではなく、とにかく説明は聞きたい

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