シックハウス、断熱性能…住まいがたどる「健康住宅」への関心

炭は消臭効果や空気の浄化効果を発揮するすることが知られている。竹炭を藤の籠に入れてインテリアのように楽しむ人もいる炭は消臭効果や空気の浄化効果を発揮するすることが知られている。竹炭を藤の籠に入れてインテリアのように楽しむ人もいる

住まいに求めるもの…といえば、何であろうか?よく聴く言葉に「安心・安全」がある。

日本は地震国であることから、住まい耐震性能は重要視されてきた。およそ地震被害で亡くなる方の80%が、住まいの倒壊による圧死によるというデータもある。また、昨今では地球温暖化や省エネへの対応による家の気密・断熱性能も注目をされている。住まいの「安心・安全」は、住まいの機能としてもっとも求められるものである。

そしてもう一つ、健康を左右する住まいの「室内環境」もあるだろう。
先に述べた断熱性能は、実は省エネルギー面だけでなく、ヒートショックなど室内の温度差による健康被害も減らすとされる。また、一時期、健康被害が注目された「シックハウス症候群」。住宅の高気密化が進むに従い、建材等から発生する化学物質などによる室内空気汚染等による人の体調に現れはじめた。その健康への影響があらわれる総称が「シックハウス症候群」である。症状は、目がチカチカする、鼻水、のどの乾燥、吐き気、頭痛、湿疹など人によって様々なようだ。そういった化学物質を排出しないという理由から、住宅内部の塗り壁に珪藻土や自然素材を使うことなども注目をされた。

日本はアレルギー大国である。
厚生労働省の調査によると、アレルギー疾患を有する者の増加がみられ、乳幼児から高齢者まで国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有しているという。近年増加を続けているのが花粉によるアレルギー症状。またPM2.5やハウスダストなど、外だけでなく家の中でも空気環境が健康に及ぼす影響が懸念されている。住まいがつくりだす環境に対して、「健康」も大きく注目される機能となるであろう。

そういった中、大阪にあるハウスメーカーが販売している、空気環境に配慮した家があるという。フジ住宅株式会社の空気環境に配慮した家、「炭の家/ピュアエア」である。

炭を活かした家とはどういったものなのだろうか?フジ住宅に伺ってお話を聞いてきた。

さまざまな用途で使われている「炭」
炭の力を住まいに活かす

お話を伺ったのは、フジ住宅株式会社本社営業部の塩湯永一さん。

「炭には、様々な効能があるといわれています。生活の中でも使われていることでもわかります。消臭効果で言えば、竹炭をかごに入れて部屋の隅や靴箱、トイレに置いたり、除湿効果として押し入れに置いたりする使用方法です。またカルキを吸着する機能もあるため水に入れてミネラル補給をしたり、炊飯器に入れてご飯を炊くとふっくらするご飯が炊けるといいます。近頃では、石鹸や洗顔料などの化粧品や健康食品での食べる炭なども出てきているようです。私たちはその“炭の力”に注目し、住まいの環境に使えないか、と考えました」という。

そんな力を持つ炭であるが、「炭の家」というとどういった家を思い浮かべるだろうか。取材に伺う前は、様々な建材や壁に「炭」を練り込んで使用しているのかなと想像したのだが、実はそうではなかった。

「私たちの炭の家は、炭とフィルターによるWクリーンシステムとなっています。具体的には、2階建ての住宅の場合、1階の床下と2階の床下に約1トンの竹炭を敷いています。そして、外部からの空気を取り入れ口から入れる部分にはフィルター付きの給気ユニットを設置し、PM2.5対応のフィルターで外部空気をきれいにし、その後、炭の層を通してお部屋に空気を取り組むWクリーンのシステムです。

炭の大きな特徴として、無数の微細な“多孔質”と呼ばれる基本構造があります。その表面積は、竹炭1gあたり約700平方メートルもあるといわれます。たった1gでその面積は、なんとテニスコート1面分にもなるということです。その構造により、空気中の分子を吸着し嫌なニオイを抑え、外からの化学物質や花粉などの有害物質を吸着して空気を清浄化、また湿気などにも調湿効果を発揮し、カビの発生を抑えることもできます。

また、空気環境をコントロールする大げさな機材や設備を住まいに入れずに、竹炭を使うことでコストも抑えられますし、炭は軽いため床に敷き詰めても、住まいへの負担が少なくてすみます。また、フィルターは取り換えることができ、メンテナンスが簡単なのも魅力だと思います」と、説明してくれた。

フジ住宅の炭の家/ピュアエアのシステムイメージ(イラスト)</br>外気をフィルターを通して取り入れ、さらに炭の有害物質吸収効果や消臭効果により、家の空気をきれいにしてまわすというフジ住宅の炭の家/ピュアエアのシステムイメージ(イラスト)
外気をフィルターを通して取り入れ、さらに炭の有害物質吸収効果や消臭効果により、家の空気をきれいにしてまわすという

「炭の家」の実力は?

では、実際の炭の家の実力はどうなのであろうか?

実際にPM2.5の除去にどのくらいの効果があるかを検証するため、仙台高等専門学校の吉野秀明教授と共同で調査したという。PM2.5は髪の毛の太さの1/30程度という微細さで、肺の奥まで入り込みやすく喘息や気管支炎を引き起こす原因になる。

その調査で炭の家の屋外と屋内でのPM2.5の濃度を比較してみると、屋外は37μg/m2であるのに対し、炭の家の仕組みを取り入れた戸建て住宅及び分譲マンションはその数値が、8μg/m2であった。この数値は、環境省の基準値35μg/m2をはるかに下回り、病院のクリーンルームと同等の空気環境であることを示している。

「実際に、お客さまからは“娘の喘息が改善されました”“花粉症の症状が少しずつよくなってきています”“風邪をひきにくくなりました”というお声をいただいています。中にはアレルギー症状の改善だけではなく、“よく眠れるようになった”というお声もあるんです」と話してくれた。

また、“梅雨の時期、ジメジメしなくなった”“結露がなくなった”という声や"焼き魚や焼き肉をしても匂いが残らなくなったと感じる"という声もあるという。

PM2.5濃度の測定結果。炭の家は病院のクリーンルームと同等の空気だというPM2.5濃度の測定結果。炭の家は病院のクリーンルームと同等の空気だという

見えづらい住まいの空気環境…住まいを提供する企業の思い

フジ住宅の「住宅館」では、基礎から構造部分がわかる実際の住まいの模型や分かりやすい説明のパネルが展示されているフジ住宅の「住宅館」では、基礎から構造部分がわかる実際の住まいの模型や分かりやすい説明のパネルが展示されている

「私たちは、家をお客様に案内するとき、耐震や断熱は構造を展示し、隅々まで理解してもらえるように説明も行います。家族には、安全な家に住んでほしいという思いで、今まで安全な住まいに積極的に取り組んできました。そして、子どもやおじいさん・おばあさんでも、気持ちよく心地よく健康に過ごせる住まいづくりを…と住まいと健康の関係を考え始めたのです」と、塩湯さん。

だが、炭の家を説明することは、苦労もあるという。
「空気環境…といっても、一見して見えるものではないので、さまざまな実験道具を自前で作ってお客様に説明しています」という。ニオイの吸着や調湿機能など、炭の効能をさまざまなもので見えるように展示している。また、実際に炭の入っている家といない家を隣に建てて、お客様にそれぞれを確認してもらう、ということもしている。
「実際に泊まっていただいたり、焼肉をしてもらったりとできるだけ“実感”してもらう工夫をしています」という。

「フジ住宅が炭の家を提供する思いには、フジ住宅を創業した会長の思いがつながっています。“もしもお客様が自分の家族だとしたら…もしも同僚が家族だとしたら…と考えると、相手を思いやる気持ちが生まれる。そういった住まいの提供をしたい”という考え方です。

私たちは、大阪を中心に住まいを提供し続けています。あえて大きく販路を拡げなかったのは“見える範囲・駆けつけられる範囲”で住まいを提供したいという思いがあったからです。目的は、お客様に幸せな住まいを提供する事なので、売り上げを高めるための拡大を避けているのはそういった理由です」という。

ちなみにフジ住宅はパン工房を持っている。パンを販売しているわけでなく、今まで住まいを買っていただいたお客様に順番に焼きたてのパンを届けているという。お客様を家族…という会社は多くあるだろうが、こういう取り組みはめずらしい。

「安心・安全の次は、健康を」という住まいへの思いと進化が、提供する会社を含め、大きく拡がることを期待したい。

取材協力:フジ住宅株式会社「フジの家」
http://www.fuji-ie.com/

2017年 06月20日 11時05分