雪国でも雪道で転倒する人は意外に多い

段々と涼しい日が増えてきた。「やっと暑さから解放される」と安心している人も多いだろう。しかし、そういう日は長くは続かない。涼しさの先には寒い冬が待っているのだ。冬に気をつけなければならないのが、雪道での転倒だ。首都圏のように年に数回しか雪が降らない地域に住む人は、関心が薄いかもしれない。だが、そういう人こそいざ雪が降ると転んでケガをしてしまうものだ。
実際、首都圏において雪の影響で転倒する人は少なくない。東京消防庁の発表によると2018年1月22日に東京で雪が降った際、都内で67人が転倒によってケガをした。なかには脳挫傷を負うような大ケガをした人もいたそうだ。このように、あまり雪が降らない地域に住んでいても安心はできない。

実は、雪に慣れているはずの北国でも雪道で転倒する人はいる。北海道札幌市では毎年1,000人程度が雪道での転倒で救急搬送されているという。特に高齢者は転倒すれば大ケガにつながるおそれがあるほか、雪に慣れない観光客も増えていることから、冬期歩行者転倒防止や除雪など雪国特有の課題に対する啓蒙活動を行っているのが北海道札幌市のウインターライフ推進協議会だ。

同協議会が運営するサイト「転ばないコツおしえます。」の内容を参考に、冬の雪道で転ばないコツを解説する。

雪道で転びやすい人の特徴

まずは転倒によるケガの内容を紹介しよう。札幌市の「路上転倒事故の実態調査」によると、転倒事故によるケガでもっとも多い部位は頭部で約43%。次に脚部で約24%。頭部と脚部で約7割を占めることになる。そしてケガの種類は骨折と打撲が圧倒的に多い。特に70代は骨折の割合が高く、40%以上を占める結果となっている。

雪道で転びやすい人には次のような特徴がある。

・急いでいる人
急いでいると足元への注意が散漫になり転びやすくなる。

・飲酒をしている人
「千鳥足」という言葉があるようにお酒を飲んでいる人の足取りはおぼつかないものだ。酔っているときこそ足元に注意したい。

・スマートフォンなど歩行以外に注意が向いている人
スマートフォンなどに夢中になっていると、足元への注意力が低下するだけでなく視野も狭くなるので転びやすくなる。

・両手がふさがっている人
両手に荷物などを持っていると、バランスを崩しやすくなるうえに転んだ際に身を守れずに大ケガをする可能性も高くなる。

・雪道に適さない靴を履いている人
一般的な革靴やハイヒールなどは雪道で滑りやすい。どのような靴が雪道に向いているかは後述する。

その他、高齢者も比較的転びやすいので注意が必要だ。

転倒事故によるケガでもっとも多い部位は頭部で約43%。次に脚部で約24%。頭部と脚部で約7割を占めることになる。ケガの種類は骨折と打撲が圧倒的に多い(画像提供:ウインターライフ推進協議会)転倒事故によるケガでもっとも多い部位は頭部で約43%。次に脚部で約24%。頭部と脚部で約7割を占めることになる。ケガの種類は骨折と打撲が圧倒的に多い(画像提供:ウインターライフ推進協議会)

転びやすい場所は比較的雪が踏み固められているところ

横断歩道など比較的雪が踏み固められているところは転びやすい(画像提供:ウインターライフ推進協議会)横断歩道など比較的雪が踏み固められているところは転びやすい(画像提供:ウインターライフ推進協議会)

同じ街の中でも、転びやすい場所とそうでない場所がある。転びやすい場所とは以下のようなところだ。

・横断歩道
横断歩道は、雪が歩行者や車に踏み固められているので滑りやすくなっている。特に歩道と横断歩道の境目が傾斜になっている場合は注意が必要だ。

・地下鉄や地下街の出入り口付近
こちらも雪が踏み固められているので滑りやすい。また、このような場所は段差があることが多いので注意しなければならない。

・車の出入りがある場所
駐車場やガソリンスタンドとつながる歩道など車が出入りする場所は、雪が車に踏み固められているうえに、タイヤとの摩擦で表面が磨かれているため特に滑りやすくなっている。

・バスやタクシーの乗降場所
このような場所も雪が踏み固められているので滑りやすい。特に乗降の際は片足に重心がかかるので注意したい。

・足元がタイル張りの場所
地下街やビルのエントランスなどのタイル張りの床になっている場所は、靴の裏についた雪によって滑りやすくなる。しっかり落としてから入りたい。

こうした滑りやすい路面ができやすく注意が必要なのは、厳しい冷え込みの日よりも-2度前後のとき。時間帯では朝9時~10時と、夕方17時以降に転倒事故が起きやすいのだという。
人の往来や車などによって踏み固められた雪の表面が、日中の気温上昇や車などの熱で溶け、夜間の冷え込みで再度固まることを繰り返し、滑りやすい路面ができあがる。同様に雨が降った際にも、夜間に凍って滑りやすくなるというから要注意だ。

雪道でも転びにくい歩き方

雪道は普段と同じように歩いていては転ぶ可能性が高まってしまう。そのため、次のような点に気をつけて歩いてほしい。

・狭い歩幅で歩く
歩幅が広いと足を高く上げてしまいがちになる。そうなればバランスを崩して転倒につながる。雪道では歩幅を狭くした方がいいだろう。先ほど紹介した「転びやすい場所」では特に、意識的に歩幅を小さく、慎重に歩くのがおすすめだ。

・靴の裏の全体をつけて歩く
雪道では前重心で靴の裏の全体を路面につけて歩くと滑りにくくなる。さらに足をあまり上げずに、すり足のような歩き方を意識するといい。

・時間に余裕を持って歩く
急いで歩くと、どうしても足元ヘの注意が散漫になる。そのため雪の日に外出する際は、いつもよりも時間に余裕を持って出るようにしたい。

・歩き始めと立ち止まるときに注意
歩き始めや立ち止まるときなど、行動に変化があるときは転びやすくなるので注意が必要だ。

転びにくい靴の選び方

雪道を歩く際は、靴選びが非常に重要。たとえば靴底の溝が深いものや柔らかいゴム底のものは滑りにくい(画像提供:ウインターライフ推進協議会)雪道を歩く際は、靴選びが非常に重要。たとえば靴底の溝が深いものや柔らかいゴム底のものは滑りにくい(画像提供:ウインターライフ推進協議会)

雪道を歩く際は、靴選びが非常に重要だ。雪道に適した靴には以下のような特徴がある。

・靴底の溝が深い
雪が多く降る地域では、雪道用に靴底に金具が付いた商品が一般的に売られている。しかし、それ以外の地域で購入するのは困難だし、通販などで入手できても出番が少ないだろう。そこで雪があまり降らない地域でも手に入り、いざというときに役立つのが靴底の溝が深い靴だ。このような靴底なら雪をしっかりとらえて滑りにくい。

・柔らかいゴム底
いくら靴底の溝が深くても登山靴のように硬いものは逆に滑りやすくなる。そのため、比較的柔らかめのゴム底を用いた靴を選びたい。このような靴なら路面に対する密着度が高いので滑りにくくなる。

・すべり止め材入りの靴底
靴のなかには雨や雪の日用として靴底にすべり止め材を入れている商品もある。このような靴は、靴底がヤスリのように雪をひっかくので滑りにくい。

これらのほかにも靴用アタッチメントを装着するという方法もある。これは滑りにくくするためのゴムや金属が付いたもので、ゴムバンドや面ファスナーなどで靴底に固定する。小型・軽量で手軽に持ち歩け、不要になればすぐに取り外しできるので便利だ。また、革靴やスニーカーだけでなく、ハイヒールに装着できるものもある。このアタッチメントは、通販サイトでも購入できるので、雪の少ない地域の人が雪国へ旅行や出張に行く前に用意しておくこともできる。ただし、防水性の低い靴にこれを装着すると、滑らなくはなるが、足が濡れてしまう。雪道を歩くなら防水性がある靴を選ぶことが必須だ。

以上のように、雪道で転ばないコツは複数ある。どれもケガをしないためにおろそかにしてはならないことばかりだ。さらにくわしく知りたい場合はウインターライフ推進協議会のサイト「転ばないコツおしえます。」で確認してほしい。

ウインターライフ推進協議会
「転ばないコツおしえます。」

2019年 10月26日 11時00分