北原氏が理想とする暮らしとは

自分の理想がここにある、と焦がれ続けたボートハウスのある家を手に入れた北原照久氏。前回は、ご自宅との運命の出会い、そしてこの家を手にするまでの出来事をご紹介した。今回は北原氏にとっての住まいとは? 暮らしへの想いそのものをお聞きする。

取材をさせていただいたのは、北原邸のゲストハウスの応接間。海にせり出した半円状の窓辺に置かれた円卓でお話を伺った。

取材中にも、海を180°見渡せるパノラマの風景が広がる。このロケーションこそが、北原氏が住まいとして最も大切にするものだという。

北原佐島邸の外観北原佐島邸の外観

ロケーションは何ものにも代え難い財産

20年越しで恋焦がれた家を手に入れた北原照久氏。お話をうかがったのはゲストルームの応接間。背景の窓からはパノラマの海が広がる20年越しで恋焦がれた家を手に入れた北原照久氏。お話をうかがったのはゲストルームの応接間。背景の窓からはパノラマの海が広がる

北原氏は昔から、住まいに対して何はともあれ“ロケーション”にこだわってきたそうだ。横浜・山手のおもちゃ博物館になっている一軒家で暮らしたこともあったというが、元はボロボロの一軒家。しかし、庭が広く青々とした芝生が広がる。古さや狭さは自分たちで手を加えて変えていけばいい。それよりも北原氏にとって大切だったのはロケーションだった。

「ロケーションって大きな財産ですよね。人生を変えるし、人格だって変えてしまう。そういう意味ではこの家は最高です。この場所は海がパノラマで見える。天気のいい日には、正面に江ノ島がみえて、その左には富士山が裾野まではっきりとした姿で現れる。そしてそこに夕日が沈む。最高です。本当にここでの暮らしで性格も穏やかになった気がします。なんでも鑑定団の出演者でも皆勤賞をとっているは僕だけです。この家に住んでいるから健康でいられるのだと思っています」

そして、家にはときめきが必要だと、北原氏は続ける。

「海外の家というのは、外観にもとても気をつかうでしょう。窓辺に花を飾ったり、インテリアにこだわって道行く人を楽しませたり。あれは道行く人のためだけではないですよね。自分が帰ってくるときに家を見てときめくためのものだと思います」

北原氏の尊敬する人物にVANの創設者、石津謙介氏がいる。北原氏が20代の頃に出会った石津氏の言葉が「住まいにこだわるべし、なぜなら住まいはあなたを育ててくれるから」だった。

「その通りだと思います。住まいというのは雨露が凌げればいいというものではない。家や暮らしはその人自身を体現するもの。だから、僕は狭い家に住んでいた時も、ロケーションにこだわり、好きな物を飾ってときめく家づくりにこだわっていました。この家には18年住んでいますが、いまだにときめきます」

この家にして、最高のときめきがあるのは当然だろう。ただ、北原氏が言いたいことはそこではない。ゴージャスな家だとか、広い家だとか、そういうことでもなく、自分自身が本当に素晴らしいと思える空間をつくること。その意識を住まいに持てるかどうかが暮らしを豊かに、ひいては人生を豊かにできるかの岐路なのだと教えてくれているのだ。

想い続ければ、夢は叶う

「皆さん僕に、どうやったらこんなに素晴らしい家に住めるのかと聞きます。でも僕もこの家に一目惚れしてから住むまでには長い時間がかかっています。でも想い続けました」

北原氏は、情熱を持ち続けることの大切さを言う。「体は食べ物でつくられる。心は聞いた言葉でつくられる。未来は話した言葉でつくられる」と。

「僕はこの家が欲しいと言い続けました。そして、克明にイメージもしました。まだこの家に住む前に『北原主義(キタハライズム)の愉しみ』という本を書いて、その中で克明にこの家に住んだ後のイメージを記しています。

この家に住んだら、玄関にロボットをおいて、チョコレートケースの中にコレクションを置く。そして不思議なのが、天井は一段高いと書いているんです。その時はまだ部屋の中は見ていないので、天井が一段高くなっていることは知らない。それなのに言い当てている。それくらい、僕はこの家に情熱を傾けたし、細部までイメージしていました。その想いがこの家と僕をつなげてくれたのでしょうね」

左上)ゲストルームの応接間は確かに天井が一段高い。左下)北原氏のコレクションの1つのチョコレートケース。右)玄関では等身大のロボット、映画『禁断の惑星』のキャラクター「ロビー」が出迎えてくれる左上)ゲストルームの応接間は確かに天井が一段高い。左下)北原氏のコレクションの1つのチョコレートケース。右)玄関では等身大のロボット、映画『禁断の惑星』のキャラクター「ロビー」が出迎えてくれる

物には魂がある。どれが一番なんて言えない

最後に、北原氏にどこが一番リラックスできるかを聞いてみた。プールで海を見ながらワインを飲む時か? 庭でゆったりと夕日を眺める時か? 色々な想像をしていたが、あっさり「一番はありません。どこでも一番です」という答えが返ってきた。

「みんなね、この家のどこが一番すきかと聞くのですが、それは答えられません。僕にとっては、どこも一番。コレクションの作品にしても同じですが、そうした質問は僕にとって「3人いるお子さんの中でどなたが一番すきですか?」というのと一緒です。選べないでしょう?みなさん。僕は物にも、魂みたいなものがあると思っています。どれも大切で、どれかを選んだら焼きもちを妬かれてしまう(笑)。そういうものなんです」

今も、一日一回は「いい家だね」と褒め言葉をかけるという北原氏。家はそれに応え、どんどんよくなり、素晴らしい人々が集まってくれるようになったという。

お会いした北原さんは真っ黒に日焼けをしていた。今は、自宅の地下のボートハウスから奥様と一緒にシュノーケリングで海に出る日々だという。素晴らしいロケーション。愛する海を望む家。たとえ手間がかかってもこの家を慈しみ続ける。その想いを汲んで、人生の喜びをこの家が返してくれる。

住まいは人生そのもの。家を拝見しに伺ったのだが、家を通して大切な人生の教訓「北原イズム」を教わるひと時だった。


##北原照久氏の180°パノラマの海が見渡せる家や室内のインテリアの詳細は下記から。(HOME'S BOXで掲載!)
http://box.homes.co.jp/collection/00001/

北原氏の理想のイメージはブラウン管を通して見たアメリカ。白い柵、ミントグリーンの建物、芝生の庭、大きな犬。しっかり居ましたゴールデンドゥードルも。お名前はブリキロボットと同じ「ロビー」くん北原氏の理想のイメージはブラウン管を通して見たアメリカ。白い柵、ミントグリーンの建物、芝生の庭、大きな犬。しっかり居ましたゴールデンドゥードルも。お名前はブリキロボットと同じ「ロビー」くん

2015年 08月25日 11時03分